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はやぶさ2 初代を教訓 難題突破

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「姿勢制御」増設 3.4億キロ先 「直径6メートル」ピタリ

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機はやぶさ2が、地球から約3億4000万キロ・メートル離れた小惑星リュウグウに無事に着地した。2010年に傷だらけになりながら小惑星イトカワの試料を地球に持ち帰った、初代のはやぶさの教訓が生かされた。

着地後に上昇中のはやぶさ2が撮影したリュウグウ地表面。太陽の光を受けて機体の影が映っている(JAXAなど提供)
着地後に上昇中のはやぶさ2が撮影したリュウグウ地表面。太陽の光を受けて機体の影が映っている(JAXAなど提供)

■甲子園のマウンド

 「ベストの着地ができた」。着地の成功を伝える22日の記者会見の冒頭で、計画を率いる津田雄一・JAXAプロジェクトマネージャは誇らしげに語った。

 2014年に打ち上げられたはやぶさ2は、昨年6月にリュウグウへ到着するまで順調そのものの航行を続けた。だが、リュウグウの地表面に大きな岩が多くあることがわかってくると、状況は暗転した。

 はやぶさ2の筒状の試料採取装置は、機体の下部に取り付けられている。大きな岩があると、採取の際に本体がぶつかって破損する恐れがある。昨年10月、着地を延期すると発表した際、津田氏は「いよいよリュウグウが牙をむいてきた」と厳しい表情を見せた。

 チームはここで、じっくりと腰を据えて対策を練った。はやぶさ2が撮影した画像などを基に、精密な3次元地図を作り上げた。岩の一つひとつの形や大きさまで再現し、安全に降りられる場所を探した。

 その結果、チームは今月6日、直径6メートルと極めて狭いが平らな領域を着地点に選んだ。元々、直径100メートルの範囲に降りる想定だったことから、JAXAは難易度の変化を「甲子園球場のどこかに降りればよかったが、マウンドに降りなければならなくなった」と例えた。だが、関係者によると成功の可能性は99%以上と見込んでいたという。

■「灯台」

 世界最高難度の着地に挑む支えは、初代はやぶさから得た様々な経験だった。はやぶさは姿勢制御装置の故障などトラブルが相次ぎ、05年9~11月、3か月という短い期間で2回の着地を行い、破損はさらに進んだ。

 JAXAは、はやぶさ2では探査期間を1年半とし、エンジンの増強や姿勢制御装置の増設など様々な改良も施した。小惑星探査に詳しい寺薗淳也・会津大准教授は「拙速とも言えた初代の教訓を生かし、安定した運用を行った」と評価する。

 着地の要となったのは、初代にも搭載された球状の目印だ。光を反射して「灯台」のような役割を担う。はやぶさ2は、着地点から1メートル離れた場所に事前に投下したこの目印を頼りに自らの位置を確認し、想定した着地点上空にいると判断して着地を敢行した。

 初代のプロジェクトにも参加した吉川真ミッションマネージャは「目印を使う探査機は、世界でもはやぶさとはやぶさ2だけだ。まさにはやぶさの経験が生きた」とほっとした表情を見せた。

■存在感

 世界は盛んに天体の探査や有人宇宙開発を繰り広げている。欧州は14年、火星と木星の間にあった彗星に初めて着陸機を送り込んだ。中国は今年1月、月の裏側へ探査機を着陸させることに成功した。米国は20年代に月の近くに宇宙基地の建設を始める計画を掲げ、各国へ参加を呼びかけている。日本も、20年代後半に火星の衛星から試料を持ち帰ることを目指し、21年度には月に無人着陸機を送る計画だ。はやぶさ2で実現した高精度の着地技術を生かす考えだが、世界はこの技術に注目している。

 巨大な予算が必要となる宇宙の有人開発や天体の探査は、一国だけでなく国際協力で進めることが主流になっている。JAXAははやぶさ2で培った技術を強みに存在感を示し、国際協力の交渉を有利に進めることを狙っている。

隕石と比較「生命の起源」研究

 小惑星は、宇宙空間を漂うちりが集まった小天体が衝突や合体を繰り返してできたものだ。主に火星と木星の間の「小惑星帯」を回っており、まれに軌道を外れてリュウグウのように地球に近づくものもある。

 さらに大きくなったものが地球のような惑星だ。天体は大きくなるほど熱がこもりやすく、惑星の内部の岩は溶けるなどして変化している。一方、小惑星は熱による変化は小さく、岩石や砂は太陽系誕生当時のままの状態が比較的保たれている。「化石」のような存在のため、砂などを調べれば、太陽系の進化の手がかりを得られる。

 また、はやぶさ2の試料分析を担当する橘省吾・東京大教授(宇宙化学)は「地球の生命や海のもとはどこから来たのかを解くヒントになるかもしれない」とも強調する。

 リュウグウは有機物や水を含んだ鉱物が豊富にあるとみられている。C型小惑星と呼ばれるタイプで、ほかにも多くあることが知られている。

 生命誕生前の地球にC型小惑星が飛来・衝突するなどして、生命に欠かせないたんぱく質などを生み出す有機物、海の起源となる水をもたらしたとの仮説がある。小惑星や彗星のかけらである隕石の中に、有機物を含む「炭素質コンドライト」と呼ばれるものが地球上で見つかっているためだ。

 ただ、決定的な証拠はない。リュウグウから試料を地球に持ち帰って、この隕石の組成と同じかどうかを詳細に調べれば、生命のルーツに迫れる可能性がある。(科学部 野依英治)

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1633586 0 トピックス 2019/02/23 05:00:00 2020/11/18 10:04:04 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201117-OYT8I50127-T.jpg?type=thumbnail

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