読売新聞オンライン

メニュー

全員腕まくり、よそ行き感のある服装…1955年の予防接種の風景をカラー化

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 読売新聞の企画「Color the News」では、モノクロでしか見ることができなかった昔のニュース写真を、AIの力を借りてカラー化している。今回の写真には、人工知能(AI)の自動色付けシステムが苦手とする人工物があまりない。このため、カラー化は容易と思われたが、実際にはかなり難航した。やむを得ないことだが、当時の撮影機材やフィルムの性能の問題だ。(写真中央の白丸を左右に動かすと、モノクロとカラーを比較できます。右いっぱいでオリジナルの白黒写真、左いっぱいでカラー化した写真となります)

 撮影した頃は、今とは比較にならない低感度のフィルムしかなかったため、昼間でも屋内撮影は明るさが足りない。このため、小学校でのインフルエンザの集団予防接種の写真は、マグネシウムのフラッシュをたいて撮影したと思われる。

 その結果、モノクロ原画に写った子供の顔は、手前の子と後方の子で明暗の差が大きい。AIはこれに戸惑ったようだ。単純に1枚の原画をAIのシステムに通すだけでは、全体をうまく色付けできなかった。

 そこでモノクロ原画を、前方の人物の表情がはっきりする明るさに調整したものと、後方の人物に合わせて調整したもの、2種類をAIのシステムにかけ、両者の「いいとこ取り」をしつつ補色した。AIもまだ、その写真が撮られた時代の、フィルムや機材の状況まで織り込んだ判断はできないということだろう。

 余談になるが、予防接種を受ける子供たちも、注射を打つ医師も、着ている服の「よそ行き感」が強い。また、痛がる女の子もオーバーというか、あまりに「おあつらえ向き」の表情ではないか。最後尾の男子まで全員腕まくりして待っているのも、ちょっと不自然な気がする。

 もしかすると、新聞社が取材撮影に来るというので、この日はみんなが一張羅を着て登校し、記者の注文にいろいろと応えてくれたのかもしれない。当時、新聞社のカメラマンに写真を撮られるというのは、おそらく大変な出来事だっただろう。そんな時代の空気も伝わってくる。

※本企画のカラー化にあたり、早稲田大学理工学術院・石川博教授の研究室が開発した自動色付けシステムを、許諾を得て使用しています。

無断転載・複製を禁じます
2142966 0 トピックス 2021/06/22 09:00:00 2021/06/22 11:09:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)