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レンズの向こうに(4)

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群馬県立富岡実業高 写真部

こんな話です

 2019年10月に日本を襲った台風19号。先輩が高校近くの川で撮影した大迫力の写真をきっかけに、ユメたちはシリーズ作品の制作を始めた。苦境に立ち向かう富実生の前向きさを伝えるために、夕焼けの赤や芝の緑など、「彩り」を意識した作品に仕上げた。

▽過去の連載
 レンズの向こうに(1)(2)(3)

自粛期間も腕磨く。心捉える一枚のために

 「え、全国!?」

 「うそっ、入賞!?」

 快挙である。2019年の台風19号を題材にしたシリーズ作品は2年連続の写真甲子園の本戦出場と、初の入賞をもたらしたのだ。

 もともとは災害を記録する意味でまとめた作品。だけど、撮影中にどんどん熱が入り、何度も何度も撮り直した「力作」ぞろいになった。

 ちょうどその頃、新型コロナウイルスの流行が始まり、写真甲子園2020の予選への出品作品とすることに。しかも新型コロナで本戦も縮小され、予選の作品がそのまま本戦の評価対象になったのだ。

 「無念な中で前を向いて頑張っていこうというニュアンスが出ている」

 「プロ意識を感じた」

 オンライン審査ではとても好評で、初の入賞!!

 シリーズを構成する8枚のうち、6枚はユメたち2年生が撮影したもの。ユメは2枚、親友のちーは3枚も使われている。

 「これはお前たち2年生の作品だな」

 先生の何げない言葉に、みんなで祝杯をあげた。

週3→週6に!

 写真甲子園が終わると代替わりをするのは、野球の甲子園と同じ。新しい部長には、ちーが選ばれた。

 本人はちょっと驚いていたけど、ユメからしたら予想通りだ。明るいキャラも、人を引っ張っていく積極性もぴったりでしょ。私を写真部に引っ張ってきたのもちーだしね。

 ちーは、さっそく“剛腕”を発揮し、練習を週3日から6日に変更!! 校内では「週6日も練習しているのは野球部かレスリング部か写真部」なんて言われるようになった。

 と言っても、雰囲気はこれまで通り、まったりのんびり。部室でアイデアを話し合ったり、校内で各自が好きに撮影しに行ったり。お堅い「強豪校」という雰囲気はないのは相変わらずだ。

 先生も、ユメたちも、それでいいと思っている。大切なのは、自分たちらしくエネルギーあふれる写真を撮ること。それさえできれば後悔することなんてないと、もう知っているからだ。

3年連続目指す

 今は3年連続となる写真甲子園本戦出場に向けて、力をつけている真っ最中。去年の「自粛」期間に身につけた技術を他の写真に生かせないか頑張っている。

 その一つが「自撮り」技術。自撮り棒だけじゃなく、一眼レフとスマホを連動させたり、鏡をうまく使ったりと、一人だからこそ磨ける技術もたくさんあった。

 自粛期間に一人でカメラと向き合った時間は、撮りたい写真を問い直すきっかけにもなった。ユメはそう思っている。

 「そろそろ私も違う写真にチャレンジしなきゃかな」

 風景写真を撮らせたら先輩にも負けなかったユメ。でも、大人数のモデルに協力してもらって撮る写真を無意識に避けている自分に気づいた。モデルさんへの「声かけ」、実はあんまり得意じゃないんだよね…。それが得意なのは、横にいるちーだ。

 「協力するよ! 逆に私の目標は『脱・ギャグ路線』かな?」

 ちーはこっちを見てそう笑った。ちーは、得意とする面白おかしい写真だけでなく、ストーリー性の高い「深い写真」も撮ってみたいんだって。それは私の得意分野かも。

 来月には3年生になり、また新入生も入ってくる。自分たちが写真の世界に引き込まれたように、誰かの心を捉える写真を撮りたい。そう考えながら、今日もシャッターを切り続ける。(了)(写真と文 古郡天)

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1967062 0 部活の惑星 2021/04/12 11:00:00 2021/04/16 09:58:22 2021/04/16 09:58:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210330-OYT8I50027-T.jpg?type=thumbnail

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