最高峰のコシ(3)

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ひばりが丘高(山梨県) うどん部

こんな話です


 地元から大きな期待を寄せられるうどん部。ツトムらは吉田のうどんの後継者不足を解決するため、ついに新たな挑戦に踏み出す。それは、自らうどん店を開くことだった。

▽過去の連載
 最高峰のコシ(1)(2)

「お店、空きスペース使って」 神様ですか!?

 「おっ、うどん部の生徒じゃないか。応援してるぜ!!」

 「えっ、はい。あ、ありがとうございますっ!!(……てか、このおじさん、誰?)」

 うどん部に入ると、街中を歩いているだけで、見ず知らずの人から声をかけられる。自分で言うのもなんだけど、俺たちは富士吉田市ではちょっとした有名人なのだ。

 地元のソウルフード「吉田のうどん」を広める俺たちの活動は、イベントでうどんを売るだけにとどまらない。実は年に1度発行するフリーペーパー「うどんなび」の製作作業も活動の大きな柱だ。

 オールカラー28ページすべてが吉田のうどん尽くし。オススメのうどん店の紹介から、市内のうどん店で使える超お得な割引クーポンまでついている。

 最初は2400部からスタートしたけど、昨年の発行部数はなんと7万5000部。もはや市民で知らない者はいないほどまでに大人気になった。

 そんな活動も認められて、うどん部には市公認の「うどん観光大使」という肩書も与えられている。俺たちの活動はすでに部活の枠を超え、地域おこしのフェーズに入っているのだ。

地元のスーパー

 ただ、周囲の期待が大きければ大きいほど、目の前にある課題も大きくみえる。特に後継者不足は、ほかのどの地域の産業も直面しているだけに、ちょっとやそっとでは解決できない。

 みんなの度肝を抜く解決策……。その一手として、以前から部内で持ち上がっていたのが、「自分たちで店を開く」。

 無謀に思えるかもしれないが、高校生が店をやっているとなれば、これまで以上にマスコミから注目されるはず。後継者がいないなら、自分たちがなればいいという発想だ。

 ただ、俺たちには店を開く場所もなければ、ノウハウもない。開店構想は部内で浮かんでは消えてきた。

 そんなときだった。高2になった俺は、普段からひいきにしてくれている地元スーパーの社長と話す機会があった。 

 「将来的には、お店も開きたいんですよ~」

 そのとき放った俺の何げない一言が事態を急転させる。

 「そうなの? じゃあ、うちのスーパーでやれば?」

 「(えっ?)・・・」

 「聞こえないの? いいよ。フードコートの一角に空きスペースがあるから使ってよ」

 いいんですかぁぁぁ!? さすが、社長っ!! いや、あなたは神様ですか!? 

 「やらせてください!!」

 俺はもちろん、即答した。

初代店長


 念願(かな)ったものの、しばらくすると俺は怖くなった。

 オープンは先輩がみな卒業した後。もし後輩が一人も入ってこなかったら、春からは唯一の部員となる俺に全てが託されることになる。

 それに俺は、市民の熱すぎるうどん愛を知っている。いくらうどん店を作っても、ひいきの店が決まると、自分にとって一番の店から浮気をする人は少ない。店がうまくいけば、やっかみが生まれそうだし、逆に最初に「まずい!!」なんて話になったら……小さな街だ。ウワサはものすごいスピードで広まる。

 とにかく最初が肝心。うどん部の部長と同時に、“初代店長”に就任した俺は、オープンぎりぎりまでスープや麺の研究を続けたのだった。(高校生の登場人物はすべて仮名です)

 最高峰のコシ(4)はこちら

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885289 0 部活の惑星 2019/11/07 09:55:00 2019/11/08 10:11:05 2019/11/08 10:11:05 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191024-OYT8I50049-T.jpg?type=thumbnail

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