最高峰のコシ(1)

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ひばりが丘高(山梨県) うどん部

「もぐもぐ」「ズズズッ」 恍惚のため息

 名峰・富士の麓に広がる山梨県富士吉田市。その春は新倉山浅間公園で開かれる「桜まつり」とともに幕を開ける。

 3年前に始まったばかりのイベントだけど、雪化粧の富士山と満開のソメイヨシノを同時に楽しめる場所なんて、そうそうない。「ザ・日本」な風景が撮影できる“インスタ映えスポット”として、最近では外国人観光客も大勢、訪れるんだ。

 まつりのメインイベントは開催中の土日に開かれる「さくらマルシェ」。地元グルメを集めた出店が並ぶんだけど、この日は、地元のソウルフード「吉田のうどん」を愛するひばりが丘高校うどん部にとって、1年で最も燃える瞬間の一つでもある。 

吉田の郷土料理

 えっ、吉田のうどん、知らない? しょうがない。みんなも一生に一度は富士山に遊びに行くだろうから、ぜひこの機会に覚えておいてほしい。

 吉田のうどんは、富士吉田市に伝わる郷土料理。太くてコシの強い麺や、馬肉とキャベツを使ったトッピング、みそとしょうゆベースのスープが特徴だ。

 標高650~850mの冷涼な気候に加え、富士山の溶岩の影響で、稲作に向かない土地だったことから、大麦や小麦が作られるようになり、うどん文化が発展したといわれている。馬肉を使っているところも、なんとなく戦国時代の武田騎馬軍団を想起させて、いかにもカッコイイだろう?

 特に「桜まつり」の時期は、湯気立ちのぼるうどんは大人気。ひっきりなしに訪れるお客さんは丼を手にした瞬間、一心不乱に熱々のうどんを「もぐもぐ」「ズズズッ」とすすってくれる。

 絶妙な塩加減の濃厚スープも日本人のDNAを刺激する。口に入れた瞬間に広がるみその優しい味わいと香り。想像しただけで、よだれが出てくるよね!

 そして、丼の底が見えてきた頃、お客さんが思わず漏らす「ああ~」という恍惚(こうこつ)のため息。これを聞く度に、僕らうどん職人は「うん、今日も良い仕事をしたなぁ」としみじみ思うのだ。

 というわけで、今年も我が部の出店は「花よりうどん」と言わんばかりの大盛況。食材がなくなり、予定より早く店じまいをすることになったのだった。 

「讃岐」超え 目指す

 いらっしゃいませぇぇぇ~!

 どうも。ひばりが丘高校4年で、うどん部の部長をやってるツトムです。

 俺たちうどん部は、各地のイベントや市内のスーパーでうどんを売り、「吉田のうどん」の地位向上を目指す活動を続けている。部員は3人+助っ人1人しかいないけど、目標は、うどん界の帝王・讃岐うどん超え。日々、熱々の鍋の前で汗をかきかきうどんをゆでているんだ。

 あっ、なんで4年生なのかというと、ひばりが丘高校は定時制の高校だから。俺の場合は昼間部と言って、授業は朝10時から午後2時過ぎまでで、4年かけて高校を卒業するカリキュラム。3年で卒業できる課程もあるけど、正直、俺はうどん部で少しでも長く修業を重ねたいと思っている。だって、今の俺には夢があるから。

 いつか、うどん屋を開く――

 ドン引きするぐらいストレートな夢。だけど、うどんって知れば知るほど熱くなれる食べ物なんだ。

 どうして、こんなにうどんが好きになっちゃったのか。俺たちの物語を読めば、みんなもきっとわかるはずだ。(高校生の登場人物はすべて仮名です)

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881210 0 部活の惑星 2019/11/05 10:00:00 2019/11/06 10:01:14 2019/11/06 10:01:14 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191024-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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