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    読売中高生新聞の投稿アプリ「Yteen」から、注目のトピックをお届けします。

    読売中高生新聞「平成時代アンケート」

    中高生がポスト平成で大切に 「平和」「安全」「安心」

     平成時代が残り半年となり、読売中高生新聞は全国の中高生約2万1000人を対象に、「平成後」の時代に大切にしたい価値観などを尋ねるアンケートを実施した。1位は「平和」で全体の41%(複数回答)を占めた。

     アンケートは今年7~9月末に実施。17都道府県の58校計2万980人から回答を得た。

     平成後に大切にしたい価値観については、40個の言葉の中から最大3個まで選んでもらう方式で実施。1位の「平和」に続き、2位は「安全」、3位は「安心」と、穏やかな暮らしを望む傾向がうかがえた。一方、経済的な豊かさや社会的な進歩に関する言葉は伸びず、「発展」は9位、「競争」は28位だった。

     さらに、平成後の時代で注目する社会課題(複数回答)についても尋ねたところ、「少子高齢化への対応」が最多の42%を占め、2位には「環境問題への対応」が入った。安定的な社会を求めつつも、社会の「持続可能性」に危機感を持っている若者たちの姿が浮かび上がった。

     読売中高生新聞は11月で創刊4周年。アンケートは、学校への教育支援事業を展開する「読売教育ネットワーク」や読売新聞の受験情報サイト「中学受験サポート」の会員校などの協力のもと行った。

    Q 大切な価値観は

    ◆1位 平和 維持する責任 2位 安全、3位 安心 災害やいじめ念頭

     「平成の次の時代は、どんな価値観を大切にする社会になってほしいか」という質問で、編集室が挙げた40の言葉の中で圧倒的な1位となったのが「平和」だ。

     目立ったのが、戦争を知る人たちが少なくなっていることへの不安と、平和の尊さを次世代に語り次ぐ責任についての意見だ。「戦争を経験した世代が少なくなる中、平和を維持するのは簡単ではない」(東京都・高校1年女子)や「戦争を経験した人が必死に伝えてきた努力が水の泡にならないようにしなければならない」(宮城県・高校2年女子)などの声が寄せられた。

     2位「安全」と3位「安心」では、「自然災害から多くの人を助けられる、安全に暮らせる環境が必要」(東京都・中学3年女子)や「いじめや虐待など、何かにおびえて当たり前の生活ができない人がいなくなるようになってほしい」(秋田県・中学1年女子)など、暮らしに深く関わる意見が多く寄せられた。

     6位となったのは「伝統」。「日本の伝統は観光にもすごく関わっていると思う。伝統を受け継ぐ人が少なくなっているのは問題」(東京都・高校1年男子)など、政府が掲げる観光立国や地方創生といった政策にも関わるとの意見があった。

    ◎中高生がポスト平成の世に求める価値観の順位は次の通り。

    〈1〉平和〈2〉安全〈3〉安心〈4〉自由〈5〉平等〈6〉伝統〈7〉安定〈8〉責任〈9〉発展〈10〉公平〈11〉共存〈12〉挑戦〈13〉成長〈14〉余裕〈15〉改革〈16〉多様〈17〉維持〈18〉創造〈19〉復活〈20〉正義〈21〉持続〈22〉繁栄〈23〉健全〈24〉寛容〈25〉調和〈26〉成功〈27〉効率〈28〉競争〈29〉礼節〈30〉国益〈31〉勤勉〈32〉博愛〈33〉節度〈34〉義務〈35〉転換〈36〉奉仕〈37〉公共〈38〉扶助〈39〉自助〈40〉成熟

    Q 注目の社会課題

    ◆負担増、地方衰退 強い危機感

     ポスト平成時代で注目する社会的な課題で1位となった「少子高齢化への対応」では、次世代を生き抜く当事者としての切実な危機感があらわになった。

     目立つのは、「高齢化が進むと若い世代の負担が増える」(千葉県・高校2年男子)といった将来の負担増を懸念する意見だ。「地元・秋田県の人口も100万人以下になった。少子高齢化で地域の子どもが少なくなり、後継ぎの問題が出てきている」(秋田県・中学2年男子)など地方の衰退を心配する声も少なくなかった。

     2位の「環境問題への対応」は、「日本は今年も猛暑に見舞われたが、地球温暖化や海面の上昇などさまざまな問題が生まれている」(宮城県・高校1年女子)など、相次ぐ異常気象への不安が多かった。

     将来の進路や仕事に関する社会課題も上位に入った。

     4位の「働き方改革」では、「通勤列車の中の大人を見ると不機嫌そうな表情をしている人が多い。ブラック企業や過労死などが問題になるが、働くことに喜びを感じる人が減ってきているのでは」(東京都・高校2年女子)といった意見もあった。

