大きな果実 真っ赤な果肉

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

東京生まれのイチゴ、「東京おひさまベリー」って?

 東京生まれのイチゴ「東京おひさまベリー」は、昨年春、露地栽培ろじさいばい用イチゴの新品種しんひんしゅとして農林水産省のうりんすいさんしょう登録とうろくされました。これまでの露地イチゴに比べて大粒おおつぶかおりがよく、果肉かにくまで赤いなどの特徴とくちょうがあります。開発した「東京都農林総合研究とうきょうとのうりんそうごうけんきゅうセンター」(立川市)を訪問ほうもんし、苦労くろう工夫くふうについて聞いてきました。

開発に約20年

「東京おひさまベリー」のレプリカ。中まで赤いので、ジャムやコンポートを作ると色がきれいになる
「東京おひさまベリー」のレプリカ。中まで赤いので、ジャムやコンポートを作ると色がきれいになる

 「東京おひさまベリー」の名前は、「太陽をいっぱいびて成長」「おひさまのように真っ赤にかがや果実かじつ」などをイメージして付けられたそうです。

 説明してくれた主任研究員しゅにんけんきゅういん沼尻勝人ぬまじりかつとさん(43)によると、おひさまベリーの開発が始まったのは、1999年のこと。最初は、現在の露地栽培用の主な品種である「宝交早生ほうこうわせ」と、ハウスでも露地でも栽培できる「女峰にょほう」を交配こうはいさせました。

 交配は、“母親”のイチゴの花のめしべに、他の品種の“父親”のおしべの花粉をつけて受粉じゅふんさせます。

 イチゴの場合、交配させた花に実ができたら、表面にあるプチプチしたたね一つひとつを植えて育て、その中で良いかぶを選び、またべつの品種と交配します。この作業をり返して、すぐれた性質せいしつを受けいだイチゴを作るのです。

 おひさまベリーは、29の組み合わせで交配して作った、1950もの株の中から選ばれました。果実が大きくていたみにくく、あまみと酸味さんみのバランスが良い、フローラルな香りで、果肉の中心まで赤い――などが特徴だそうです。

 株を選ぶポイントは、なんといっても味。甘みをはか糖度計とうどけいなどの機器も使いますが、沼尻さんは、「一番信頼しんらいできるのは『ベロメーター』、つまり、人が食べておいしいかどうかです」と言います。10人いれば10の好みがあるので、「8人がおいしいと思えばすごくいい出来」なのだそうです。

低コスト栽培

 なぜ、大都市・東京で、露地栽培用のイチゴの品種を開発したのでしょうか。

 東京の農家は、かぎられた面積めんせきの畑を活用し、時期によって様々な作物を作る「多品目栽培」が多いそう。イチゴは、ハウス栽培用のほうが長い期間収穫しゅうかくでき、多く生産せいさんできますが、コストや手間がかかるため、農家はイチゴ専業せんぎょうになりがち。おひさまベリーの開発が始まった当時は特に、低コストで作れる露地もののイチゴのほうがより求められていたそうです。

 さらに、沼尻さんは、「実は東京は、農業にてきした場所です」と教えてくれました。消費者しょうひしゃが近くに多くいて輸送費ゆそうひがあまりかからず、気候きこうおだやかなためだそうです。

 おひさまベリーは、今年の5月ごろ収穫されます。ただ、栽培が始まってまだまもなく、生産量も少ないため、スーパーではあまり販売はんばいされず、農産物直売所などで売られることが多いとみられるそう。このほか、イチゴ農園を区画に分けて、一般の人にお金を払ってもらって自由に収穫してもらう「み取り園」や、体験たいけん農園用のなえとして使われたりすることも見込みこまれます。

普及に制限なし

 イチゴは通常つうじょう、新品種が登録されてから25年は、開発された都道府県だけで利用することになっています。でも、東京は、広く普及ふきゅうさせるために制限せいげんをつけておらず、おひさまベリーは全国どこでも作ることができるそうです。

 沼尻さんは、「開発者として一番うれしいことは、食べた人が『おいしい』と言ってくれることです。プランター栽培もしやすいので、家庭でも作ったりして、たくさんの人に食べてもらえたら」と話します。

 今回の取材で、私たちが食べている作物も、開発した人、栽培した人、売る人など、たくさんの人々の時間と思いが詰まっているのだな、とあらためて感じました。これからも、そうした人たちに感謝かんしゃしながら、食べ物を口にしたいと思います。

 (高1・鈴木麻秀すずきましゅう、中2・飯島いいじまひかる、中1・久慈紗緒里くじさおり、小6・中野和貴なかのかずき、小5・中島なかじまあかね記者、撮影さつえい宮崎真みやざきまこと

無断転載・複製を禁じます
1125363 0 キッズニュース 2020/03/30 05:20:00 2020/03/30 05:20:00 2020/03/30 05:20:00 東京都農林総合研究センターが開発したイチゴの新品種「おひさまベリー」のレプリカ(3月10日、東京都立川市で)=宮崎真撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/03/20200323-OYT8I50058-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
ランチでご来店のお客様にジェラートをサービス
NEW
参考画像
600円300円
NEW
参考画像
アクティビティご利用でソフトドリンク1本サービス
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様の夕食時に地酒(お銚子)またはソフトドリンク1本サービス

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