ビートルズ来日をカラーで再現…思い出はモノクローム、AIで色づけ
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昭和の時代は、新聞社が撮るニュース写真の大半がモノクローム(白黒)だった。カラーフィルムがまだ貴重だったこともあるが、新聞社の輪転機(印刷機)は大部数を短時間で印刷することを第一の目的としており、多色刷りが難しかったからだ。カラー写真を新聞紙上できれいに高速印刷できるようになったのは約30年前、平成に入った頃からである。
それ以前に新聞記者が立ち会った歴史的シーンの写真の多くはモノクロであり、「カラーで見ることができたら」と思うことがしばしばある。しかし人工知能(AI)の登場により、その願いがかなうことになった。
(写真中央の白丸を左右に動かすと、モノクロとカラーを比較できます。右いっぱいでオリジナルの白黒写真、左いっぱいでカラー化した写真となります)
ポール、お忍びで皇居へ
読売新聞の新企画「Color the News」では、モノクロでしか見ることができなかった昔のニュース写真を、AIの力を借りてカラー化していく。モノクロームの思い出が色づいて鮮明によみがえることだろう。
満を持して登場
昔のモノクロ写真をカラー化する今回の企画は、早稲田大学理工学術院の石川博教授の研究室が開発した、人工知能(AI)による自動色付けシステムを、許諾を得て使用している。モノクロの元画像をシステムにかけるとかなりの部分がカラーに変換される。ただし、AIといえども、すべてきれいにカラー化することはむずかしい。AIが得意とするのは、人の顔や腕など皮膚の色付けだ。表情の中の微妙な陰影なども相当にうまくカラー化してくれるようだ。
タラップに立つメンバー
一方で、人工物のカラー化は苦手らしい。たとえば、ビートルズが飛行機のタラップを降りてくる写真。AIは日本航空の「JALマーク」の色を判断できず、モノクロ画像と同じグレーにした。こうした部分は人間が補う必要があり、読売新聞の写真記者が補色している。