     5位に入った「女性の社会進出」では、今年になって明らかになった私立大学医学部での不正入試に対する失望の声も上がった。「『女性』というだけで点数を落とされるようなことが、平成になっても改善されないのはおかしい」(埼玉県・中学1年女子)

    Q 平成は「平和」「豊か」だったか

    ◆6割が前向き評価

     アンケートでは平成時代への評価も聞いた。平成は日本にとって、「平和な時代だったか」「豊かな時代だったか」のどちらの質問でも、肯定的な意見が6割前後を占め、若い世代が平成に対して前向きな評価をしていることがわかった。

     「平和とは言えない」という意見で多かったのは、「戦争こそなかったが、東日本大震災を含め大規模災害が数多く起こった」(岡山県・中学1年男子)という意見。北朝鮮による核・ミサイル開発を指摘する声も少なくなかった。

     一方、「豊かとは言えない」とした人は、「都会は開発が進み、豊かになっているが、田舎は過疎化が進み、決して豊かとは言えない」(秋田県・中学3年男子)といった都市と地方の格差への不満が多かった。また、「技術が進歩して物質的には豊かになったが、人と人との関わりや心のふれあいなどが希薄になってしまった」(神奈川県・高校2年女子)など、人間関係の希薄化や心の豊かさについての指摘もあった。

    ◆アンケート実施方法

     調査は今年7~9月に実施。参加したのは、出前授業など学校への教育支援を行う「読売教育ネットワーク」や読売新聞の受験情報サイト「中学受験サポート」の会員校を中心に17都道府県58校で、中学1年から高校3年まで2万980人から回答を得た。

    当たり前ではなくなった「平和」

    ◇俵万智 歌人

     中高生の回答そのものが平成だと感じた。昭和のようなすごい上昇志向は感じられないけど、身近な社会問題に注目し、しらけているわけでもない。便利になった分、人とのつながりが希薄になったと感じるなど、漠然とした不安を受け止めつつ、世界と比べて相対的に豊かで平和な生活を送っていると実感している。いかにも平成らしい。

     大切にしたい価値観で、「平和」「安全」「安心」が上位に入ったのは、この三つが生物的に生きる意味で大事なので理解できる。一方、「公平」(10位)、「多様」(16位)、「寛容」(24位)など、成熟社会で重きが置かれる価値観の順位が低いのは意外だ。

     私が10代の頃、日本は安全で、戦争なんてとんでもないと考えていた。平和や安全はあえて言葉にしなくても、そこにあるもの。ところが今は、昔ほどには、当たり前でないのかもしれない。「平和」で言えば、どんどん戦争の記憶が薄れていく中、私自身「怖いな」と思うことがある。回答には、そんな大人の危機感が反映されたのだろう。

     平和や安全が当たり前になってはじめて、寛容、多様などの価値観が必要という発想が出てくる。年齢的なこともあるだろうが、社会の未熟な部分を中高生の回答がくみ取っているとも言える。

    「責任」 大人への強烈なメッセージ

    ◇萱野稔人 津田塾大教授(政治哲学)

     中高生が、次の時代で大切にしてほしい価値観として「責任」を上位に挙げたことに注目したい。少子高齢化、低成長の時代に社会問題の解決を先送りしてきた年長世代への強烈なメッセージだと言える。

     実際、次の時代で注目する社会的課題では「少子高齢化への対応」が1位となった。少子高齢化は対処を怠れば社会の活力を奪い、若者世代には負担増を強いることになる。ここまで票を集めたのは、10代はこれまでの対処が不十分で「自分たちの世代が割を食う」と考えたためだろう。

     「国家財政の立て直し」の注目度も高い。国と地方を合わせた長期債務残高は1100兆円を超える。日本の予算は借金をしなければ、組み立てられない状況だ。膨れあがった借金は若い世代へのツケとなる。年長世代は、国家財政について中高生が強い問題意識を持っている事実を深刻に受け止める必要がある。

     平成で積み上げられた課題に対して、次の時代には、社会全体として逃げずに、「責任」を持って向き合う必要があると中高生は考えているのだろう。

    ご意見、感想をお寄せください

     ポスト平成の日本を担う10代の“時代観”、読者のみなさんはどのように感じましたか? 読売中高生新聞では、「中高生 平成時代アンケート」へのご意見・感想を募集しています。

    〈1〉アンケート結果への感想

    〈2〉皆さんが築き上げてきた平成時代を100点満点で採点すると? また、その理由

    の2点について、〈1〉氏名〈2〉年齢〈3〉居住の都道府県〈4〉連絡先の電話番号――を記載の上、以下のあて先にお送りください。

     寄せられたご意見・感想は、大人の視点として読売中高生新聞などで10代に向けて発信します。

    送り先

     ■郵送 〒103・8601 日本橋郵便局留 読売中高生新聞編集室 「平成時代アンケート」係

     ■メール chukousei@yomiuri.com

     ■ファクス 03・5200・1818

    2018年11月20日 12時02分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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