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    eスポーツ

    eスポーツの“翼くん”―わずか3年で大舞台への切符をつかむまで

     インドネシアで今年8月に開かれるアジア版オリンピック「アジア競技大会」のeスポーツ部門に、日本代表として高校3年生の相原翼選手(17)が初出場する。種目は、サッカーゲーム「ウイニングイレブン2018」(ウイイレ)。今年5月の日本代表選考会で、並み居る年長の強豪を撃破し、一夜にして注目選手となった。だが、意外にも相原選手が本格的にeスポーツを始めたのは高校生になってから。わずか3年足らずで日本代表の座を勝ち取るまでに、どんな練習を積んできたのか? 所属先の「N高等学校」(東京)で本人を直撃した。(読売新聞・笠井智大)


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    • 弱冠17歳で日本代表に。並み居る強豪を打ち破り、日本代表の座をつかんだ(2018年5月27日、東京・池袋で)
      弱冠17歳で日本代表に。並み居る強豪を打ち破り、日本代表の座をつかんだ(2018年5月27日、東京・池袋で)

     ウイイレは、「実況パワフルプロ野球」などを手がけてきたコナミデジタルエンタテインメントが1995年に発売したサッカーゲームのシリーズ最新作。プレーヤーは敵味方に分かれ、一つのゲームコントローラーで自チームの11人の選手を操作してゴールを狙う。国内外に実在するチームや選手を選択することができ、本物のサッカーと同じように高度な戦術とテクニックが勝敗を分ける。

     相原選手がウイイレに出会ったのは、小学4年生の時。父親が家庭用ゲームソフトを買ってくれたのがきっかけだった。幼稚園時代から地元のサッカーチームに所属し、右サイドバックかボランチを担当していた頃でもある。だが、飛び抜けて上手だったわけではなく、5、6年生では卓球を、中学時代の3年間はソフトテニスを習ったという。

     サッカーと距離を置いたこの時期、実はeスポーツに不可欠な能力が養われたのではないかと、本人は自覚している。というのは、eスポーツは卓越した筋力や持久力を必要としないが、敵の動きを見極める動体視力や集中力は必須だ。卓球とソフトテニスを習いながら、そうした力が自然と鍛えられたというのだ。

    秋田豊さんとの出会い…「ネットサッカー部」で才能開花

    • 課題だった守備を克服し、eスポーツシーンに躍り出た(2018年7月9日、東京・銀座で)(c)Konami Digital Entertainment
      課題だった守備を克服し、eスポーツシーンに躍り出た(2018年7月9日、東京・銀座で)(c)Konami Digital Entertainment

     相原選手が再びサッカーに興味を持ったのは、角川ドワンゴ学園が創立して話題となった通信制高校「N高等学校」に入学してから。授業やリポート提出はインターネットを通じて行われるのがN高の特徴だが、ここでは部活動もネット上で行われる。相原選手はN高のサッカー部が「ウイイレ」を使っていると知り、かつて父親と遊んだことを思い出しながら「これはいいな」と軽い気持ちで入部した。

     ここで運命的な出会いが待っていた。部活の特別顧問に、サッカー元日本代表DFの秋田豊さんが就任したのだ。秋田さんは部員のオンライン対戦をモニタリングしながら、高度な戦術を指南してくれた。

     攻撃が得意だった相原選手にとって、課題だったのが守備。敵のボールを奪いに行くべきか、自陣深くまで下がるべきかといった判断に迷い、失点につながることが多かった。秋田さんはかつて日本の守備の要として培った経験をもとに、実戦的なアドバイスを提供。相原さんは貪欲に吸収していった。

     こうして、得意の縦パスを使ったカウンター攻撃に磨きがかかり、得点力はさらに向上した。一方、オンライン対戦を重ねるうちに、自分は全ユーザーの中でも上位にランクされていることを初めて知った。2年生になる頃には、自分の中でウイイレがゲームからeスポーツに変わり始めていた。「サッカー部に入ってから、うまくなっていると実感した。もっともっとうまくなりたくなった」と振り返る。

    2018年07月24日 09時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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