読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

女神は細部に宿る(1)

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

白梅(しらうめ) 学園 清修(せいしゅう) 中高一貫部(東京都)鉄道模型デザイン班

ジオラマにビビビッ! これって初恋?

 家や木は指の爪より小さいのに本物そっくり。森やあぜ道の風景も映画に入り込んだみたい。畑の(うね)は段ボールの波形の部分……?

 どれもリアルで、それぞれが一つの作品だった。そんな小さな作品が集まった鉄道模型のジオラマは、まるで結晶のよう。キラキラ輝いてみえた。

 「なにこれ、すごい! やってみたい!」

 私は高校2年のタナ。去年の12月から、鉄道模型デザイン班(清修では、部ではなく班と呼ばれる)の部長を務めていて、全国高校鉄道模型コンテストで最優秀賞を目指している。

 そんな私が、鉄道模型のジオラマに出会ったのは、学校説明会を訪れた小学6年生のとき。清修はコンテストでいつも上位に食い込む強豪校。だからあちこちに作品が展示されていて、最初に見た作品にビビビッてきたんだ。

 鉄道に興味はなかったけれど、ジオラマを作りたくって清修に決めた。

 どんなジオラマを作ろうか。田園風景かなあ、ジブリのワンシーンでも切り取ろうか――。期待に胸をふくらませて中学に入った。

作業は草むしり

 でも、理想と現実は違った。部室では、先輩の作業を見ているだけ。

 中高一貫校だから班には高校生もいる。中1だからやることがないのか…。そう思っていたある日、先輩から声をかけられた。

 「やっと出番か」

 でも、言われたのは「ちょっと、草むしってきて」。公園で雑草を集めていると、むなしさばかりが募った。「私は何をやってるんだろう」。部室に向かう足がどんどん重くなった。

 清修の班は、部活ではなくってクラブ活動。1年ごとに班を変えられる。入る入らないは自由だから、中2ではどこにも入らなかった。

 でも、ほかの生徒が楽しそうに活動するのを横目に学校を出るのはさみしくて、「やっぱりジオラマを作りたい!」って気持ちがよみがえってきた。

 初めてジオラマを目にしたときの感動は鮮明(せんめい)に覚えている。それはもう、初恋のようなものだったのかも。

変わらなきゃ!

 どうしたら初恋を成就(じょうじゅ)できるのかな…と考えていたら、何もさせてもらえなかった原因がわかってきた。

 コンテスト前の先輩たちはとても忙しかったんだ。それなのに、先輩が何をしているのか考えたことも、何が必要なのかを聞いたこともなかったな。

 なら、結論は一つ。「引っ込み思案(じあん)だなんて言ってられない。変わらなきゃ!」

 中3になってまた班に入れてもらった。

 勇気を出して、一つ深呼吸。「先輩、何かやれることないでしょうか」。よし、言えた。もうあのころの私じゃない、指示される前に動くんだ。

 「じゃあ、これお願いできる?」。ジオラマで使う木や家を作らせてもらえた。これこれ、これがやりたかったんだ。

 でも高1になると、同じ班だった子が別の高校に行って、同学年がいなくなってしまった。それはさみしい。そうだ、勧誘(かんゆう)だ。

 「鉄道模型、一緒に作らない?」。廊下で同級生に声をかけていると、人だかりの外から「何やってるの?」と声が聞こえた。今は副部長のマノアだった。

 女神は細部に宿る(2)はこちら

無断転載・複製を禁じます
2043094 0 部活の惑星 2021/05/12 11:00:00 2021/05/19 11:14:58 2021/05/19 11:14:58 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210511-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)