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    eスポーツ

    茨城県がeスポーツ大会を初開催~国体強化へ布石

     2019年茨城国体に合わせて行われるeスポーツ大会の前哨戦となる「茨城プレ大会」が15日、茨城県つくば市のつくば国際会議場で開かれた。茨城県内に在住、通勤・通学する選手ら約140人が出場し、サッカーゲーム「ウイニングイレブン2019」で対戦した。

    県ナンバーワンをかけて激闘

    • オープンの部決勝戦の様子
      オープンの部決勝戦の様子

     大会は原則3人1組の団体戦で、高校生対象の「少年の部」と、年齢制限のない「オープンの部」で開催された。試合はトーナメント形式で行われ、午前中の予選を勝ち上がった8チームが国際会議場の大ホールに登場。400インチのディスプレーにゲーム画面が映され、実況や解説が行われる中、茨城県ナンバーワンの座を競った。

     少年の部の決勝は、水戸工業高校の同級生チームと鉾田第二高校サッカー部チームが対戦。前半に水戸工業高校チームがミドルシュートで先制すると、その後は堅牢(けんろう)な守備で鉾田第二高校チームを寄せ付けず、1-0で勝利した。優勝した関一輝さん(16)は「こんな大きなステージでウイイレ(ウイニングイレブン)ができ、いい経験になった。こういう大会があったら、もっと参加してみたい」と喜んでいた。

     オープンの部の決勝は、鹿嶋市の同級生チームと県内のウイニングイレブン仲間のチームが対戦した。試合は2-2で終了。PK戦では5本のキックを終えて3-3となる大接戦となった。7本目に鹿嶋市のチームがゴールを決め、直後に相手のシュートを止めて勝利した。鹿嶋チームの内野裕太さん(26)は「1回勝てればいいかなという気持ちで出場したが、まさか(ここまで)勝てるとは思わなかった。PK戦は手が震えるほど緊張した」と激闘を振り返った。

    • エキシビションマッチに登場した相原翼選手(手前)と、まやげか選手
      エキシビションマッチに登場した相原翼選手(手前)と、まやげか選手

     また、抽選で選ばれた1チームが強豪プレーヤーチームに挑戦するエキシビションマッチも行われた。アジア大会ウイニングイレブン金メダリストの相原翼選手と、ウイニングイレブンの世界大会で2度ベスト8に入賞したまやげか選手(プレイヤーネーム)のチームに挑んだのは、茨城県庁オリパラ課の同僚チーム。試合は強豪プレーヤーチームが圧倒。細かいコントローラー(さば)きでボールを操り、ゴール前の混戦を切り開いて得点するプレイングを見せつけ、4-0で圧勝した。世界を知る2人の胸を借りた同僚チームは、「いい思い出になった」「感無量です」と、すがすがしい表情だった。

    自治体主催のeスポーツ大会、どう盛り上げる?

    • 大ホールで開催されたプレ大会。400インチの大型ディスプレーでウイイレが楽しめる
      大ホールで開催されたプレ大会。400インチの大型ディスプレーでウイイレが楽しめる

     閉会式に登壇した茨城県の大井川和彦知事は「決勝戦は本物のワールドカップのように盛り上がった。来年の本大会に向け、eスポーツを盛り上げていきたい」と意気込みを語った。大会の様子はインターネットに同時配信され、約3万回視聴されたほか、会場には報道陣40人以上が訪れるなど、注目の高さがうかがえた。

     機材トラブルで大ホールでの試合開始が約30分遅れるなどしたが、その他の大きなトラブルなどはなく大会は終了した。相原選手と、まやげか選手が試合を解説し、「3人で1チームを操作するモードは、1人プレーより責任を感じる」「先制点が大切。ゴールを決められた側が焦るため、気持ちの面で有利に立てる」など、ゲーマーの心理を分かりやすく伝えた。ゲーム画面の左上に表示される得点板には、「バルセロナ」「リバプール」などのゲーム内のチーム名ではなく、参加者のチーム名を表示するなど、ゲームの経験が少ない観戦者が楽しめる工夫が随所に込められていた。

     プレ大会にはプロ選手は出場しておらず、全員が「アマチュア」だ。出場者のウイイレ歴はまちまちで、一般の部で優勝した3人は15年と長いが、少年の部で優勝した関さんは半年と短い。中には「0年」といった出場者もおり、「ウイイレをしたことがないが、この大会に誘われて、少しだけ練習しただけ」とのことだった。参加者の平均的なゲーム技術は優れているとは言い難い。相原選手を始めとした、アジア大会日本代表決定戦などに出場した選手たちと比べると、物足りないと感じる点が多かった。

     ただ、良い試合と優れた技術は、見ている者を大いに盛り上げることは確かだった。PK戦にもつれ込んだオープンの部の決勝戦と、エキシビションマッチの強豪チームのプレーがそうだ。

    • 大会終了後に記念撮影をする選手たち
      大会終了後に記念撮影をする選手たち

     PK戦でシュートが入るたびに、また防がれるたびに、観客から「おおーっ!」という声が上がった。ガッツポーズをしたり、頭を抱えたりして感情を全身で表現する選手に、実況の「勝負はまだ分かりません!」などの声が重なって、興奮度はどんどん上がった。エキシビションマッチでは相原選手らの神がかった技術を、観客は食い入るように見ていた。国体でもこういった良い試合が行われ、レベルの高い選手が登場すれば、大いに盛り上がるに違いない。

     大会が増えれば増えるほど、胸を打つシーンが生まれるチャンスは高くなる。プロや強豪のプレーを見て、「自分もああなりたい」と思う選手が生まれるかもしれない。そういう意味では、自治体が全県民を対象にしたeスポーツ大会を開催した意義は大きい。多くの大会が開かれ、eスポーツの存在が当たり前になれば、日本のeスポーツシーンは、少しずつ広がっていくだろう。

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    2018年09月19日 17時15分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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