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    特集

    読売中高生新聞の企画・連載をお届けします。
    キャンパス アート アワード

    色鉛筆5本で超リアル

     思わず写真と見間違えてしまいそうな「超リアル」な風景画の数々。実はこれ、すべて画家の林亮太さん(56)が、色鉛筆で描いたものだ。読売中高生新聞とコクヨが共催する絵画コンテスト「キャンパスアートアワード2018」で、今年から審査員を務めてくれることになった林さんに、リアルな色鉛筆画を描くコツを教えてもらった。

    混ぜて無限の色

     林さんが色鉛筆画を描き始めたのは、9年前。勤めていた会社で、宣伝用のポスターなどのCGデザインをしているうちに、仕事と関係なく、自分の好きな絵を描きたいと考えるようになったのがきっかけだった。

     中学の頃から絵が好きで、画家のモネやユトリロの作品のような、何げない日常風景を描くことを夢見ていたという林さん。「仕事と並行してできるし、机も汚さずに済む。準備や片づけも楽」という理由から、色鉛筆を画材に選んだ。

     何十色もの色鉛筆を巧みに使い分けるのではなく、黄、赤、青、黒、白の5本だけしか使わないのが「林さん流」。72色セットを買って使っていた時もあったが、「何本も試しながら最適な色を選ぶより、混ぜて色を作った方が、無限の色を生み出せる」ことに気がつき、昨年からはこの5色だけを使っている。

     色の調整は「足し算と引き算」が大切だという。最初に青だけで描き、次に赤、黄…などと塗り重ねていき、消しゴムやデザイン用のナイフで表面の色を削って、細部を仕上げている。

    「なんでもない」風景

    • 雨の日に、自宅近くを描いた作品。路面を見ると、雨が降っているのがよくわかる
      雨の日に、自宅近くを描いた作品。路面を見ると、雨が降っているのがよくわかる

     住宅街の路地、坂道……。林さんが題材に選ぶのは、「とにかくできるだけ何でもないところ」だ。風景画では敬遠されがちな看板や信号、電柱、交通標識なども、そのまま描く。「生活感のあふれる風景は、子供の頃の懐かしさが呼び起こされる感じがして好きなんです」と語る。

     中でも林さんのお気に入りは、3年前、雨の日に東京都中野区の自宅近くを描いた1枚。排水溝に水が流れていく様子や、雨粒が落ちた時に路面にできる波紋を見て、描いてみたいと思い立ったという。

     「雨の日だと、光と影がくっきりと出ないので、物本来の色がはっきり見える。いつも見ている風景でも、天気によって違う表情に見えるので、新たな発見があった」と話す。

    明暗 とにかく観察

     驚くことに、林さんの絵はすべて独学のたまもの。大学では美術史を専攻したが、絵の技法などを習ったことはないという。

     どうしたらリアルに風景を切り取ることができるのだろうか。林さんは「リアルとは、細かく描くこととは違う」と話す。

     林さんいわく、リアルな絵を描くために必要なのは「明暗の差をしっかりと目で見ておくこと」。例えば木の葉は、「緑色」だと思いがちだが、実際には光の当たり方によって、白にも黒にも見える。

    • 林さんの「地元のイチオシ」という桜並木を描いた作品
      林さんの「地元のイチオシ」という桜並木を描いた作品
    • 名古屋市の公園を描いた作品。光と影が巧みに表現されている
      名古屋市の公園を描いた作品。光と影が巧みに表現されている

     林さんは気になる風景を見つけると、写真を撮るだけでなく、その場で簡単にスケッチし、「遠近感や光と影など、その場でしかつかめない感覚をメモする」という。

     「見ているものが、自分の目には何色に映っているのか、とにかく観察することが大切。明暗をしっかり再現できれば、リアルな絵が描けるはずです!!」とアドバイスをくれた。

    <略歴>

     はやし・りょうた 画家、東北芸術工科大非常勤講師。東京都出身。グラフィックデザイナーやイラストレーターとしても活動。昨年には、東京の風景画を集めた画集「Tokyo Sketch」(文芸社)を発売。8月下旬には、地元・中野区で作品展を開く予定。

    <コンテスト 参加者募集中!!>

     今年で4回目の開催となる「キャンパスアートアワード」では、皆さんからの応募をお待ちしています!!

     テーマは「My Sweet Home Town~地元のイチオシ~」。グランプリに選ばれた1作品は、「キャンパスノート」の表紙となり、賞品として受賞者に贈られるほか、数量限定で販売されます。

     審査員は林さんのほか、お笑い芸人の芦沢ムネトさん、美大大学院で油絵を専攻したモデル・タレントのベックさんが務めます。また、中高生新聞でも活躍中のAKB48チーム8が「応援団」となり、新設の「AKB48チーム8賞」を選びます。

     締め切りは9月14日(必着)。

     詳細はコクヨの特設サイトへ。

    2018年06月29日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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