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体温計に先人の知恵

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 新型しんがたコロナウイルス感染対策かんせんたいさくのため、体温計を毎日使うようになった人も多いのではないでしょうか。身近になった体温計の歴史れきしや仕組みを知りたくて、大正時代末期まっき国産こくさん体温計をはじめて量産化りょうさんかした医療機器いりょうききメーカー・テルモのマーケティング担当、園田そのだ有紀ゆきさん(47)と関口愉香せきぐちゆかさん(34)、広報の松田まつだみのりさん(27)の3人にリモートで取材しゅざいしました。

テルモの設立趣意書と初期の体温計(テルモ提供)
テルモの設立趣意書と初期の体温計(テルモ提供)

 テルモは第1次世界大戦たいせん影響えいきょうで体温計が輸入ゆにゅうできなくなったことをきっかけに、北里柴三郎博士きたざとしばさぶろうはかせらが発起人となり、1921年(大正10年)に設立せつりつされました。園田さんは「今年でちょうど100年。社名は、ドイツ語で体温計を意味する『テルモメーター』に由来します。大正の末期には医療従事者じゅうじしゃや一部の上流階級しか買えないような高価こうかなものでした」と教えてくれました。

 当時の体温計は細いガラスせいつつの中に、水銀が入った水銀体温計でした。今では当たり前のようにある体温計が、最初さいしょはとても高価だったというのはおどろきです。機械きかい生産せいさんするようになってから一般いっぱんの人々に普及ふきゅうしました。80年代頃ねんだいごろから水銀体温計はだんだん作られなくなり、電子体温計へわっていきました。

 体温は体の中心になるほど高く、健康けんこうな人はおよそ37度で安定しています。でも体の中心の体温は直接ちょくせつはかることができないため、体温計は体内の温度が反映はんえいされやすい、耳や口の中、わき下、直腸ちょくちょうなどで使います。

 わき下で体の中心温度を測るには、水銀体温計の場合、10分ほどかかりました。しかし、電子体温計は「予測式よそくしき」という方式を使い、センサーが読み取った温度から身体の中心の体温を予想することで、20秒ほどで体温を測ることができるそうです。測り方が大切で、ななめ下からわきにしっかりはさむことでより正確せいかくに測ることができます。

かつては職人がガラスを伸ばし、体温計用の細い筒を作っていた(テルモ提供)
かつては職人がガラスを伸ばし、体温計用の細い筒を作っていた(テルモ提供)

 現在げんざい、電子体温計には口の中で測る基礎きそ体温計、分かりやすいようメロディーでお知らせする体温計など様々なタイプが登場しています。昔は高価で一家に1本そなえることが目標もくひょうだったという体温計も、家族一人ひとりの目的もくてきにあったものが1本ずつあってもいいのかもしれません。

 最近さいきんでは、商業施設しせつなどで非接触型ひせっしょくがた体温計がよく使われています。これはひたいから出る赤外線をとらえて計測けいそくした額の表面温度とそのときの室温をもとに、わき下の体温に換算かんさんして表示ひょうじする仕組み。風やお化粧けしょうなどにより誤差ごさが生まれることもあるようです。

 100年前に体温計から始まったテルモは、現在ではいろんな医療機器を作っていて、グループ全体の約8わりは海外の社員です。コロナの治療ちりょうかかわる製品せいひんも多く、関口さんは、消毒しょうどくなど感染対策がしやすいよう工夫くふうされた医療機関用きかんようの新しい体温計を紹介しょうかいしてくれました。

 コロナの重症者じゅうしょうしゃ治療ちりょうに使われる体外式膜型まくがた人工はいECMOエクモ)も作っています。「もともと緊急きんきゅう医療の現場げんばで使われることが多く、一度に大量たいりょう必要ひつようとされるものではありませんでした。しかし、肺機能きのうが弱った患者かんじゃさんの肺を補助ほじょできることが分かって昨年さくねんの春ごろ急に病院からの問い合わせがえ、増産ぞうさんに取り組みました」と松田さんは話します。

 みなさんのお話を聞いて、ピッと測れるのが当たり前と感じていた体温計にたくさんの知恵ちえまっていることがよく分かりました。コロナ我慢がまんの日々がつづきますが、何より検温けんおんをしっかりすることで、自分の体の状態じょうたいを知ることが大切なのだと思います。

編集後記

 わたしは、毎朝体温をチェックしてから登校しています。毎日体温を測ることになり、測定そくてい時間が短い非接触の体温計を買いました。とても便利べんりになりましたが、体温計はどのように進化してきたのかなど、色々な興味きょうみ疑問ぎもんき、この取材を今回企画きかくしました。

 この取材を通し、体温計にはたくさんの工夫がされていることを知りました。便利になった体温計に感謝かんしゃをしながら、毎朝しっかり検温けんおんをしていきたいと思います。(久慈)

 (中3・久慈(くじ)紗緒里(さおり)記者★企画者、高2・田中(たなか)優衣(ゆい)記者、中2・青島(あおしま)アティーシャ・アンジェロ記者、中1・中島(なかじま)あかね記者)

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2076621 0 キッズニュース 2021/05/31 05:20:00 2021/06/01 11:14:13 2021/06/01 11:14:13 テルモの設立趣意書と初期の体温計(テルモ提供) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210521-OYT8I50026-T.jpg?type=thumbnail

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