夢をのせて、発射!(3)

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普連土学園(東京都) 理科部

こんな話です

 同級生3人とともにロケット甲子園に初挑戦した中3のノリカ。3日前に完成した大型ロケットは初めての打ち上げでまずまずの記録を残す。4人はさらなる高みを目指し、翌年もロケット甲子園を目指すことを決めたのだが……。

▽過去の連載
 夢に向かって撃て!(1)(2)

一人より、みんな。一つより、いっぱい

 昨年8月下旬。ノリカはミナ、エリコ、ルミとともに秋田県能代市にいた。高校バスケの名門・能代工で有名な県北の地方都市だが、実は毎年、ロケット甲子園の会場にもなっている。

 初めて作った大型ロケットをひっさげて、大会に挑む4人。参加7チームのうち、中学生のみはノリカらのチーム「MERN(メルン)」だけということもあり、結果というより、まだ見ぬ自分たちの大型ロケットの軌道への期待に胸を膨らませていた。

 1回目の打ち上げ。エンジンの点火ボタンを押した瞬間、

 「ゴーーーーーーッ!!」

 7か月かけて完成させた(いと)しのロケットは空気を切り裂くような鋭い音とともに、あっという間に青空に消えた。

 見事な成功。目標高度244mに対し、203mを記録し、4人は歓喜のハイタッチを繰り返した。

 2回目はロケット内部に搭載した生卵が割れて記録なしとなったものの、最終成績は7校中4位。初めてにしては上々の結果に「もう少し頑張れば、強豪校に勝つのも夢じゃない!!」。帰りの新幹線で4人は早速、翌年のリベンジを誓った。

 だけど……。

5cmの落下傘

 年が明けると、ノリカの足は次第に理科室から遠のいた。

 興味がなくなったわけではない。ただ純粋に怖かった。

 ロケット甲子園での優勝には、自分の担当分野である「生卵対策」は絶対条件。だが、200m以上の高さから降下する衝撃から、いかに卵を守るか。アイデアが思い浮かばなかった。

 周囲を見れば、ルミもミナもエリコも自分の担当分野で次々と改良を加えている。「こんなふうにしてみたけど、どう?」なんて、目をキラキラさせる仲間を見る度に焦りが募った。

 極めつきは、5月に発表された今年の大会規定。昨年は2個だった生卵が増量されて3個になっただけではなく、降下する時に使うパラシュートのルールには目を疑った。

 直径5cm!!

 パラシュートっていえば、大型なら少なくとも40cmはあるもの。なのに5cmって。ノリカは絶望で頭の中が真っ白になった。

「相談しようよ」

 夏休みに入った直後、ノリカはミナに呼び止められた。

 ミナが真剣な表情で、こう切り出した。

 「みんなで一つのものを作っているんだから、1か所でも抜けていたら完成しない」

 その先は聞かなくても分かる。大事な役割を担っているのに、最近は全然、理科室に顔出してない。みんなが迷惑してるのは、私だってわかって――

 「大変なのはわかるし、一人で抱え込まなくていいよ。みんなに相談しようよ」

 えっ? 一瞬、驚いた表情をしたノリカに、ルミとエリコも、そうだよ、と(うなず)く。

 た、確かにそうだよね。そっか、私、みんなに相談すればよかったんだ。何で一人で悩んでたんだろう。あまりにズバッと言われて涙も出ない。

 「ごめん。そうだった」

 ノリカはペコリと頭を下げた。

 とは言っても、ここまで来ればできることは限られる。生卵を守る内部構造は大きく変えず、ひとまず規定が変わったパラシュートに集中することに。

 作戦は――ひたすら作って、たくさんつける!!

 土壇場で復活したチーム「MERN」による気合のパラシュート製作はロケット甲子園に向かう新幹線の車内でも続いた。(高校生の登場人物はすべて仮名です)

夢をのせて、発射!(4)はこちら

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576656 0 部活の惑星 2019/05/15 05:20:00 2019/05/16 09:38:37 2019/05/16 09:38:37 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190510-OYT8I50061-T.jpg?type=thumbnail

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