メガネの大山康晴とくわえタバコの升田幸三…1960年代の将棋界をカラー化
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読売新聞の企画「Color the News」では、モノクロ(白黒)でしか見ることができなかった昔のニュース写真を、AIの力を借りてカラー化している。今回カラー化したのは、1960年頃の将棋界のレジェンドたちだ。(文中敬称略)
1枚目の写真は1962年(昭和37年)11月21日、第1期十段戦七番勝負の第3局だ。左が大山康晴、右が升田幸三。当時の将棋界に並び立つ巨頭2人である。傍らに火鉢を置き、くわえタバコで対局する様子が時代を感じさせる。
この写真のカラー化は難航した。AIは人間の肌の色はうまくカラー化してくれるが、衣服の色を判断するのが苦手だ。大抵は単一の同系色で濃淡をつけるのみに終わってしまう。
今回の写真でAIは、対局者2人の和服も向こうの観戦記者たちの背広も、すべて紺色で濃淡をつけるだけだった。当時の男性の服は今よりずっと地味だったとしても、茶系の羽織や背広なども多かったはずで、青系一色ではリアリティーを欠く。
このため補色作業によって、大山の和服と一部記者の背広を茶系に変えてみた。実際には大山の方が青系で、升田が茶系であったかもしれない。
「ひふみん」の結婚披露宴
2枚目の写真は1960年(昭和35年)1月15日、今では「ひふみん」の愛称で親しまれている加藤一二三の結婚披露宴だ。新郎新婦のケーキカットを見守っているのが升田である。紋付きの礼装にもかかわらず、下着の長袖シャツが袖からも襟からも出ている。このいでたちが、長髪ひげ面とともに、升田のトレードマークだった。
この写真ではウェディングケーキの模様を再現できなかった。ウェディングケーキは純白なのでカラー化とは関係ないが、ケーキの部分がいわゆる「白飛び」の状態になってしまい、模様が写っていなかった。撮影したカメラマンは、加藤ご夫妻の幸せそうな様子に当てられたのかもしれない。