落書き風のグラフィティアート(ストリートアート)で知られるバンクシーの作品と
描
かれた
街並
みを再現した
展覧会
「バンクシーって
誰
?展」が、東京・
天王洲
の寺田
倉庫
G1ビルで
開催
されています(12月5日まで)。展覧会を
企画
した日本テレビ・イベント事業部の落合ギャラン
健造
さんと、セットを作った日本テレビアート
美術
デザイン部の
北村春美
さんに、バンクシーの
魅力
や展覧会について聞きました。
世の中に平和の光
バンクシーは、
英国
や中東などの街角に絵を描くグラフィティアーティストです。
神出鬼没
で、ゲリラ
的
に描かれる作品は、
政治
や社会の様々な
矛盾
を表しているとも言われます。オークションで
落札
された絵が、
額縁
に仕込まれたシュレッダーで細かく切れてしまうという“シュレッダー事件”でも世間を
騒
がせました。
パレスチナ自治区に描かれた、花束を投げる青年の絵が再現されている (C)NTV
展覧会では、バンクシーの作品をほぼ実物大で、
実際
の街並みごと
再現
しています。中東の
紛争地
に描かれた、花束を投げる青年の絵は本物と同じ高さ5メートル近く。会場で大きさを実感できます。生きている
象
にペイントした作品の再現展示もインパクトがあります。まるでその場所にいるかのように感じられる「
没入型
」の展覧会です。
落合さんは、プロデューサーとして数々の展覧会に
携
わってきました。今回は、「面白い展覧会を日本
独自
の
視点
で開きたい」と企画したそうです。北村さんはデザイナーで、テレビ番組「
嵐
にしやがれ」のセットなどを手がけてきました。
もともと、この展覧会は去年の夏に開催が予定されていましたが、新型コロナウイルスの
影響
で
延期
となりました。今回は、コロナ
禍
を
風刺
したとも言われる、おばあさんがくしゃみをしている作品など新しい作品も組み入れ、
構成
を
変更
した上で作り上げました。
会場は、グラフィティアートが描かれた空間が、細部にまでこだわって再現されています。イギリスの街角を再現するため、「現地のごみ箱を取り
寄
せた」と明かす北村さん。
別
の作品では、中東の気温が高く
砂
が
舞
っているイメージを再現するために、「マンホールの上に砂をまいた」そうです。
落合さん(右)、北村さん(左)
ほかにも、作品が描かれた
薄
暗いトンネルに水が
染
み出したり、街角に
雑草
が生えたりしている様子もリアルで、たくさんのプロが携わり、長い期間をかけて
準備
されたからこそ、非常に高いクオリティーの展示になっています。「様々な視点で作品を
鑑賞
することで、新たな発見がある。何回も見てもらえたら」と北村さんは語ります。
「街中にあって、誰でも上書きができるグラフィティアートだからこその面白さがある」と、落合さん。バンクシーが
壁
に描いた、ハートの風船を持った女の子の絵のそばに、誰かが「THERE IS ALWAYS HOPE(いつだって
希望
はある)」と書き
加
えた作品もあります。この一文が加わったことで、風船に希望がつまっているようにも感じられました。
よりよい世界を作っていくために、「アートは平和的な方法だと思う」と、落合さんは語ります。バンクシーは、世の中の光の当たりにくいものに、あえて光を当てようとしているようです。
明るいニュースの
裏
には、
暴動
や
人種差別
といった、様々な問題があります。バンクシーは、「現代社会の問題はここにあるよ」と、伝えてくれているのではないでしょうか。バンクシーの作品をきっかけに、私たちもそんな問題を考えていきたいと思いました。
編集後記
世界の問題について見て見ぬふりをさせないバンクシーの作品には、世界を
巻
き込むようなパワーがあるということを実感しました。また、この展覧会は、そのような作品を、とても高いクオリティーで再現し、かつ楽しい
仕掛
けがたくさんある展示になっています。私も、新型コロナウイルスの逆風を追い風にできるぐらいに、充実した生活を送っていきたいと思います。(
塚原
)
★企画者・
塚原瑠奈
(高1)、
橋本奈帆
(中1)、
高庄愛優香
(小6)