あこがれの産調ガールズ(1)

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山形市立商業高(山形県)

街に元気を。「私なんかが…」思っていたけど

 「アメンボ赤いな、あいうえお」

 「柿の木、栗の木、かきくけこ」

 山形市のシンボル千歳山のふもとにある校舎に、16人の部員の声が響く。全国大会に向けて気合は十分。目指すは「日本一奪還」だ。

 ここは、山商・産業調査部。「山形の活性化」をテーマに活動している。全国の商業高校が競う「全国高校生徒商業研究発表大会」の常連で、2017、18年度には史上初の2連覇を達成している。

 大会では、発表の聞き取りやすさ、わかりやすさも採点される。だからこそ、演劇部でも放送部でもないのに、地元アナウンサー直伝のメトロノームを使ったメソッドで、滑舌・発声練習に力を入れているのだ。

地域活性化

 産業調査部は、地元の人たちから「産調ガールズ」の愛称で親しまれている。それは、大会での活躍よりむしろ、街おこしにつながる活動が知られているからだ。

 山形市の人口は05年をピークに減っている。20年の県全体の人口減少率も5%近くと過去最大。街おこしは山形にとって喫緊の課題なのだ。

 そこで産業調査部も街おこしのために色んな活動をしている。たとえば…。

 〈その1〉「駅からハイキング」

 JR山形駅から市内の観光名所を歩いて巡る観光ツアー。JR東日本と連携して10年から続けており、リピーター率は約50%を誇る。新型コロナウイルスの影響で中断していたが、10月には再開予定。

 〈その2〉百貨店「大沼山形本店」の応援企画

 山形市の“顔”だった百貨店が昨年1月に閉店したが、その後も創業320年の歴史を振り返る発表会などを催し、再開を呼びかける。

セーラー服

 産調ガールズのことは何度もメディアに取り上げられ、副部長を務める3年のナオが興味を持ったのも、メディアを通して。中学生のとき、ちょうど、それまでの志望校を山商に変更するところだった。

 山商を選んだのは、商業科目を学びたい気持ちがあったのと、山商のセーラー服がかわいかったからだ。白と紺のさわやかな色の組み合わせや校章の刺繍が入ったリボンがポイント。「セーラー服の学校はほかにもあるけど、うちが一番」と今でも思う。

 ただ、人前で話したりアピールしたりするのは苦手な性格。「私なんかが入るのは難しいかな…」と思っていた。全国大会の常連なので、厳しそうなのも気になった。中学ではなぎなた部に入っていたが、とても礼儀に厳しく、二度と戻りたくなかったからだ。

「残り1人」

 19年4月、晴れて山商のセーラー服に袖を通し、部活見学に訪れた。

 ところが、産業調査部はさすがの人気ぶり。1学年8人の定員がすでに埋まっていた。

 あきらめてほかの部を検討することにした。

 しかし、ある日、部室前を通りかかったら、「残り1人」のはり紙が目に飛び込んできた。欠員が出たらしい。

 「どうしよう」。心臓がバクバクした。「最後のチャンスかも」と思いつつ、いきなりドアを開けて「入部希望です」と言う勇気は出ない。

 すると、がらりとドアが開いた。ユウだった。いまは「セリフ一番手」を務める私の親友だ。

 尻込みしているのが見て取れたのだろう。「どうします?」と聞いてくれた。

 「あ、入部します」

 そんな感じで滑り込んだ。

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2409610 0 部活の惑星 2021/10/04 11:00:00 2021/10/13 10:24:52 2021/10/13 10:24:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210927-OYT8I50066-T.jpg?type=thumbnail

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