ジェンダーに注目した日本史の企画展って?

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男女の立場 時代で変化

被葬者が女性だった可能性が高い栃木県の甲塚(かぶとづか)古墳の埴輪
被葬者が女性だった可能性が高い栃木県の甲塚(かぶとづか)古墳の埴輪

 男女のジェンダー(社会的しゃかいてき・文化的に作られた性差せいさ)はなぜ生まれ、人々ひとびとはその中でどのように生きてきたのでしょうか? 国立歴史民俗博物館こくりつれきしみんぞくはくぶつかん千葉県佐倉市ちばけんさくらし)で開かれている企画展きかくてん性差ジェンダーの日本史」をたずね、古代から近現代きんげんだいまでの日本の性差の歴史を学んできました。

 「性差の日本史」展は、女性史じょせいし研究の成果せいかを生かし、280点以上の資料しりょうで日本史の中の性差を考える画期的かっきてきな展示です。展示プロジェクト代表で同館教授きょうじゅ横山百合子よこやまゆりこさん(64)によると、男女のちがいに焦点しょうてんを当てた研究はこれまでほとんどなかったそうで、今回はじめて展示される資料も多いそうです。

 展示室に入ると、様々さまざまなポーズをした埴輪はにわならんでいました。横山さんによると、古代には女性の首長もたくさんいて、女性被葬者ひそうしゃ古墳こふんには女性をかたどった埴輪が多いそう。前方後円墳の被葬者の3~5わりは女性だったと聞いておどろきました。

 7世紀まつから8世紀にかけて、日本が中国から律令体制りつりょうたいせいを取り入れ、律令国家となったことで変化へんかが起きます。戸籍こせきが作られ、男女で税負担ぜいふたんことなったため、性別せいべつが大きな意味を持つようになりました。

 やがて、「家」の意識いしきが高まってくるとともに、女性は家長のつまとして家にいさせられるようになります。それでも平安時代には、女性官僚かんりょうである「女房にょうぼう」として、女性が政治せいじ参加さんかしていました。「女院にょいん」とばれた、天皇てんのうきさきや母なども、絶大ぜつだい権力けんりょくを持っていたそうです。

 仕事についても、中世は、男女問わず、はたらく人を「職人しょくにん」と呼んでいました。当時の屏風びょうぶには、魚屋や染物そめもの屋など様々な職業の女性の姿すがたが描かれています。ところが、身分をはっきり定めた江戸えど時代になると、「職人といえば男性」となり、例えば、お客さんを訪ねてかみう「髪結かみゆい」は、女性が行うのは非合法ひごうほうとされました。女性の仕事は限られ、一時的で定まらないものとみなされました。

重要文化財 高橋由一画「美人(花魁)」油彩 1872(明治5)年東京藝術大学蔵
重要文化財 高橋由一画「美人(花魁)」油彩 1872(明治5)年東京藝術大学蔵

 それでも、江戸時代はまだ、女性が大名の妻やおく女中として、表で働く男性とやり取りするなど、政治の場で重要じゅうような役割をたしていました。女性が政治から完全かんぜん排除はいじょされたのは、大日本帝国憲法ていこくけんぽうが作られた明治からです。帝国憲法は女帝をみとめず、女性には選挙権せんきょけんも認めませんでした。

 今回の展示は、女性の性の売買にも焦点を当てています。古代、売春は職業として成立していませんでしたが、9世紀後半になると、芸能げいのうや売春を家業とする「遊女」が誕生たんじょう。16世紀末になると、人身売買された女性が売春をさせられる遊郭ゆうかくができ、江戸時代には、幕府公認ばくふこうにんの遊郭が全国各地かくち設置せっちされ、遊郭からの上納金じょうのうきんは幕府の大きな収入源しゅうにゅうげんになっていました。

 遊郭では、女性が借金しゃっきん担保たんぽにされたり、遊女のガイドブックのような本も作られたりしていました。会場では、当時人気だった「小稲こいな」という遊女の花魁おいらん姿を描いた油絵が目を引きます。

 明治になり、人権擁護じんけんようご奴隷解放どれいかいほう国際的こくさいてきな流れとなる中、政府は「芸娼妓げいしょうぎ解放れい」を出し、人身売買と売春の強要をきんじます。実際じっさいは、借金返済へんさいのために売春をつづけざるをない女性が多かったのに、表向きは「売春は女性自身の意志いし」とされるようになり、売春する女性へのマイナスイメージが増長ぞうちょうされました。一方で、1920年代には、大変多くの男性が遊郭を利用していたという統計とうけいのこっています。

根強く残る差別

 同展を見て、時代ごとに男女の立場や役割、女性への見方がわってきたことがよくわかりました。今の日本は、政治家や企業の役員などにまだまだ女性が少なく、性差別は根強く残っているように感じます。

 「時代によって『当たり前』と思われていたことは違う。歴史を知ることで、自分らしい生き方を見つけられるのではないでしょうか」と横山さんが話すように、わたしたちは、だれもが自分らしく生きられる社会をきずいていきたいと思いました。

 同展は12月6日まで。

 (高2・安田花やすだはな、高1・池田麻里子いけだまりこ、中2・杉本麻衣すぎもとまい、中1・岩瀬慧いわせけい、小6・池上颯いけがみそう記者)

無断転載・複製を禁じます
1620134 0 キッズニュース 2020/11/16 05:20:00 2020/11/19 14:08:40 2020/11/19 14:08:40 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201110-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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