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熊本市立三和中 剣道部(下)

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仲間と目指す一本

▽過去の連載
 熊本市立三和中 剣道部(上)(中)

あきらめない、どんな時も。勝負の返し技

 ミサとナナ、ユウカは中学から剣道を始めた仲間であり、ライバル。剣道の面白さに目覚めるが、新型コロナウイルスの影響で大会は次々と中止に。3年生になった4月、多くの人の善意で中学デビュー剣士のための大会が開かれることになった。

 「先生、稽古をつけてください」

 共栄杯剣道大会を翌日に控えた4月2日の朝練で、ミサ、ナナ、ユウカの3人は顧問のカワセ先生に頭を下げた。

 共栄杯は“中学デビュー剣士”のための大会で、三和中からは3人が出場する。ミサは面、ナナは胴、ユウカは小手と、それぞれの得意技をさらに磨くため、教えをこうた。

 「絶対一本決める気持ちで打て!!」「いつでも打てる間合いを作らんか!!」

 先生の剣は強く、鋭い。熱のこもった指導に気おされた。大会へのプレッシャーもあって、ミサの目に涙があふれた。

 「明日、ちゃんとやれるかな」。家に帰っても不安が消えないミサは、音楽プレーヤーのボタンを押した。ロックバンド「サンボマスター」の曲「できっこないを やらなくちゃ」は、くじけそうなとき勇気をくれる。

 <あきらめないでどんな時も 君なら出来るんだどんな事も>

 ボリュームをガンガン上げて大きな声で歌うと、「全力を尽くせば勝てる」と思えるようになった。

友の思い背負い

 「ただいまから、共栄杯剣道大会を始めます」

 三和中の体育館にアナウンスが流れると、3人は一気に緊張してきた。なにぶん、大会に慣れていないから、しょうがない。

 大会は個人戦のみ。熊本県内から集まった70人で予選を行い、勝ち抜くと決勝トーナメントだ。

 ナナは惜しくも予選で負けてしまい、ユウカは決勝トーナメントの準決勝で敗退。それでも、ミサは最後まで勝ち残った。

 決勝では、準決勝でユウカから一本を奪った選手と対戦する。大一番を前に落ち着かないミサのもとにユウカが駆け寄り、アドバイスをくれた。

 体勢が安定していないのに相手に合わせて打ったところを狙われ、一本を取られた。だから、無理に合わせて打ちにいかない。攻めをしのぎ、体勢を整えて打つべし――。

 ユウカが「私みたいにならんでね」と励ましてくれると、ナナは「絶対勝てるよ!!」と肩をたたいて力をくれた。

 ミサは目をつぶり、両手で胸元をパンとたたいて、試合場に足を踏み出した。

頂点 その先へ

 試合が始まると、相手が打ち込んできても冷静でいられた。焦らず、防ぎ、チャンスを待つ。そして、相手が大きく竹刀を振り上げるのが見えた。むかえうつ体勢はできていた。

 きっと、1秒もなかった。

 相手の小手を竹刀で受け、次の瞬間、鋭く踏み込んだ。間合いに入り、面を放つ。何度も練習した「小手返し面」が決まった。

 「ミサが熊本の一番だ~」

 2人が自分のことのように喜んでくれた。

 はじける笑顔で優勝カップを掲げるミサを見ながら、2人はもう、「次の大会は私が勝つ!!」とメラメラしていた。

 共栄杯が終わり、新学期が始まった。

 「キエェェー」「ヤアァァー」

 武道場には、ますます稽古に打ち込む3人の姿があった。それは、引退する6月の大会での目標があるからだ。「最後には、小学校から始めた人にも勝ちたいね」(了)(写真と文 石井一秋)

 ※登場人物は全て仮名です。

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2109285 0 部活の惑星 2021/06/10 11:00:00 2021/06/10 11:00:00 2021/06/10 11:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210602-OYT8I50062-T.jpg?type=thumbnail

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