仲間とつながる(下)

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N高校(単位制・通信制課程) eスポーツ部

こんな話です

 中高生新聞編集室のメンバーである僕は、シューティングゲーム「フォートナイト」の初心者講習会に参加した。部員たちの和やかな雰囲気に懐かしさを覚え、講師の「まずはゲームを楽しもう」という言葉が胸に響いた。

過去の連載
 仲間とつながる(上)

怖い先輩も顧問もいない。「楽しい」が一番

eスポーツに本気で打ち込んでいるからこそ、勝利の瞬間には涙がこぼれる
eスポーツに本気で打ち込んでいるからこそ、勝利の瞬間には涙がこぼれる

 ゲームが得意ではないのに、eスポーツに挑戦した僕。参加者のなかでは最も下手で、指がもつれて思うように操作できないことがたびたびあった。そんな時はきまって、プロゲーマーである講師の「KilluA(キルア)」さんから「ゆっくりでいいですよ」と言葉をかけられた。

 初心者講習会ということもあってか、キルアさんは誰に対しても、ものすごく優しかった。ほかの部員には「そうそう、そんな感じ。いいですね」といった具合に。

 実は、部員同士も丁寧な言葉でやりとりしていた。参加者は1~3年までいたが、上下関係はまったく意識していないようだった。

みんなが対等

N高の生徒たちは、チャットでも丁寧な言葉遣いでやりとりしている
N高の生徒たちは、チャットでも丁寧な言葉遣いでやりとりしている

 そのわけは、数日後に判明した。講習会では部員の話がたっぷり聞けなかったので、男子部員2人とオンライン会議をした時のことだ。

 九州にいる「るずな」さんが「2年です」と自己紹介すると、北海道の「レブン」さんが「あっ、先輩なんですね」と口をはさんだ。何度か同じゲームをしたことがあったのに、お互いの学年を知らなかったのだ。

 中高生時代、特に部活では、学年がすべてを決めることすらあるのに?? 

 なんでも、eスポーツ部には、〈1〉あいさつをきちんとする〈2〉誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)しない〈3〉個人情報をさらさない――といったルールがあるらしい。るずなさんによると、年齢も性別も関係なく対等に戦えるのがeスポーツで、「壁がないのが魅力」なのだという。

日々の鍛錬から

 ところで、2人はなぜeスポーツ部に入ったのだろう。

 レブンさんはプロゲーマーになろうと思っていて、通える範囲の高校にeスポーツ部がなかったため、N高を選んだのだった。

 るずなさんは、初めて勝利したときの喜びが忘れられず、のめり込むようになった。体が弱く屋外で運動ができない分、その喜びは格別だったそうだ。

 N高eスポーツ部は、全国大会でも上位入賞する強豪で、プロゲーマーも輩出している。2人の取り組みも半端じゃなかった。

 レブンさんは日常的に、首を動かさず目だけで物を追って動体視力を鍛えたり、指がすんなり動くようストレッチしたり。競技で集中力を維持するには体力が欠かせないとして、朝は走って鍛えているという。

 るずなさんは、eスポーツは仲間と連携しながら戦うため、誰であってもコミュニケーションをうまくとることに腐心しているという。体が弱いことを補う工夫だ。そして、集中してプレーできるよう、きちんと休憩をとって体調管理を万全にすることを意識しているという。

何より「思いやり」

 取材の終わりに、eスポーツをやる上で大切なことを聞いてみた。2人の答えは驚くほど同じだった。

 レブンさん「思いやりが一番大切。こういってはなんだが、たかがゲーム。楽しむことが一番大切なので、ミスを相手のせいにしてはいけないし、そう考えるのもいけないと思っている」

 るずなさん「相手を思いやる気持ち。倒した敵をののしったり、バカにしたりする人もいるが、それは人間としてだめ。リスペクトし、高めあうことが大事。ゲームは楽しむためにある。楽しめなくなると、ゲームをする意味がない」

 ライバルに嫉妬し、叱責(しっせき)にびくびくし、人間関係に苦労する――。よくある部活の悩みとは無縁の世界がここにはあった。(登場人物は、すべてハンドルネームです。画像は一部加工しています、完)(写真・N高提供、文・児玉森生)

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1282937 0 部活の惑星 2020/06/18 15:00:00 2020/06/18 15:03:09 2020/06/18 15:03:09 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200604-OYT8I50034-T.jpg?type=thumbnail

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