文字サイズ

    特集

    読売中高生新聞の企画・連載をお届けします。
    「志」プレゼン

    最優秀賞は宮教大4年・千葉さん…青少年「志」プレゼン大会

    • 審査委員長の松本零士さんから表彰状を授与される千葉さん(手前右)
      審査委員長の松本零士さんから表彰状を授与される千葉さん(手前右)

     若者たちが自ら心に決めた将来の目標をプレゼンする「世界青少年『志』プレゼンテーション大会」(読売中高生新聞後援)が9月17日、東京都内で開かれた。最優秀賞に選ばれたのは、宮城教育大4年の千葉(ちば)百華(ももか)さん(22)。父親との関係に悩んだ自身の経験をもとに、家族関係に悩む子どもたちを救いたいと訴えた。

     この大会で若者たちが語るのは「志」。ちょっと堅苦しいイメージだが、言い換えるとすれば、「誰かのためになる将来の目標」だ。

     大会には、国内外を問わず10~22歳の男女210人からの応募があり、3分間の動画による1次審査、5分間の動画による2次審査を通過した12人が、17日の本大会に進出した。

    千葉さん「子どもを救う」

    • 千葉百華さん
      千葉百華さん

     最優秀賞に輝いた千葉さんが訴えた志は「苦しんでいる子どもたちを救う」こと。

     千葉さんは3歳の時に両親が離婚。中学時代まで父親と一緒に暮らしていたが、いつも家に帰っても一人。機嫌が悪いと、きつく当たられることもあり、「本当に寂しかった」。

     中2で家出した千葉さんを救ってくれたのは、数学の先生。「きょうの百華、なんかちがくない? 大丈夫?」と声をかけてくれ、自分という存在に気付いてくれたことがうれしくて、気持ちが軽くなった。

     その後、母親と暮らすようになり、大学に進学したいまは父親との関係も改善した。「つらい思いをはき出せない子どもの力になりたい」と大学では教育を学び、高校生対象のキャリア教育のボランティアとして、自身の過去を語っている。ボランティアで出会った高校生の中には自分と似た境遇の女子生徒もおり、子どものことを受け止め、居場所になれる大人の必要性を痛感した。

     表彰式で千葉さんは、「『私は私のままでいい』と、支えてくれる仲間のおかげで受賞できた。きょうが始まりだと思うので、頑張っていきたい」と語った。

     審査委員長を務めた漫画家の松本零士さんは「自分の経験があるから、つらい思いをしている人の気持ちがわかり、力になれるだろう。プレゼンには、たくましい人生がつまっていた」と絶賛した。

     プレゼン大会では、優秀賞受賞者2人のほか、中高生も身ぶり手ぶりを交えながら、堂々と自身の「志」を訴えかけた。詰めかけた聴衆からも大きな拍手が寄せられた発表の一部を紹介する。

    ◇【優秀賞】 ●原 ( くわばら ) 元芳 ( もとよし ) さん(22) 中央大学総合政策学部

    (※●は「桑」の異体字、上から「十」「くさかんむり」「木」)

    ◆子どもの居場所づくり

    • 桒原元芳さん
      桒原元芳さん

     生まれて3か月後に祖父母のもとへ養子に行った。兄弟や生みの親と名字が違うことに違和感があり、家族の中にいながら孤独を感じることが多かった。

     中学入学と同時に養父母が亡くなり、経済的に厳しいため、お金をもらいながら勉強できる自衛隊の高校を目指した。しかし、その受験直前に病気になってしまった。3か月も入院して最もつらかったのは孤独だったこと。家族との関係に悩んでいるときに出会ったのが「あしなが育英会」で、奨学金で高校に進学できた。多くの育英会の学生に出会い、「自分はひとりではなかった」と知り、自分を認めてくれる人がいる「心の居場所」があることの重要性を強く感じた。

     そうした考えから、大学生になり、神奈川県藤沢市と東京都日野市に子ども食堂を運営する学生団体をつくった。活動が評価されて、現在は内閣府の有識者会議に参加している。

     日本の子どもの7人に1人が貧困といわれ、1人で食事をとる「孤食」も大きな問題になっている。私は子どもを笑顔にする、居場所づくりを続けていく。

    ◇【優秀賞】イキー・ウォルターさん(20)

    ◆母国の農業を変える

    • イキー・ウォルターさん
      イキー・ウォルターさん

     私はアフリカ・ウガンダ北部の貧しい家庭に生まれた。家族はとても多く、兄が小学校の先生をしながら家を支えていた。

     兄の力になりたいと思っていたが、ウガンダに学生向けのアルバイトはなく、私にできる仕事は農作業をすることだけだった。サソリに刺されたりするなど、常に緊張して作業をしていた。収穫した作物のほか、ときには炭を作って売ったが、収入を得るのはたいへんだった。学費の面で苦労したが何とか高校を卒業でき、奨学金で日本に留学できた。

     そんな私の志は、農産物の品質を高めるため、農業の機械を作る会社を作ることだ。日本で機械工学を学び、大学を卒業して日本の会社で働いて、いろいろな経験を積み、仲間を募ってウガンダに帰国して会社を作るつもりだ。

     アフリカの資源と、日本の技術の組み合わせは、最高のコンビになる。私は日本とアフリカの懸け橋になりたい。

    岩井 ( いわい ) ( ひびき ) さん(15) 私立灘中学校3年

    ◆笑顔生む医師に

    • 岩井響さん
      岩井響さん

     私の志は、医師になり、多くの人の命を救うこと。臨床医か、難病の特効薬や治療法を開発する研究医になることを目指している。

     中学生になって国連児童基金(ユニセフ)の講演会を聴き、貧困の苦しさを知った。講演会で紹介されていた子どもに勉強を教えるボランティアにも参加し、(貧困の)現実を知ることができた。

     格差の根本的な解決策を模索する中で、私にできる貢献は何かと自問自答した。そして、医師になることが私にできることではないかと考えた。

     医師について調べる中で知ったのが「国境なき医師団」。紛争地域などで医療行為を行っている団体で、他者を助けたいという理念で活動している。臨床医になって医師団に入り、貧困や戦争の悲惨さを訴えたい。そのために英語力のレベルアップも図っている。

     研究医は難病の特効薬や治療法を開発するので、開発できれば何百万人を救える可能性がある。

     人を助けるには、力をつける必要がある。苦しんでいる人々を助け、笑顔を生み出せる医師になりたい。

    出田 ( いでた ) 遼聖 ( りょうせい ) さん(17) 神奈川県立市ヶ尾高校3年

    ◆起業で地域愛育む

    • 出田遼聖さん
      出田遼聖さん

     私は、起業して地域の一員として、人と人とが関われる場所を作りたい。地域を活性化させ、日本全体を地域の愛で包み込みたいと思っている。

     10歳まで熊本県天草市で過ごした。地域の人々と家族のようにあいさつし、年中行事ではみんなが集まった。ときには歴史を教えてもらったり、昔ながらの遊びを教わったりした。そこで過ごした思い出は忘れられない。神奈川県に引っ越してきたが、地域の人とのつながりが薄いと感じる。寂しいと思う。

     いま私は、地域を調べたり、ワークショップをしたりするグループに入っている。

     地域の農家などをPRするリーフレットを作成し、小中学校に配布している。こうした取り組みを通じて、地域の現状を知ることができた。私は大学で経営を学び、将来、地域密着の会社を作りたいと思っている。地域の活動に参加したり、経済的にも支えたりしていける存在になりたい。

    2018年10月05日 11時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP
    スクールヨミダス