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華やかに競う(4)

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淑徳SC高等部 華道部

こんな話です

 アイカは、池坊の生け花を学ぶ高校生が競う「花の甲子園」の全国大会に進んだ先輩の姿に憧れる。その後、自らの実力不足を突きつけられることもあったが、同じ代のジュリナ、マナミと翌年の大会に挑むことを決意するのだった。

▽過去の連載
 華やかに競う(1)(2)(3)

逃した全国大会…でも私、青春してる!

 アイカは昨年4月、2年生になった。休校期間中だったので、あまり実感がなかったけれど。

 しっかり授業を受け、友だちとわいわいし、華道部のほかボイスアクトレス部(実は1年の途中で入った)と茶道部にも顔を出す――。楽しい学校生活が中断されて、「なんだかな~」という気分のまま2年になった。

 花の甲子園のことも気がかりだった。「春の高校野球もインターハイも中止になったし。でも、花の甲子園は8月下旬だから、そのころは大丈夫でしょ」

 ようやく学校が再開された6月、先生から大会のことが伝えられた。

 先生によると、

 〈1〉大会は開催される

 〈2〉だけど、地区大会はリモートで動画による審査

 〈3〉3人がリレー方式で一つの作品を仕上げる

 ――ということだった。

 さっそうと芸術性の高い作品を生み出し、自分を見つめる人たちからため息がもれる。そんなシーンを思い描いたりもしたアイカにとっては、ちょっぴり残念だったけれど、もちろん、ほっとした気持ちの方が大きかった。

直前の「想定外」

 大会に提出する動画の撮影日は8月29日。準備を始めるにあたって、ジュリナ、マナミと考えた作戦はこんな感じ。

 大胆な生け方が強みのジュリナが、大きな花材で大まかな形を作って、スピードが持ち味のマナミがほかの花を一気に生けて、完成手前まで持っていく。そして、アイカが持ち前の丁寧さで全体を整える――。

 「うん、これならいける」。3人が強みを発揮できれば、全国大会も夢じゃないと思えた。夏休みは短縮されたけれど、何度か集まって練習もした。

 でも、想定外のことは起きるもの。アイカが胃腸炎にかかって、直前の練習に参加できなかった。「なんでこんな時に…。ついてないな」と思うばかりだった。

 当日、アイカは腹痛に襲われながらも、なんとか登校した。でも、カメラの前に立つと、痛みはどこに行ったのか、心地よい緊張感だけがあった。

 「いよいよだ」

 タイムキーパー役の先生と、自分たち3人。華道部に入ってくれた1年生はいなかったから、いつもとほぼ同じ顔ぶれだ。だけど、いつもとは違って胸が高鳴っていた。

「やりきったね」

 先生の合図と同時に、ジュリナが“大物”を生けていく。花材は、先生が用意してくれたもの。「なるほど、さすがジュリナ」。1人あたりの持ち時間10分はあっという間に過ぎる。

 はさみはマナミの手に。「きょうもテンポがいい」。すぐにマナミの意図が形になって表れてくる。

 はさみを受け取ったとき、アイカはかつてないほど集中していた。感じるままに足元をあしらい、2人が生けた花に細かくハサミを入れていった。

 「できることはやったよね」。規定の30分が終わり、3人はねぎらい合った。

 結果は、しばらくたった10月上旬に知らされた。

 「ダメだったか。みんなで全国大会に行きたかったな」

 悔しかったけれど、アイカはそんな感情が生まれることがうれしかった。中学時代は途中から帰宅部で、同じ目標に向かって仲間と努力して、一緒に興奮したり悲しがったりすることがほとんど初めてだったから。

 「なんか青春してるって感じ。あと1年も楽しんじゃおう」(完)

 (写真・和田康司、文・児玉森生)

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1817609 0 部活の惑星 2021/02/09 12:00:00 2021/02/18 12:54:32 2021/02/18 12:54:32 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210201-OYT8I50079-T.jpg?type=thumbnail

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