1964年の新幹線開業…出発式でピンクや青の「吹き流し」たなびく
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読売新聞の企画「Color the News」では、モノクロ(白黒)でしか見ることができなかった昔のニュース写真を、AIの力を借りてカラー化している。
今回カラー化したのは1964年10月1日、東海道新幹線開業日の光景だ。
東海道新幹線の1番列車、東京発・新大阪行き「ひかり1号」は、午前6時に出発した。1枚目の写真は、出発式の様子である。その日の夕刊1面に掲載された。
読売新聞にこの写真のネガは残っておらず、紙焼きのプリントのみが見つかった。しかもそれは、2枚の写真をつなぎ合わせたものだった。新幹線の車体とホームを埋め尽くす関係者を一つの画像に収めるために、横長のパノラマ写真を作ったらしい。
マイクが並んでいる付近の左側に切り張りした跡が残っており、プリントは経年劣化でかなりいたんでいた。また、くす玉から出ている「吹き流し」をくっきりと見せたり、参列者の背広を際立たせたりするために、筆で輪郭や陰影を書き込むなど、かなり修正が加えられてもいた。当時の新聞の印刷は今ほど画質がよくなかったため、切り張りや加筆修正は紙面上、ほとんどわからない。しかし現在はわかってしまう。
このため、カラー化する前にまずモノクロ原画の切り張りや劣化部分を修復する必要があった。また、加筆された部分はAIにとっては余計な情報となるため、それを織り込みつつ補色しなければならなかった。
こげ茶色の屋根や赤レンガ色の壁面…東京駅もカラー再現
2枚目の写真は、同日夕刊の社会面に掲載されたものだ。これをカラー化する際に、AIは東京駅壁面の赤レンガの色と三角屋根の色をあまり区別できなかった。だが、幸いと言うべきか、東京駅舎は近年まで当時と同じ形で残っていたため、今とは異なる屋根部分などもカラーの資料をもとに補色することができた。
丸の内オフィス街の先の緑地は皇居で、向こうにタワーが写っている。方角からすると、これは東京タワーではなく、千代田区麹町にあった日本テレビの電波塔と思われる。