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    シングルスタイル

    アラサーシングル 家事支援サービスはこう使う

     家事支援サービスの利用者が急増している。はずみをつけたのは、テレビドラマ。共働き夫婦や、介護で多忙な世帯ばかりではなく、現役世代のシングルも使っているらしい。(菅彩織理)

    仕事に集中 週末が快適に

    • 河野良平さん宅でベッドメイクをするベアーズのスタッフ(東京都台東区で、萩本朋子撮影)
      河野良平さん宅でベッドメイクをするベアーズのスタッフ(東京都台東区で、萩本朋子撮影)

     金曜午後。東京都台東区の賃貸マンションに、家事支援大手ベアーズ(東京)の女性スタッフがやってきた。インターホンを2回押し、留守と分かると合鍵で部屋に入る。

     玄関先でエプロンを着け、洗濯機の中に衣類が入っているのを確認してスイッチを入れた。室内の掃除用具で清掃や食器洗いをし、1時間半で、要望通り6畳半のフローリングと台所、トイレ、洗面台、ユニットバスがきれいになった。

     部屋の住人は、大手IT企業でウェブコンテンツを制作する河野良平さん(32)。仕事については、「人生をかけている」という思いがあって、仕事を通じて自分が成長している手応えもある。

     一方で家事に気は回らず、散らかった部屋がストレス源だった。3年半前、月2回のサービス(月額約1万4000円、現在は廃止)を使い始めた。「部屋がきれいだと、連泊したホテルみたいで、土日の休みを快適に過ごせます。高いと思いません」と大満足だ。

    結婚しても「家事はプロに」がいい

    • 河野良平さん
      河野良平さん

     父は会社勤めで母は専業主婦だった。子ども心に、そんな男女分業に少し違和感を持っていたという。

     「仕事などの価値観が合う人となら、結婚して子どもも欲しいと思います。共働き希望で、家事は自分たちの時間を費やすより、プロに任せたほうがいい」

     同じ業界で忙しく働いている恋人にも家事支援サービスの利用を勧めたら、乗り気になっているそうだ。

    利用増のウラに「逃げ恥」あり

     経済産業省によると、国内で、富裕層に限らず幅広い層を対象にした家事支援業者が出てきたのが1990年代後半頃。2017年の市場規模は698億円で、25年には、最大で8000億円程度まで拡大する可能性があるとみる。

     ベアーズは過去2年、利用者数が前年比25%増の勢いで、全体の約20%が単身世帯だという。高橋ゆき副社長は、16年に大ヒットしたテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」が利用者増の一因と見る。IT企業の30代社員が、家事支援スタッフのヒロインと契約結婚する話。「『こんなサービスがあるのか』『独身が使ってもいいんだ』という意識が広まりました」

    下がったハードル

     東京大学社会科学研究所の鈴木富美子准教授(家族社会学)は、「ワーク・ライフ・バランスへの関心や、家事労働を金銭に換算してとらえる認識の高まりもあり、独身者も、家事外注への心理的ハードルが低くなった」と話す。

     それでもです。筆者(50歳)は家事が好きではなくて、こうしたサービスには興味津々なのだけれど、公言するのは、なんだか後ろめたい。ちまたで語られる「女子力」には、どう考えても家事力が含まれる。女性にとっても、本当にハードルは下がったのか――。

     家事支援サービス「カジタク」(東京)に聞くと、利用者の3割が単身だという。その大半が独身とみられ、女性のほうが若干多い。やはり、シングル女性も使っているのだ。

    友人には「終わってる」と引かれました

     総合人材サービスのパソナは、家事支援分野で外国人労働者受け入れが解禁された国家戦略特区の東京、神奈川で、外国人スタッフによるサービスを行う。

     都内でインターネットコンサルティング会社を経営する夏美さん(29)=仮名=は、自分がマンションに在宅する時間に週1回2時間、フィリピン人スタッフに来てもらう。やはり「仕事に集中したい」から。食器洗い、コンロや洗面所、床の掃除、ベッドメイクで、月額約2万2000円だ。

     「友人に、『独身なのにお手伝いさんに掃除してもらうなんて終わってるよ』って、引かれました」と夏美さんは笑う。「でも、料金は安くなりました。使わない理由はありません」

    「業務」のように家事を求められたらつらい

     夏美さんは、仕事を仕事と思わないくらい、やりがいを感じて楽しんでいる。いつか結婚したいとは思うけれど、「自分だけで過ごす時間や空間も確保したい」。だから理想的なのは、同じマンションでの別居結婚だ。「業務」のように家事を求められるのはつらい――という話を聞いてつい、意地悪な質問をしてしまった。もし、ほぼ理想的な男性に出会って『同居したいし、家事支援も使わないで』と言われたら?

     一瞬置いて返ってきた答えは、「夫の留守中にこっそり使っちゃう」だった。ああ、その軽やかさなのだ。

    あとがき 「できること」「できないこと」しっかり把握

     専業主夫をしている友人の男性が、わが家に遊びにきて料理をしてくれた。40分ほどで、見栄えも味もよいおかずが5品並んだ。無駄のない手順に「家事は芸術だ」と感服した。自分には到底無理だと思った。

     今回会ったシングルは、自分に正直で自然体。やりたいこと、できること、できるけどやりたくないこと、できないことを明確に把握し、うまく家事支援サービスを使っていた。誰だって得手不得手がある。もがくのはやめ、プロの助けを借りてみますか。

    「利用に前向き」は4割

     経済産業省が今年行った調査で、家事支援サービスの認知度は8割を超えた。「現在利用している」は1・8%で、現在使っていない人の約4割が利用に前向きだった。

     世帯類型別には、単身男女と、主として家事を担うことが多い既婚女性に聞いており、現在利用している割合は、単身者(25~44歳)の4・7%が最高。共働き女性(25~44歳)の2・4%より高かった。

     単身者(25~64歳)の、この分野の市場規模(2017年)は371億円。25年には最大で2810億円になると推計している。

    2018年10月05日 17時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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