遊びじゃないの(1)

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昭和女子大付属昭和中・高 ドッジボール部

緊迫の5分間 体も頭もフル回転

 ピーンと張りつめた空気漂う放課後の体育館。コートの内と外でゆったりとボールを回す後輩たちを私はじっと観察した。中2のエース・エリカがボールを手にした瞬間……来るッ!!

 しなやかで長い腕から繰り出された剛速球が、ビュンと空気を切り裂き、私の頭のすぐ上を通り抜ける。

 すぐに後ろを振り返る。ヤバッ!! 同じく中2のミナが目の前でもうボールを持って振りかぶっている。

 これはかわせない。腹をくくって、至近距離から放たれたボールを体全体で受け止める。ドンッという衝撃とともに、何とかキャッチ。よっしゃ! 私は、慌てて逃げる相手の内野にボールを当てた。

 ふ~。危ない危ない。エリカたち、また上手くなっている。

 数秒間の緊迫の攻防を終え、私はホッと一息ついた。

 みなさん、こんにちは。いきなりエンジン全開で申し訳ありません。私は昭和女子大付属昭和中・高ドッジボール部のキャプテンで高2のナミ。今回は私が、奥深きドッジボールの世界を紹介していきます。

12人対12人

 って、今、「ドッジボールなんて子どもの遊びでしょ?」な~んて思ったそこのキミ!! あなたはまだドッジボールの本当の魅力を知らない!

 まずルールの説明から。日本ドッジボール協会の公式ルールでは、試合は12人対12人で行う。「内野にいて、相手にボールを当てられたら外野に出る」「外野が相手の内野に当てれば、内野に入れる」など、大まかなルールは遊びと同じで、最終的に内野に残っている人数を競う。

 試合時間はわずか5分。さっきも紹介した「投げる」「捕る」「かわす」という緊迫の攻防をひたすら繰り返すわけだから、試合が終わった後にはみな肩で息するぐらいハードだ。

 頭も使う。ちゃんとしたチーム相手ではただ投げただけでは、キャッチされるだけ。「相手で一番弱いのは誰か」「どのタイミングで相手に攻撃をしかけるか」などなど、試合中はお互いに内野と外野でボールを回しながら、相手を観察し、めまぐるしい頭脳戦を繰り広げる。

 ほら、完全にスポーツでしょ?

 ちなみにサッカーやバレーボールと同じように役割もあって、私やエリカ、ミナは「アタッカー」。名前の通り「攻撃する人=相手に当てる専門の人」だ。逆に相手のボールをキャッチして、マイボールにする役割を「キャッチャー」と呼ぶ。

「甲子園」がない

 ただ、私たちの部には一つだけ、ほかの運動部と違うところがある。それは“なんとか甲子園”みたいに目指すべき中高生向けの大会がない、ということ。

 顧問の先生いわく、全国の中学校・高校で部活としての「ドッジボール部」があるのは、うちの学校だけらしい。なので当然、学校単位の部活の戦いなんてあるわけなくて、同世代とは練習試合すら組めない。

 年に何回かは、年齢も性別も関係なく参加できる大人向け大会に出場するけど、相手は大学生や大人(しかも男性込みの混合チーム)ばかり。勝てるわけがない。

 そんな状況でも私がここまでドッジを続けてこられたのは、コンマ数秒の判断が勝敗を分けるスリル満点の攻防がたまらなく好きだから。そして2年前、エリカとミナという好対照な2人の後輩が入部してきた時、チームに新たな目標が出来たから。

 どうせやるなら大人に勝つ!(高校生の登場人物は全て仮名です)

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1243765 0 部活の惑星 2020/06/01 11:00:00 2020/06/17 11:23:02 2020/06/17 11:23:02 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200518-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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