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群馬県立富岡実業高 写真部

「すご、なにこれ」。こんな写真もありなんだ

 「さて、何部に入ろっかな~?」

 群馬県立富岡実業高校に入学したユメは、放課後になってもまだ迷っていた。

 青春といえばやっぱり部活! でも、特にやりたいことが決まっているわけじゃないんだよね。

 どうせなら、うちの中学になかった部活がいいかな。その条件にあうのは登山部か手芸部か機械研究部か…。

 「ね、ユメ。どこの部活行くか決まった?」

 そう話しかけてきたのは隣のクラスのちー。通っていた中学は違うけど、部活のソフトテニスの大会で何度も会ううちに話すようになった顔なじみだ。

 ちーはテニスをけっこう頑張ってたみたいだし、たぶん硬式テニス部を見に行くんだろうな。悪いけど、それなら私はパスかな…。

 どうやって断れば(かど)が立たないだろう。そんなことをぼんやり考え始めていたところに、ちーが投げかけてきたのは意外な提案だった。

 「私は絶対写真部にするんだ!! 一人だと寂しいし、一緒に行ってみない?」

伝わるエネルギー

 「すご、なにこれ…」

 ちーの()()いくらいの軽い気持ちで来たユメは、1枚の写真パネルから目が離せなくなっていた。

 ユメの心をつかんだのは、地元・群馬県のB級グルメをコンセプトにした写真をまとめたパネルだった。

 焼きそばを口から滝のように流している写真に、せんべいを両手にポーズをとった写真。みそを顔に塗りたくったまま、笑顔でみそ田楽(でんがく)をほおばる写真も。

 写っているのは、写真部の先輩たち自身らしい。先輩たちはちょっと恥ずかしそうに、そう教えてくれた。

 写真に詳しくないから、構図とか使われている技法とかそういうのはわからない。でも、なんだろ。エネルギーというか、「圧」というか。写真を撮るのが本当に楽しいという気持ちがまっすぐ伝わってきた。

 写真部が撮る写真っていうと、もっとゲイジュツっぽい写真をイメージしてたけど、こういう写真もありなんだ!

 「こんな写真を撮ってみたい。だから、私も写真部に入るよ」

 ユメがそう伝えると、隣にいるちーはうれしそうに笑った。

うまく撮れない

 昔よりは簡単になっていると言われる写真撮影だけど、初心者にはやっぱり難しい。

 「屋内のISO感度ってどれくらい? 800くらいでいいんだっけ」

 「今日の天気なら、外は200くらいでいいよね?」

 ユメとちーはそう確認しあう。シャッタースピード、しぼり、ISO感度…と、想像以上に考えなければいけないことが多く、慣れるまでは苦戦した。

 でも、操作以上に難しかったのは、表現したい通りに写真を撮ること。

 たとえば、「笑顔の写真を撮りたい」と思っても、なかなかモデルの自然な笑顔を引き出せなかった。先輩たちが撮る時は、あんなに楽しそうに笑ってくれているのに。

 狙った通りの写真が撮れないと、必然撮影の時間は長引く。するとだんだんモデルの表情が硬くなっていくし…。

 モデルにきつい体勢を要求するときなんて、もう最悪。申し訳なさで、いつも泣きたくなる。明るいちーですら、この間はちょっと泣きそうになっていたのは秘密だ。

 でも、のんびりしてはいられない。写真部の高校生の夢の舞台「写真甲子園」の予選は、すぐそこに迫っているからだ。

 レンズの向こうに(2)はこちら

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1967048 0 部活の惑星 2021/04/07 11:00:00 2021/04/08 11:08:42 2021/04/08 11:08:42 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210330-OYT8I50018-T.jpg?type=thumbnail

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