夢をのせて、発射!(4)

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普連土学園(東京都) 理科部

こんな話です

 一昨年、ロケット甲子園初出場で4位の好成績を残したノリカたちチーム「MERN」。さらなる高みを目指し、昨年もロケット甲子園に挑戦したが、前年よりはるかに難度が増した大会規定に大苦戦。ロケット製作は大会前日の深夜まで続き、ノリカらは一昨年同様、ぶっつけ本番で大会に臨むこととなった。

▽過去の連載
 夢に向かって撃て!(1)(2)(3)

パラシュート×35個作戦。 ぶっつけ本番

 昨年8月20日、ロケット甲子園当日。決戦の地・秋田県能代市の空は、どこまでも青く晴れ渡っていた。

 絶好の打ち上げ日和。会場に着くと、すでに他校の生徒たちが自前のロケットを手に、最後の調整を進めている。

 優勝候補の埼玉の大宮工業、地元の強豪・能代高校……。参加するのは全部で5チームだけど、前にも話したように、大型ロケットの製作には超ハイレベルな技術が必要。ここに集っているのは全国有数の中高生ロケット職人たちと言っても過言ではない。

 ただし、ノリカらチーム「MERN(メルン)」はちょっと寝不足気味。直径5cmのミニパラシュート製作がなかなか終わらず、宿舎でも深夜まで作業を続けていた。

 もちろん「小さければ、たくさん付ければいい」との仮説を検証する時間もなかった。ロケット甲子園に初めて参加した一昨年、「1年後にはリベンジする」と誓ったはずなのに、結局は今回も“ぶっつけ本番”に。

 「頼むから、開いて。ミニパラシュート……」。機体検査を終え、ノリカは祈るような気持ちで仲間と発射場所に向かった。

チーム戦略

 ここでロケット甲子園のルールを簡単におさらい。

 この大会は、あらかじめ設定された目標高度と滞空時間に、いかに近い記録を残せるかで争う。ロケットを安全に地上におろす技術も問われ、着地した際、ロケット内に搭載した生卵(今回は3個)が一つでも割れたら記録なしに終わる。

 チーム戦略も重要だ。打ち上げは計2回行い、良い方のスコアがチームの得点になる。だから、各チームは1回目の結果を踏まえ、2回目にはロケットを微修正して臨む。

 一昨年で言えば、チーム「MERN」は1回目の打ち上げは成功したものの、優勝するには、高度が足ルミかったため、2回目の発射では生卵を守る緩衝材を減らしてロケットを減量。結果的に生卵が割れ、2回目は記録なしに終わっている。

1回目「いくよ」

 と、言うわけで、試合の流れを決める1回目の発射。

 「いくよ」。カウントダウンの後、ルミが緊張した面持ちで発射スイッチを押す。

 ゴーーーーーッという音とともに空高く上がっていくロケット。下から見る限り、きれいな軌道。あとは、ミニパラシュートがちゃんと開き、空気抵抗を受けてくれるかどうか……。

 ロケットが上昇を止めた瞬間、パッと姿を見せたミニパラシュート×35個。「よしっ!!」。一瞬、目を輝かせたノリカだったが、その表情はすぐに失望に変わった。パラシュートは空気をつかむことなく、リボンのようにひらひらと舞い続け、チーム「MERN」の夢を乗せたロケットは無残に地面に打ち付けられた。

 ロケットを回収し、記録を測るテントまで持っていく。ノリカはついさっき、自分でセットしたばかりの卵を触った。ぐにゃり。柔らかい感触。ダメだ。

 「卵1個割れ」。審査員が大きな声で宣言した。1回目は記録なし。

 絶体絶命の状況の中、唯一の希望は目標高度約260mに対し、約249mの高さを出せたこと。全5チームの中でも圧倒的な正確性だ。ここでチームは大きな決断をする。

 「次もパラシュートが十分に機能する保証はない。高度は多少、犠牲にしてもいいから、卵を守る緩衝材を増やそう」(高校生の登場人物はすべて仮名です)

夢をのせて、発射!(5)はこちら

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576661 0 部活の惑星 2019/05/16 05:20:00 2019/05/17 09:34:34 2019/05/17 09:34:34 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190510-OYT8I50064-T.jpg?type=thumbnail

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