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    eスポーツ

    <3>選手が活躍する場を作りたい/浜村弘一・JeSU副会長インタビュー

     ――eスポーツを理解している世代は、若年層に偏っていますね。

     はっきり言うと10代ですね(笑)。

     ――30代、40代以上のお子さんがいる世代、あるいはおじいちゃん、おばあちゃん世代のほうが人口も多い。彼らにeスポーツを受け入れてもらえるようにする手だてはお考えですか?

     サッカーワールドカップじゃないですけど、権威ある大会、たとえばオリンピック、アジア競技大会でeスポーツがしっかりと取り扱われることだと思います。そこで日本代表選手が優秀な成績を残せば、きっとみんなが注目してくれると思います。

     ――シニア向けの対戦型ゲームがあったら、浸透が早まるとは考えられませんか?

     ゴルフ大会にシニアやレディースがあるように、一つのタイトルでシニア大会、ジュニア大会があってもいいんじゃないかという考えはあります。今、いろいろなメディアの方から、そういうことをやりたいという相談をお受けしているところです。おそらく今年か来年には、何らかの大会が出てくるんじゃないかと思います。

     ――男女別、年代別に選手を分けて大会を開くイメージですか?

     そういうやり方もあるでしょう。ただ、そもそもeスポーツって、男女差も年齢差もあまり関係がありません。ハンディキャップがある方でも勝てる可能性があります。それがeスポーツだと思うんです。シニアだけの大会をリリースすることもあるでしょうけども、できれば、そういうのを取っ払ったところで大きな大会を組んでいきたいと思います。

    相次ぐ新規参入

    • (イメージ)
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     ――最近、日本テレビも事業参入の発表を行うなど、業界の壁を越えて参入の動きがあります。

     そうですね。女性アイドルだけのeスポーツリーグも立ち上がりましたし、いろんな形で楽しめる大会が増えることはすごくありがたいと思います。

     ――これから参入を考えている企業もたくさんあると思います。一方で、参入したものの、メリットがなくて撤退する企業も出てくると思います。その違いは何だと考えますか?

     何をもって参入するかでしょうね。たとえば、大会を開催するにしても、集客を求めるのか、興行収益を求めるのか、いろんな形があると思うんですけれども、タイミングもあれば、どの競技を選定するかもあるでしょう。その辺をうまくまとめきれないと、失敗して撤退するところもあるでしょう。

     ――10年後、20年後、国内のeスポーツシーンはどうなっているでしょうか?

     eスポーツ先進国、韓国の例を見ると、eスポーツ専用のアリーナができて、大会を開くと観客がいっぱい集まる。アリーナの出口には選手のサインボードが顔写真付きで掲げられていて、ファンと握手会もやっている。韓国語と英語の2か国語のアナウンスが行われて、海外から観光客もいっぱい来ています。観客の7割が女性という話も聞いています。

     ――まるで日本のアイドルみたいですね。

     別に選手をアイドルにしたいとは思わないですけれども、そういった盛り上がりが生まれる状況を作りたいと思います。我々の団体は、日本の9割以上のIPホルダーと一緒になって構成されています。そういう団体って世界中を探してもほかにないんです。なので、海外の団体から「何か一緒にやりましょう」というお声が掛かるんです。おそらく8月には発表できると思いますが、いろんな形で海外とのアライアンスを組んだ大会を開催していきます。

    競技としての環境整備

     ――eスポーツの普及・振興のためには、共通ルール作りや公平性の担保などの作業も大事だと思うのですが?

     もちろんです。国際的なアンチ・ドーピング組織にも入りたいと思っています。JOC加盟を目指す団体として、そういったこともやっていかないといけないと思います。選手にプロライセンスを発行する際、反社会的活動をしないということのほかに、「スポーツマンシップにのっとって正々堂々とやります」という誓約書を出してもらっていますが、今後は、インターネットを使ったeラーニングでドーピング禁止も呼びかけていくつもりです。

     ――チート(不正)行為も深刻な問題になっています。どう防止しますか?

     われわれがプロライセンスを発行する大会では、事前に競技ルールをきっちり確認し、必ず立会人を置きます。大会前に、どういうレギュレーションで行うかも全部チェックするようにしています。そのため、オンラインの大会では優勝者にライセンスを発行していません。

     ――個々の選手のマナーやコンプライアンス指導も行いますか?

     それも呼びかけていきたいですね。選手にはeラーニングで講習を受けていただいてからライセンスを発行しているんですが、その中に追加していきたいと思います。ツイッターで暴言吐いちゃった、みたいなことはこれからもあるでしょうけど、プロなのだからということで選手の理解を得ていきたいと思っています。

     ――先日のモンスト(モンスターストライク)の全国大会でも、相手選手に対する敬意を欠いた発言が物議を醸しました。

     あおられた相手が分かってくれているなら、逆に言い返してもらって大会を盛り上げるということはあるでしょうけど、相手が不快に思うなら、そこはおもんぱかってほしいですね。

     ――eスポーツでもスポーツマンシップを求めていくと?

     もちろん、それを求めます。eラーニングの中に、そういったことも全部盛り込もうとしています。今年2月にできたばかりの団体なので、まだ追いついていないところがたくさんあるんですけれども。

    (2018年7月、東京都内で)

    (聞き手・笠井智大、つづく)

    【連載】浜村弘一・JeSU副会長インタビュー
    <1>国内唯一のeスポーツ団体として
    <2>eスポーツはスポーツである
    <3>選手が活躍する場を作りたい
    <4>eスポーツとは「未来」である

    プロフィル
    浜村 弘一( はまむら・ひろかず
     一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)副会長、株式会社Gzブレイン会長。1961年、大阪府生まれ。85年、早稲田大学第一文学部卒業。ゲーム情報誌「ファミコン通信」(現・週刊ファミ通)創刊に携わり、92年から10年間、「週刊ファミ通」編集長を務めた。2018年2月、JeSU設立に伴い、副会長に就任。さまざまな角度からゲーム業界の動向を分析し、コラム執筆なども手掛ける。著書に「ゲームばっかりしてなさい。―12歳の息子を育ててくれたゲームたち―」など。

    2018年07月15日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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