夢をのせて、発射!(2)

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普連土学園(東京都) 理科部

こんな話です

 「上下関係がなさそう」という理由で理科部ロケット班に入部したノリカ。小型ロケットの打ち上げになれてきた中2の終わり、3人の同級生とともに新たな挑戦を決意する。大型ロケットを飛ばす「ロケット甲子園」への挑戦だ。

▽過去の連載
 夢に向かって撃て!(1)

未知の大型。卵は死守。甲子園の道険し

 その刺激的な挑戦は、小型ロケット打ち上げにようやく慣れてきた中2の終わり、またもや例のハイテンションな先輩の一言で始まった。

 「大型ロケットの全国大会があるらしいよ!! ロケット甲子園って言うんだって」

 !! なんてベタなネーミング、と思ったかどうかは別として、甲子園という言葉の響きには、やはり心くすぐられる。しかも、高校生だけじゃなく、中学生も参加できるというから、何だか飛び級みたいでカッコいい。

 「大型ロケット、ちょっとやってみたいかも」

 それがノリカの直感。同学年のミナもルミもエリコも同じ意見のようだ。4人とも大型打ち上げに必要な3級ライセンスは持っていたので、話題はすぐに「大型ロケットって、どうやって作るのか?」に移っていた。

超ハイレベル

 「……。う~ん、参った」

 異様に盛り上がるノリカらを横目に、理科室の隅っこで一人不安を募らせていたのが、顧問の松浦良知先生だ。

 もともと専門は、物理ではなく化学。ロケット打ち上げの指導講師ライセンスは持っているが、打ち上げてきたのは、エンジンの火薬量が20g未満のいわゆる小型ロケット。それ以上の火薬を使う大型の打ち上げは、経験したことがなかった。

 おまけに彼女たちが目指す「ロケット甲子園」は超ハイレベルな技術が求められる。ただロケットを飛ばせばいいわけでなく、決められた高度までいかに正確に飛ばせるか、発射から着陸までを指定された時間内に収められるか、などを競う。

 もっと大変なのが、「卵対策」だ。大会では、ロケット内部に人に見立てた生卵を搭載する。ロケットが回収された際にこの卵が割れていたら記録なし。ロケットは基本、人やモノを上空に運ぶ手段だから、中の安全が保たれないようでは意味がない、というわけだ。

 「ロケット甲子園はきついぞ、相当な覚悟もいる。会場も秋田県だし、遠いしさ……」

 松浦先生は少し困った顔をしてつぶやいてみたが、時すでに遅し。ノリカらの心は完全に大型ロケットモードになっていた。

ぶっつけ本番

 と、いうわけで始まった大型ロケット作り。これが、いざ作業に取りかかると、思いのほか、大変だった。

 例えば、小型の時は発泡スチロール板で作っていた部品が木製のベニヤ板になる。今まではカッターで十分だったのに、今度は電動ノコギリを正確に使いこなさなければならなくなる。

 小型と違って部品も多く、製作は分業体制に。具体的には、

 ▽ノリカ:高度計と卵を搭載する「ペイロード」担当

 ▽エリコ:エンジンをセットする「エンジンマウント」担当

 ▽ミナ:空気抵抗を減らす先端の「ノーズコーン」担当

 ▽ルミ:パラシュートの放出機構担当

といった感じで、1人でも作業をサボれば、全体に迷惑がかかることになる。

 悪戦苦闘の末、記念すべき第1号(全長91cm)が完成したのは中3の8月、ロケット甲子園の3日前のことだ。

 モデルロケット愛好家に「問題なく飛ぶのでは?」とお墨付きはもらったものの、試射する時間も場所もなし。実際に飛ぶかどうかわかるのは、ロケット甲子園当日という、まさしく“ぶっつけ本番”の初挑戦だ。

 大会前、4人はそれぞれの頭文字をとり、チーム名を「MERN(メルン)」と名付けた。(高校生の登場人物はすべて仮名です)

夢をのせて、発射!(3)はこちら

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576651 0 部活の惑星 2019/05/14 05:20:00 2019/05/15 09:38:21 2019/05/15 09:38:21 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190510-OYT8I50060-T.jpg?type=thumbnail

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