映画の感動再び…ミュージカル「ボディガード」日本初上陸へ

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 ロンドン発のミュージカル「ボディガード」が9月、日本に初上陸する。来日カンパニーは現在、英国・アイルランドツアーの真っ最中で、各地を熱狂の渦に包んでいる。看板女優である英国のスター、アレクサンドラ・バークら主要キャストやスタッフを直撃するために、現地へ飛んだ(文化部・清川仁)。

 「ボディガード」といえば、ケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストンが共演した1992年の映画。ストーカーに狙われる人気歌手で女優のレイチェル・マロンと、彼女を守る任務をひたむきに遂行するボディーガード、フランク・ファーマーのラブストーリーだった。映画のサウンドトラックは、日本で180万枚、世界では2500万枚と言われる大ヒット。85年のデビューアルバム「そよ風の贈り物」以来、爆発的な人気を誇った歌姫ホイットニーにとっても、主題歌「オールウェイズ・ラブ・ユー」は最高のヒット作となった。

言葉を超える感動

ミュージカル「ボディガード」の一場面
ミュージカル「ボディガード」の一場面

 ミュージカル「ボディガード」は、この大ヒット映画をベースとして数々の名場面を生で再現したうえ、挿入歌を本物のコンサートと遜色ない演出で存分に聴かせる。さらに映画では流れなかったホイットニーの数々のヒット曲もちりばめた。

 「どこの国でもあるシーンでは必ず笑いが起きるし、感動を呼ぶ場面では、針一本落としても聞こえるほど静まり返っている」。今年6月、ロンドンの事務所でインタビューに応じた女性演出家、テア・シャロックさんは、観客の確かな反応を誇らしげに語っていた。初演から7年がたち、欧州各国をはじめ、中国や韓国まで11か国で上演されている。ツボを押さえた構成や演出は、言語や習慣を超えて支持されているということだろう。

 演劇の聖地、ロンドン、ウエストエンドのアデルフィ劇場で開幕したのは2012年11月。その年の2月、ホイットニーがこの世を去っている。その後、英国演劇界最高の名誉である13年のローレンス・オリビエ賞では、作品賞を始め4部門にノミネートされる評価を得た。シャロックさんは「ホイットニーのトリビュートのようになってしまった。彼女に見てもらえなかったのは悲しい」と語った。

まるでコンサート会場

映画にはないオリジナルのシーンも
映画にはないオリジナルのシーンも

 6月15日、ツアーが開催されていた英国中部のノッティンガム、ロイヤル・コンサート・ホールを訪れた。開演早々に繰り出された「Queen Of The Night」は、一流アーティストのライブかと思うほどの迫力ある演出。きらびやかな金色の衣装に身を包んだレイチェルが屈強なダンサーたちを従え、エキサイティングなアクロバットを含む肉感的なパフォーマンスをふんだんに披露する。

 昼夜の公演はいずれも観客は総立ちで踊り、ステージに大歓声を送り続けていた。夜の部のレイチェル役、アレクサンドラ・バークは興奮気味にマイクを客席に向けて歌唱をあおり、昼の部の同役、ジェンリー・シャローはあまりの反響の大きさに感極まり、せり上がった舞台の上で涙を拭っていた。ミュージカルに日常的に親しんでいるイギリス人たちは、心の底から公演をエンジョイしているようだった。スリリングな場面で大きな音が響くと、まるでテーマパークのアトラクションのように絶叫する。流れる楽曲全てをフライング気味に歌っている人もいたし、ラブシーンでは「ヒュー」と、はやし立てる声もあがっていた。

レイチェル・マロン役として派手なステージパフォーマンスを披露するアレクサンドラ・バーク
レイチェル・マロン役として派手なステージパフォーマンスを披露するアレクサンドラ・バーク

主要キャスト3人の横顔

アレクサンドラ・バーク
アレクサンドラ・バーク

★アレクサンドラ・バーク(レイチェル役、ダブルキャスト)

 2008年、オーディション番組「Xファクター」を制し、直後に発売されたシングル「ハレルヤ」は88万枚を売り上げて英国年間チャート1位を獲得した。最近では、テレビの人気ダンス番組で知名度をさらに上げる。

 14年、3人目のレイチェル役として「ボディガード」でミュージカルデビュー。初演の12年の時も声がかかり、オーディションを受けたがかなわなかった。「客席で舞台を眺めて、これが私だったらどんなに良かったかしらって独り言をつぶやいたのを覚えている。夢のような役。あれも歌える! これも歌える! でも、歌っているのはなぜ私じゃないのって悲しくなったわ」

 歌姫に対する憧れは、子供の頃から。母親で歌手のメリッサ・ベルは、ホイットニーのバックコーラスを務めていた。「もう、この役はできないと失望していた時、再び話が舞い込んだ。この間に様々な経験をし、母が精神的に支えてくれた」と振り返る。シャロックさんも「見違えるほど成長していた」と語る。

 来日を機に発売されるサードアルバムの日本盤には、海宝直人さんとのデュエット曲も収録される。

ジェンリー・シャロー
ジェンリー・シャロー

★ジェンリー・シャロー(レイチェル役、ダブルキャスト)

 「ライオンキング」のナラ役やシルク・ドゥ・ソレイユなどを経験し、今春からツアーに参加。鍛え上げられた肉体のアレクサンドラ・バークとは対照的に、カモシカのような細身で長い脚が舞台で映える。「細いのになぜパワーのある声が出るかって? 生まれつきだから分からないわ(笑)」。初代レイチェル役で、トニー賞女優のヘザー・ヘッドリーと同じトリニダード・トバゴ出身。「音楽の先生に『声が似ている』と言われてうれしかった」。同郷のスターと、音楽界のレジェンドという、2人の憧れの存在に挑んでいる。

ブノワ・マレシャル
ブノワ・マレシャル

★ブノワ・マレシャル(フランク・ファーマー役)

 経営工学で修士課程を修了したインテリのフランス人。シャルル・アズナブール役を演じたこともあり、シャンソンも達者に歌う。本作で美声を披露する機会はないが、マイクを握れば日本人女性の心をつかみそうだ。フランク役を演じるにあたり、ボディーガード養成所、シークレットサービス、モサド(イスラエル諜報(ちょうほう)特務庁)を取材したという。「舞台に立った時は、役のことを考えなくてもいいほど、完璧に準備をしておくものだ、と教えられた」。カンパニーには昨年のフランスツアーから参加し、英語力を武器に英国ツアーも引き続き演じている。「日本語は話せない。『ニホンゴ、ワカリマセン』。この言葉だけ覚えたけど、発音がいいらしくて信じてもらえないんだ(笑)」

フランク・ファーマーを演じるブノワ・マレシャル
フランク・ファーマーを演じるブノワ・マレシャル

ミュージカル「ボディガード」 来日公演

 9月13日~10月6日、東京・渋谷、東急シアターオーブ、10月11~20日、大阪・梅田芸術劇場メインホール。

 生演奏、英語上演、日本語字幕あり。「I Wanna Dance with Somebody」「I Have Nothing」「Run to You」「Saving All My Love for You」など約15曲を歌唱予定。

 問い合わせは、梅田芸術劇場(電話0570・077・039=東京、06・6377・3800=大阪)へ。

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758074 0 トピックス 2019/08/23 10:07:00 2019/08/23 10:41:11 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190822-OYT8I50006-T.jpg?type=thumbnail

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