文字サイズ
    ちょっと気になるニュース、インターネットやSNSで話題のトピックス……。世の中の「今」をお届けします。
    eスポーツ

    <1>国内唯一のeスポーツ団体として/浜村弘一・JeSU副会長インタビュー

     コンピューターを使った対戦型ゲームを「eスポーツ」と呼び、オリンピックの正式種目に追加してもらおうとする動きが国内で活発化している。もともと三つに分かれていた業界団体が「日本eスポーツ連合」(JeSU)に統一されたことで、足並みがそろったことが大きい。8月にインドネシアで開かれるアジア競技大会では、デモンストレーションとしてeスポーツ6種目が行われるが、2種目にJeSUが選抜した3人の日本代表選手が参加することになり、メダル獲得も期待されている。一方で、日本は選手の練習環境が未整備で「eスポーツ後進国」と 揶揄 ( やゆ ) されることが多いのも現実だ。日本のeスポーツをどう普及・発展させるのか? 課題と展望をJeSU副会長の浜村弘一さんに聞いた。

     ――今年2月に「日本eスポーツ連合」(以下、連合)が創設される以前、トルクメニスタンで開かれたeスポーツ大会に日本人選手を派遣しようとしたところ、主催者から国内唯一の団体ではないという理由で参加を拒否されたことがあったそうですね。

     2017年9月のアジア室内競技大会のことですね。当時三つあったeスポーツ団体の責任者が集まって、そのときぼくは「e-sports促進機構」にいたのですが、誰を派遣するかを巡って話がまとまらなかった。でも、その間に選手個人でも大会にエントリーできるようになったんです。「こんな大会って、ほかにないよね」と言っているうちに、対応がうやむやになってしまいました。

     ――そのときの3団体が中心になってJeSUが設立されました。ほかの国のように統括した団体を作って、選手をバックアップできる態勢を整えてから送り出そうということで、ようやく一致したわけですね?

     そうですね。ただ、ほかの国みたい、というのはちょっと語弊があるかもしれません。唯一の統括団体が選手を送り出している国って、あまりないんですよ。ほかの国がどうこうというより、来たる2018年のアジア競技大会ではまとまって動こうという思いで一致したんです。

     ――当時はすでに、米ラスベガスで開かれている「EVO(エボ)」などで、東大卒プロゲーマーで知られる「ときど」さんら日本人選手が活躍していました。

     そうなんです。カプコンプロツアーもあったし、日本人選手が国際大会でメダルを取ることができるという確信はありました。だとしたら、われわれもその環境作りをしっかりしなければいけないという考えでした。

     【メモ】一般社団法人日本eスポーツ協会、一般社団法人e-sports促進機構、一般社団法人日本eスポーツ連盟が合併し、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立された。会長はセガホールディングス社長の岡村秀樹氏。設立の趣旨として、<1>eスポーツ振興に関する調査、研究、啓発 <2>eスポーツ競技大会の普及 <3>eスポーツ競技大会におけるプロライセンスの発行と大会の認定――など5点を掲げる。

    準備期間2週間のドタバタ選考会

    • (イメージ)
      (イメージ)

     ――8月のアジア競技大会本戦に向けて、5月に都内で代表選考会が行われ、12人が選出されました。そこに向けて連合はどんな準備をしましたか?

     アジア競技大会でeスポーツが行われることはずいぶん前に決まっていたのですが、具体的に競技の中身(計6種類のゲームタイトル)が決まったのが5月半ばでした。主催者からは、5月末には代表を決めてほしいと言われて、泡を食いました。

    [・アジア大会eスポーツ日本代表が決定~日の丸背負うゲーマーたち]

     ――ドタバタの中での選考会だったんですね。

     そうなんです。IPホルダー(ゲームメーカーや著作権保持者)や施設運営者の方々の協力がなかったら、ここまでスムーズに行かなかったと思います。何とかしてeスポーツを認知してもらいたいという思いで、みんなが協力して作り上げた感じです。

     ――先日、東アジア地区予選も終わり、日本代表12人のうち3人の本戦進出が確定しました。中には高校3年生もいます。期待が高まっていますね。

     「ウイニングイレブン2018」に出場する相原翼君ですね。まだ17歳の少年なので、プレッシャーを与えないでくださいね(笑)。こんな大きな大会で日の丸を背負うなんて、彼にとっては夢のような話だと思います。eスポーツは、最後はメンタルの勝負なので勇気づけてもらえたらと思います。

    [・日本代表3選手が本戦進出へ…アジア大会「eスポーツ」]

     ――浜村さんから見て相原選手はどんな選手ですか?

     最初のころは、本当に普通の高校生だったんですよ。彼は一般枠で参加したんですが、プロ選手をどんどん蹴散らして最後まで残ったんです。ある意味、ダークホースです。でも、記者会見で「日の丸を背負ってがんばる」と立派な発言をしていました。IPホルダーのコナミさんも「短期間でものすごく成長して、すばらしい」とおっしゃっていました。応援してくれるみんなの期待に応えようとしているんだと思います。どれだけ立派に成長して帰ってくるか楽しみです。

    物心両面で代表選手をサポート

     ――連合は日本代表選手に対して、どんなサポートをするのですか? 旅費や滞在費を工面するのですか?

     もちろんです。一部報道で、日本代表なのにJOCが全然、お金を出してくれないという記事が出ましたが、われわれはそもそもJOCにまだ加盟していませんし、JOCはJOCで自分たちの選手を送り出すことに予算を使わないといけません。われわれは独自で予算を持っているので、物心両面で選手をサポートします。

     ――準備期間中、国内での練習もサポートしますか?

     選手から相談を受けて、たとえば練習場が欲しいと言われたら、提供してくれる施設を手配してあげたり、交通費を出したり、全部サポートします。日本代表がほかの国の代表選手と比べて不利なことがないようにします。

     ――戦術的な指導やコーチングの役割も果たすのですか?

     リクエストがあれば、やれることをやっていきます。実際、東アジア地区予選のときも支援しました。あのときは我々から2人が帯同しました。

    (2018年7月、東京都内で)

    (聞き手・笠井智大、つづく)

    【連載】浜村弘一・JeSU副会長インタビュー
    <1>国内唯一のeスポーツ団体として
    <2>eスポーツはスポーツである
    <3>選手が活躍する場を作りたい
    <4>eスポーツとは「未来」である

    プロフィル
    浜村 弘一( はまむら・ひろかず
     一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)副会長、株式会社Gzブレイン会長。1961年、大阪府生まれ。85年、早稲田大学第一文学部卒業。ゲーム情報誌「ファミコン通信」(現・週刊ファミ通)創刊に携わり、92年から10年間、「週刊ファミ通」編集長を務めた。2018年2月、JeSU設立に伴い、副会長に就任。さまざまな角度からゲーム業界の動向を分析し、コラム執筆なども手掛ける。著書に「ゲームばっかりしてなさい。―12歳の息子を育ててくれたゲームたち―」など。

    2018年07月13日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR情報
    PR
    今週のPICK UP
    ハウステンボス旅行など当たる!夏休み特集