近年、注目されている「昆虫食」って?

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自然と深く関わる食文化

イナゴのつくだ煮やイモムシの幼虫を干したものなど、種類も食べ方も様々
イナゴのつくだ煮やイモムシの幼虫を干したものなど、種類も食べ方も様々

 世界の人口増加ぞうかによる食料不足しょくりょうぶそくすく可能性かのうせいがあるとして、近年、昆虫食こんちゅうしょくが注目を集めています。昆虫食についての調査ちょうさや研究を行っている立教大教授りっきょうだいきょうじゅ野中健一のなかけんいちさん(55)に、昆虫食の歴史れきしや食料としての昆虫の可能性などについて聞きました。

プチッとした食感

 研究室をたずねた私たちを、野中さんは早速、クロスズメバチの幼虫ようちゅうをしょうゆや酒、みりんなどでたものをんだおにぎりなどでもてなしてくれました。

 食べてみると、ごはんの中にプチッとした食感があり、ほんのり甘酸あまずっぱい味が広がりました。イナゴのつくだ煮は、こうばしくてサクサクしていました。

 野中さんの父親の出身地である岐阜県東濃地方ぎふけんとうのうちほうでは、クロスズメバチは「ヘボ」とばれています。長野県では「ジバチ」「スガリ」などと呼ばれていて、岐阜県や愛知あいち県、長野県などでは混ぜごはんやちらしずしといった料理にして、さかんに食べられているそうです。

全国で50種類以上

 大正時代に行われた調査によると、当時の日本では、全国で50種類以上しゅるいいじょうの昆虫が食べられていました。種類も、イナゴやカミキリムシの幼虫、セミなど様々さまざまです。

 世界に目を向けると、昆虫食文化はさらに多様です。世界各地かくちで昆虫食を調査してきた野中さんによると、東南アジアでは香草のパクチーにた風味のカメムシが食べられ、韓国かんこくではカイコのさなぎがコンビニで売られているといいます。アフリカでは、酸味さんみのあるアリがドレッシングのように野菜とあえて食べられています。南米ではすりつぶしてソースに混ぜるなど、多種多様な昆虫が、様々な方法で食べられているそうです。

食べるまでに手間

 一方、国連食糧農業機関こくれんしょくりょうのうぎょうきかん(FAO)は、2013年に「昆虫は食料危機を救う可能性がある」とする報告書ほうこくしょをまとめました。野中さんは、これを否定ひていします。理由として、虫は下処理したしょりなどにコストがかかり、価格かかくも肉より高いことなどをげます。何より、「文化としての昆虫食と、食料不足対策たいさくとしての昆虫食はちがう」と強調します。

 野中さんは、「そもそも、昆虫を食べる地域ちいきは、食べるものがないわけではなく、むしろ食材しょくざいゆたか」だといいます。そして、虫を食べるには、とても手間がかかる、と指摘してきします。

 たとえば、私たちが食べたクロスズメバチの幼虫は、まず山に入り、えさでおびきせたはたらきバチに目印めじるしをつけて追いかけ、地中にあるを見つけたらり出して持ち帰って世話をし、小さな幼虫をピンセットで一つひとつとりだして……と、口に入るまでには、時間も労力ろうりょくもかかります。けれど、昔から食べられている地域には今でも愛好家あいこうかがいて、毎年、育てた巣の大きさをきそったり、幼虫を使った料理を楽しんだりするお祭りのようなイベントも開かれているといいます。

 また、アフリカ南部では、モパニムシというイモムシを、200キロもはなれた場所にりに行く人がいます。モパニムシは、しおゆでし、くさみのある部分を取って、天日干てんぴぼししてから、ようやく食べるそうです。

 「虫は、肉の代わりではなく、それほど手間ひまをかけても食べたい“ごちそう”なのです」という言葉に、なるほどとうなずきました。

 「人々が、自然しぜんかかわる中でてきた技術ぎじゅつ知識ちしきは深いものがある。昆虫食は、環境かんきょうや、いろんなものが自然の中でつながっていることを考えるきっかけになるのではないか」。野中さんはそう話してくれました。

 今回、昆虫食の取材しゅざいをして、食に対する楽しみやよろこびは世界のどこでも共通きょうつうしていることや、食と自然とのつながりの深さを感じました。そして、こうした文化があることを多くの人に知ってほしい、と思いました。

 (高3・木下純一きのしたじゅんいち、高1・浦田凜うらたりん大久保礼おおくぼあや記者、撮影さつえい冨田大介とみただいすけ

無断転載禁止
967013 0 キッズニュース 2019/12/30 05:20:00 2019/12/30 05:20:00 2019/12/30 05:20:00 えときは原稿で別送します https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191223-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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