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華やかに競う(2)

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淑徳SC高等部 華道部

こんな話です

 小さい頃から花が好きだったアイカは、120年以上の伝統がある女子校・淑徳SC高等部に入学し、クラスメートとともに、学校案内で存在を知った華道部に体験入部する。アイカは初めての生け花に苦戦しつつも、魅力と奥深さを感じるのだった。

▽過去の連載
 華やかに競う(1)

うーん難しい…。頭の中は花でいっぱい

 「うーん…。どうしたらいいんだろう」

 入部したばかりのアイカは、思うように花を生けられずに苦しんでいた。

 華道といってもいろんな流派があるけれど、ここで学ぶのは、室町時代に誕生した「華道家元池坊(いけのぼう)」。「立花(りっか)」、「生花(しょうか)」、「自由花(じゆうか)」と三つある様式のうち、アイカたちは自由花に取り組んでいる。

 どんな様式なのかというと、文字通り、自由!

 「気持ちを込めて好きに生ける。個性の表れが芸術になるのですよ」

 池坊でもかなり上位の資格「総華督(そうかとく)」を持つオオシマ先生は、その神髄(しんずい)をこう説明してくれる。

 いくつもある決まりを守りながら大自然を表現する「立花」、1~3種類の花材で命のたくましさを表現する「生花」に比べると、自由すぎると思えるほど。それが自由花の魅力でもあり、難しさだけども。

自由。でも…

 自由花といっても、押さえるべきポイントはある。たとえば、〈1〉主役となる「主の花」を生かす〈2〉奥行きなどを意識して全体の空間を美しく見せる〈3〉足元の剣山を隠す――といったこと。

 「主の花は手前にして、後ろの植物を高くすれば、奥行きと高低差が出せるはず」

 こんなふうにアイカが構成を考えても、オオシマ先生には必ず手直しされた。

 「後ろを短く切り過ぎちゃったわね。それに引きずられて『主の花』も低くなり過ぎよ」

 オオシマ先生が手を入れると、いつも花たちは見違えるように美しく整えられる。その手さばきといったら、ため息が出るほど。

 生け花を始めて60年以上というオオシマ先生は、おしゃれで上品でかっこいい。「年をとったら、ああなりたいな」と思える自慢の先生だ。

 そんな先生に早くほめてもらいたかった。兼部している茶道部でお茶をたて、甘い茶菓子をいただきながらも、「伸びやかさとか奥行きを出すのって、どうすればうまくできるのかなぁ」と考えていた。

もえ出る芽

 部活で使った花は持ち帰ることになっており、アイカは毎回、その花を自宅で生け直すことにした。

 花は正面に向いているか。奥行きは出ているか。足元の剣山は隠せているか――。

 指摘されたことを思い返しながら、答え合わせをするように一つひとつ丁寧に生けていく。「指摘されたことは二度と繰り返さない」。そう心に決めていた。

 それでも、部活に行けば、また別の箇所を指摘される。それを踏まえて、自宅でまた生け直した。

 夏休み中は華道部の活動はなかったが、花屋の前を通ると「あの花では、あんなミスをしたなあ」と思い起こされ、そのたびに「今ならこうするなあ」と頭の中で花を生けていた。

 夏休み後、最初の活動日はそれまで以上に緊張していた。

 「久しぶりだし、絶対たくさん手直しされる」と思っていたから。だけど、先生からはほとんど指摘されなかった。

 「あれ? なんでだろ?」

 その時は不思議だったが、振り返ってみると、夏休みの直前も指摘はされていたけれども、その数は減っていたような気がする。

 「もしかして私、うまくなってる?」

 華やかに競う(3)

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1817606 0 部活の惑星 2021/02/05 12:00:00 2021/02/09 10:04:26 2021/02/09 10:04:26 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210201-OYT8I50066-T.jpg?type=thumbnail

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