新型コロナウイルス 予防方法

ワクチンについて

ワクチンの役割って何?

mRNAワクチンで免疫がつく仕組み

体には侵入した病原体を攻撃して、体を守る「免疫」がある。病原体の特徴を免疫細胞が覚えて、2度目からは素早くやっつける仕組みだ。ワクチンはこの仕組みを利用して、発症や重症化を防ぐ。

新型コロナウイルスは、表面に「突起」があり、ワクチンは突起の形を免疫細胞に覚えさせる役目を果たす。そのため、米のファイザー製・モデルナ製のワクチンは、人の細胞に突起部分を作らせるための設計図(遺伝物質mRNA)を含み、英アストラゼネカ製は、突起の遺伝物質を別の無害なウイルスで人の細胞に運ぶ。

2回目の接種から1~2週間たつと体の中に大量の抗体ができ、防御態勢が整う。mRNAワクチンの従来株のコロナウイルスに対する発症予防効果は約95%で、重症化も1割未満に減らすとされる。

変異ウイルスとは?

コロナ変異ワクチン ポイントは突起

新型コロナウイルスが体に入ると、表面の突起を人の細胞にくっつけて、ウイルスの遺伝情報(設計図)を送り込み、細胞にウイルスを大量にコピーさせる。たまにコピーミスが起きて生まれるのが「変異」ウイルスだ。

大半の変異は問題にならないが、突起の重要な部分に変異が起きると、感染力が強まったり、体内で爆発的に増えて重症化しやすくなったりする。

感染力が強い変異ウイルスが生まれると、流行する株が置き換わる。国内では2021年5月に、従来株から英国由来の「アルファ株」に、8月には新規感染の推定9割以上が「デルタ株」に置き換わった。デルタ株の感染力は従来株の2倍、アルファ株の1.5倍といわれている。

ワクチンは、デルタ株など変異株には効くの?

新型コロナの懸念される変異株

「変異」して突起の形が変わると、一部の抗体はくっつく相手がいなくなり、役に立たなくなるが、ワクチンでできる抗体の種類はたくさんある。突起の様々な部分にくっついて感染を妨害するので、急に効果がゼロにはならない。

デルタ株に対するワクチンの予防効果はやや落ちているが、それでもワクチン未接種の場合と比べると、重症化は1~2割にまで減るとみられ、接種のメリットは十分にある。

集団免疫とは?

新型コロナウイルス 集団免疫とは

一定以上の割合の人がワクチン接種などで免疫を持つと、感染の広がりが抑えられ、事情により接種ができない人も感染から守られるようになる。これが「集団免疫」だ。

新型コロナウイルス 集団免疫の目安

感染の広がり具合は、一人の感染者が周囲の免疫のない人にどれだけ感染させるか(基本再生産数)ではかる。新型コロナは当初、2.5人程度とみられていたが、感染力の高いデルタ株は、推定で5~9.5人。水ぼうそうの8~10人にも匹敵し、感染の広がりを抑えるのに必要な接種率は8割以上になる。

ワクチンの効果はいつまで続く?

国内での新型コロナウイルスワクチンの主な効果

ワクチン接種を完了した人でも、発症を100%防ぐことはできない。2回接種後、2週間以上たったのに感染する「ブレイクスルー感染」も報告されている。接種による免疫の度合いは、個人差が大きく、十分に抗体が増えない人、比較的短期間で抗体の量が落ちてしまう人が、一定数いると考えられる。

デルタ株も心配な材料だ。米国の調査ではデルタ株の流行後、ワクチンの感染予防効果がモデルナ製で76%、ファイザー製で42%に下がった。抗体を増やす「ブースター効果」を期待して、3回目接種をイスラエルや米英独などが実施・検討している。

一方、世界保健機関(WHO)は、3回接種で抗体量が増えても感染や発症などの予防効果は「十分に証明されていない」と注意を促す。富裕国で3回接種が進むと、途上国にワクチンが届かなくなる恐れにも危ぐを抱いている。

特効薬はある?既存の薬で効果があるものは?

新型コロナウイルスの重症度に応じた治療

新型コロナでは、まず他の病気の既存薬が転用された。元々はエボラ出血熱のために開発された抗ウイルス薬「レムデシビル」は、厚労省が昨年5月に特例承認した初めての治療薬だ。その後も、過剰な免疫反応を抑えるステロイド薬や抗炎症薬が認められた。いずれも中等症、重症用だ。

一方、2021年7月に厚生労働省から特例承認された点滴薬は、新型コロナから回復した人の抗体を利用するなどして人工的に作った新薬だ。2種類の抗体を混ぜて使うため「抗体カクテル療法」と呼ばれる。異例のスピードで開発され、対象は軽症、中等症の患者。海外の治験では、入院や死亡を7割減らす効果を示した。2種類の抗体が入っているので、変異株にも強いとされる。

ようやく軽症、中等症、重症で使える薬がそろったが、点滴薬を自宅療養で使うのは難しい。発症早期から患者が自宅でも服用できる飲み薬の開発を、国内外の製薬会社が急ピッチで進めている。

接種後もマスクは必要?

新型コロナウイルス、マスクやフェースシールドの効果

デルタ株による感染の拡大で、ワクチンの2回接種完了後も当面はマスク生活が続きそうだ。

米疾病対策センターは2021年春、2回のワクチン接種を終えた人のマスク着用を段階的に緩和したが、7月に改めて、公共施設内での着用を求めた。一方、ワクチン接種が進んだ英国では7月、新規感染者数が高止まりする中、マスク着用を含め、行動規制の全面的な解除に踏み切った。

日本は現在、感染拡大とともに深刻な病床数のひっ迫が起きている。知らずに感染してウイルスを広げる可能性もあり、接種後もマスクや換気、手洗いといった感染対策が必要だ。

マスクの素材によっても効果は異なる。スーパーコンピューターによるシミュレーション(想定実験)などによると、飛沫を防ぐ効果は、不織布が70~80%と高いのに対して、ウレタンは30~50%。専門家は「感染拡大を防ぐには、不織布マスクの着用と、換気を適切に行うことが最も大切だ」と指摘する。