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    フィギュアスケート

    「誰よりも表情豊か」スポーツフォトグラファーが語る羽生結弦の魅力 田中宣明さん

     フィギュアスケート男子で五輪連覇を達成した羽生結弦選手(23)(ANA)の輝かしい軌跡を振り返る「応援ありがとうございます! 羽生結弦展」(4月11~23日・日本橋高島屋=東京都中央区=など、全国7か所で。読売新聞社主催)に出品協力するスポーツフォトグラファーの田中宣明さん(47)が、ヨミウリ・オンライン(YOL)のインタビューに応じた。「誰よりも表情豊かな被写体」などと、ユヅ(羽生選手の愛称)の魅力を語った。(聞き手・込山駿=メディア局編集部。本文中は敬称略)

    • 田中さんの出品作(2015年撮影)
      田中さんの出品作(2015年撮影)

    鋭い回し蹴り、顔の横で両手ピース

     2015年、国内でのアイスショー。全体練習の合間に、リンク脇で構えたカメラのすぐ近くまで、人懐こく滑り寄ってきた。いたずらっぽい表情を浮かべ、空手の「回し蹴り」のように、右足を鋭くしなやかに振り抜くポーズを披露。スケート靴の刃についた氷のかけらが飛び散ってくる中、ぼくは慌てて連写した。

     一昨年、フランスのマルセイユで開かれたグランプリ(GP)ファイナルでは、4連覇を達成した。エキシビションの練習の時、「4連覇だからね」と声を掛けると、顔の横に両手でピースサインを作ってくれた。それまでに見せたことのないポーズと表情だったから、思い切りアップで撮った。

     どちらも、小さい頃から見続けているカメラマンだからこそ、撮れるカットだ。そういう写真10枚を中心に、今回の展覧会に出品することになった。雑誌や写真集に載せるよりも、ずっと大きく引き伸ばしたサイズで、ファンのみなさんに披露できる。とてもいい機会だと感じている。

     初めてユヅを撮ったのは、10歳だった2005年、その世代の全国大会に出た時だった。しっかりした礼儀正しい受け答え、それでいてかわいらしくて明るい振る舞いは、今と全く変わらない。当時からずっと、トップ中のトップの成績を出し続けている選手はほかにいない。ぼくにとって、最も魅力的で思い入れの深いスケーターだ。

     もう長いこと追い続けてきた被写体にもかかわらず、撮影は今なお、新鮮な発見の連続になる。ぼくは「勝負を分けた一瞬」よりむしろ「選手の表情」を狙って撮るスポーツカメラマンなのだが、ユヅはほかの誰よりも表情豊かだ。同じ曲に乗せて同じ振り付けで滑っても、毎回のように見たことのない顔をして演技する。だから、現場ではこちらも一瞬たりとも気を抜けない。予測不可能な、厳しい撮影になる。

    復活の五輪連覇、練習で予感

    • 撮影カットについて説明する田中さん
      撮影カットについて説明する田中さん

     そんなユヅが、右足首の故障が明けての「ぶっつけ本番」で、約4か月ぶりに出場した公式戦が2月の平昌オリンピックだった。こちらも久々の撮影だけに、かつてないほど緊張した。フリーの日は約1500枚と、いつもユヅを撮る時の1.5倍以上もシャッターを切った。

     あれほどひどいケガを乗り越え、男子では66年ぶりの五輪2連覇を飾った。平昌入りして最初の練習で軽く滑ってみせた時点で、ぼくは「これなら、やってくれるんじゃないか」と感じていた。とても落ち着いていて、穏やかな表情をしていたから。スポーツ界の常識からするとありえないような復活の金メダル獲得になったが、それもユヅにしかできない芸当だろう。

     まだまだ現役を続けてほしい。フィギュア競技のすそ野をもっと広げ、よりしっかりとした土台を作り上げるには、ユヅが後輩たちに模範を示し続けるのが一番いい。(談。4月5日、読売新聞東京本社で)

    〈プロフィル〉
     田中宣明(たなか・のぶあき)1970年5月15日、東京生まれ。早大卒業後、写真の専門学校に入って撮影を学び、スポーツカメラマンに。さまざまな競技を撮ってきたが、特に2000年から撮影するフィギュアスケートでは、今シーズンだけで20もの大会を取材。国内では、イベントなどの公式カメラマンも務める。

    2018年04月09日 14時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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