「特別展 りぼん」作家インタビュー 水沢めぐみさん

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子育てから生まれた「姫ちゃんのリボン」

当時の読者がまねをして遊んだ変身シーン。しゃべるぬいぐるみ「ポコ太」は、当初の設定案では「おしし」という名前の大きいライオンだった(C)水沢めぐみ/集英社
当時の読者がまねをして遊んだ変身シーン。しゃべるぬいぐるみ「ポコ太」は、当初の設定案では「おしし」という名前の大きいライオンだった(C)水沢めぐみ/集英社

 小さい頃から「魔法使いサリー」や「ひみつのアッコちゃん」が大好きで、魔法少女ものの作品を描きたいとずっと思っていました。主人公がいろいろな人に変身する姿が絵として楽しいのでは、と「変身魔法」をテーマにしたのが「姫ちゃんのリボン」です。

 当時は2歳になる長女の子育て真っ最中。愛らしい子供向けの絵本やテレビ番組に接していくうちに、自分の子供の頃を思い出して、ファンタジーな「姫ちゃん」の物語がすっと出てきたように思います。かわいいと思った子供服を、作中で主人公の姫ちゃんに着せたこともあるんですよ。長女がいなければ「姫ちゃん」の物語は生まれていなかったかもしれない、と感謝しています。

 娘が寝ている間に漫画を描いて、起きている時に娘の面倒をみる生活は大変でしたが、精神的なバランスはとれていました。育児のストレスは大好きな漫画の執筆で発散して、漫画が行き詰った時は子供のかわいさに癒やされていたんですね。

 「姫ちゃん」の連載が中盤に差しかかった頃、「そろそろ連載を一区切りさせよう」と思い、2人目を妊娠。私の作品を担当していた出版社の編集者さんに電話で妊娠を報告したら「たった今、会議でアニメ化が決定したんだよ!」とびっくりされました。

 実は「姫ちゃん」は、連載当初からテレビアニメにしてもらいたいと切望していた作品だったんです。アニメになることを見越して、アニメーターさんが描きやすいように、姫ちゃんの通う学校の制服のデザインを簡単にしたくらい。「子供が生まれると連載を続けるわけにはいかないから、アニメ化は無理だね」と断ろうとする編集者さんに、「子供を生もうが大丈夫です、休まずやります!」と頼み込みました。とにかく、チャンスを逃したくなかった。結局、アニメ放映が始まる直前の1か月だけ出産のために休んで連載を続けました。

 女の子でも洋服でも小物でも、かわいいものって見ているだけで「幸せだなぁ」と思います。「姫ちゃん」の時も今も、読者が読んでいて幸せになれるような、ひたすらかわいいものを描きたい!と思って執筆しています。

90年代「りぼん」の思い出

「特別展 りぼん」展示ふろくイメージ りぼんを買うと付いてきた「ふろく」。レターセットや組み立て式のボックスなど、多彩なグッズで読者の心をつかんだ
「特別展 りぼん」展示ふろくイメージ りぼんを買うと付いてきた「ふろく」。レターセットや組み立て式のボックスなど、多彩なグッズで読者の心をつかんだ

 90年代の「りぼん」に連載していた作家は、ほとんどが同世代で仲が良く、「仲良しのみんなで描いている雑誌」という感じ。めちゃめちゃ忙しかったけど、楽しかったですね。

 当時、読者に人気のあったふろくにはノートやすごろく、組み立て式のボックスなどいろいろあって、ふろく用のイラストを描く作業に追われました。月刊誌なので、原稿が終わると次の話のネーム(下書き)に取りかかるまで1週間ほどの余裕があるはずなのですが、ふろく向けのイラストの描きおろし作業で大抵つぶれました……。でも、畳むとおにぎりの形になる便せんや、トランクをかたどったノートなど、変わった形のふろくのイラストを描くのは面白かったです。

 すごろくや組み立てる紙製のお(ひな)様など、細かいカットをたくさん描くふろくはとにかく大変でした。自分でふろくを組み立てたり遊んだりする暇もないほどでしたが、満足できるかわいいものができると、どんな忙しさも報われましたね。

 今、30~40歳代の女性に会うと、みんなあの頃の「りぼん」や私の作品を読んでくれていて、「こんなにすごいことだったんだ」と驚きます。趣味のお友達やお気に入りの着物屋さんの店員さんが、私が作者であることを知らずに作品を好きと言ってくれたこともあります。あの時代に連載できたことをありがたく、うれしく思っています。

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685101 0 トピックス 2019/07/11 12:30:00 2019/07/12 11:00:25 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190705-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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