大学入試で測るべき力って?

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 来年1月に始まる大学入学共通きょうつうテストで、文部科学省もんぶかがくしょう昨年秋以降さくねんあきいこう、英語民間試験みんかんしけん活用延期かつようえんきと、国語と数学の記述式きじゅつしき問題の導入どうにゅう見送りを決めました。これからの社会でもとめられる思考力や表現ひょうげん力を問おうと進められてきた大学入試制度改革にゅうしせいどかいかくですが、相次あいつぐ延期や見送りに、教育関係者かんけいしゃ生徒せいとらから戸惑とまどいの声が上がっています。わたしたちは、当事者として、大学入試のあり方について話し合いました。

表現力 問われなくていいか

「延期」安心したけど

英語の民間試験のための問題集。様々な試験が活用される予定だった
英語の民間試験のための問題集。様々な試験が活用される予定だった

――文科省の決定についてどう思いましたか?

 辻井 公立高2年です。不透明ふとうめいなまま進むよりは、英語民間試験や記述式問題の見送りが決まって、ひとまずよかったと思います。ただ、記述式の問題が簡単かんたん採点さいてんできないというのは、考えれば分かることだったと思うので、もっと現実的げんじつてきに考えてほしいです。

 遠田 私立しりつ中高一貫いっかん校に通う高1です。ぼくはまだ入試を意識いしきしていなかったのですが、方針ほうしんが決まって安心した反面はんめん、がっかりもしています。表現力などの力は必要ひつようなはずなのに、共通テストでは問われなくなって、それでいいのかと考えさせられました。

 福満 私立中高一貫校の高2です。今まではよく分からない部分があって不安ふあんだったので、決まったこと自体はよかったと思いますが、これまでついやしてきた時間や労力ろうりょくを考えると素直すなおにはよろこべません。受験生じゅけんせいが安心して入試にのぞめる環境かんきょうを、もっと早く作ってほしかったです。

 安田 公立高1年です。私の学校は英語学習に特化とっかしていて、帰国子女も多く、海外大学に進む生徒のためのコースもあります。英語については、2024年度の実施じっしに向けて、あらためて議論ぎろんが始まるそうですが、民間試験の導入は、経済格差けいざいかくさ地域ちいき格差が気になっていたので、延期になってひとまず安心しています。

 大谷 私立中高一貫校に通う中2です。大学受験はまだ先ですが、自分が受けるときにも直前でいろいろ決まることになったらと思うと不安です。今回は、当事者の高校生が抗議活動こうぎかつどう署名しょめい活動までしているのに、なかなか決まらなくてイライラしました。

タブレットで対策

――2012年ころから議論が進められてきた大学入試制度改革ですが、みなさん個人こじんや学校で、どんな対策たいさくをしてきましたか?

 辻井 僕の学校は元々もともと「グローバルな人材育成じんざいいくせい」をかかげていたので、授業内容じゅぎょうないよう変化へんかとくに感じませんでしたが、共通テストのプレテストを授業でいたり、英語民間試験の一つを受けたりはしていました。

 遠田 学校では、資料しりょうを読みむなど、共通テストの出題形式にれた方がいいと言われていました。また、今年度から、パソコンなどで受検じゅけんする英語民間試験などへの対応たいおうのために、タブレット端末たんまつが導入されました。端末で英語のスピーキング対策をしたりしています。

 福満 私の学校も今年度、高2以下いかの生徒はタブレット端末を購入こうにゅうし、授業での調べものや資料のまとめなどに使っています。

 大谷 うちの高等部では、英語と数学が少人数授業になったと聞きました。

「平等」「総合的」難しい

――昨年度の入試から、高校生が部活動や表彰ひょうしょうなど学校内外の活動履歴りれきを「ポートフォリオ」としてパソコンなどで作り、大学出願しゅつがんのときに提出ていしゅつできるシステムが始まり、いくつかの大学が導入しました。

 辻井 学校の指示しじで、自分の活動を入力するアプリを自分のスマホに入れ、模試もし結果けっかなどを書き込んでいます。

 安田 海外大でも必要とされるところがあるので、私の学校でも作っています。

求める能力示して

――今後、大学入試では、どういう力をはかるべきだと思いますか?

 辻井 大学の負担ふたんを考えると、共通テストが出願する大学を決めるための選抜せんばつテストになるのは仕方がないし、採点がむずかしい記述式問題をあえて出す必要はないのかもしれません。かく大学が2次試験できちんと表現力などを見ればいいのではないでしょうか。

 福満 そうすると、高校の教育では思考力や表現力をやしなえるカリキュラムにして、共通テストは現在げんざいのセンター試験のような形で、というのが一番落ち着くのかな……。

 遠田 一発勝負というのは受験生にとってはきびしいし、求められている新しい学力は暗記力あんきりょくではないかもしれない。だけど、受験という“め切り”にけて計画を立て、結果を出せるように自分を管理かんりする能力のうりょくや、やりたくなくても勉強する力というのは、これからも必要とされるんじゃないかとも思います。

 大谷 様々さまざまな入試方法ほうほうがありますが、平等に、総合的そうごうてきに人の能力を測ることはすごく難しいですよね。ポートフォリオ一つとっても、都会と地方では、いろんな活動に参加さんかできる機会きかいにもがあります。だからこそ、国にはそうした機会が平等にあたえられるようにしてほしい。

 安田 導入される予定よていだった英語の民間試験はいくつかありましたが、学習到達度とうたつど確認かくにん留学りゅうがくなど、目的もくてきが試験ごとにちがうので、いっしょくたにするのはどうかと思いました。それに、人は生まれる境遇きょうぐうえらべません。お金がないから、都会に住んでいないからといった理由で大学に行けず、そのために職業選択しょくぎょうせんたくはばせばめられるのは、おかしいと思います。

 遠田 欧米おうべいでは、入学者に求める能力や人物ぞうをはっきりさせ、あえて主観的しゅかんてきな入試を実施している大学もあると聞いたことがあります。日本の大学は、そこがおざなりなように思います。大学は、どういう人材を求め、育てるのか、というビジョンと、そのために必要な試験やノウハウを蓄積ちくせきすることを先にすべきなのかもしれません。

 (高2・辻井倫太朗つじいりんたろう福満愛可ふくみつあいか、高1・遠田剛志えんたつよし安田花やすだはな、中2・大谷莉々おおたにりりぃ記者、撮影さつえい小林武仁こばやしたけひと

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999520 0 キッズニュース 2020/01/20 05:20:00 2020/01/20 05:20:00 2020/01/20 05:20:00 えときは原稿で別送します。行数きつければメインのみ掲載で構いません https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200114-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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