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    eスポーツ「フィーバー」に気付かされたもの~「ウイイレ」細田真規人プロデューサーに聞く

     世界で累計1億本以上が販売されたサッカーゲーム「ウイニングイレブン」シリーズ(ウイイレ)。今夏にインドネシアで行われたアジア大会のeスポーツ部門では、国内から唯一のタイトルとして採用されたほか、来年の茨城国体の競技にも選ばれるなど、国内のeスポーツシーンを代表する作品となった。開発を手掛けるコナミデジタルエンタテインメントの細田真規人(ほそだ・まのりと)ウイイレシリーズ統括プロデューサーに、eスポーツとして描くウイイレの未来を聞いた。(聞き手 読売新聞メディア局編集部・原啓一郎)

    アジア大会「eスポーツ」に気づかされたもの

    • アジア大会の一連のフィーバーを「勉強になった」と振り返る細田さん=10月2日、コナミデジタルエンタテインメント本社で
      アジア大会の一連のフィーバーを「勉強になった」と振り返る細田さん=10月2日、コナミデジタルエンタテインメント本社で

     ――アジア大会のeスポーツ部門にウイイレが採用され、日本国内で注目されました。日本人選手が金メダルを獲得したこともあり、2018年は日本で「eスポーツフィーバー」が起こっています。一連の流れをどう感じましたか?

     海外はeスポーツが盛んなので、日本でもとうとうそうなったか、という印象です。アジア大会は、リアルなスポーツ競技会にeスポーツが採用された初めての国際大会なので、世間の方々や、実際にスポーツをされている人がどういう印象を持つかなど、非常に勉強になりました。

     アジア大会の決勝戦を見た時に、気付いたことが二つありました。一つは、国を代表した選手の戦いなのに、選手が使っているチームが「アーセナル」「リバプール」など、別の国のクラブチームだったことです。選手の事情やゲーム内の強さもあると思いますが、サムライブルーなどの国の代表チームが出るようにすればよかったのかな、という印象です。

     もう一つは、商品名が会場に出たことです。ビジネスやプロモーションが前面に出た時点で、「エンターテインメントとしてのスポーツ」になります。アジア大会という、(選手が技術や能力を競技として争う)スポーツの祭典には、あまり似つかわしくないかなと感じました。開発側としては、ウイイレのロゴが出てくるのはうれしいんですけどね。

     ――「eスポーツはスポーツなのか」という議論が、いろいろな場所でされています。二つの間にあるものは何でしょう?

     「e=エレクトリック」ですから、eスポーツには物理的なものが何一つありません。(同じ頭脳ゲームの)将棋だって、(駒や将棋盤など)物理的なものがありますよね。その差は大きいと思います。また、ゲームの種類によってはルールが分かりにくいものもあります。ウイイレはサッカーを扱うゲームなので、まだ分かりやすいと思いますが、そうでないものが多い。スポーツなのに得点が出ないことなどが、大きな違いかなと思いました。

     選手が主役になれることも大切です。アジア大会で金メダルを取った相原翼選手、杉村直紀選手を取り上げたドキュメンタリー番組を見ましたが、実際のスポーツ選手を扱った番組と同様、面白かったですね。

     また、ワイドショーでアジア大会が取り上げられた時、コメンテーターが「これはスポーツなのか?」と話していました。そういった反応も踏まえて、eスポーツとしての形を、いろいろと考えていかなければいけませんね。

    「話題になってよかった」だけではなかった

    • アジア大会の決勝戦で、肩を組んで喜ぶ杉村選手(左)と相原選手。2人は金メダルを獲得した=コナミデジタルエンタテインメント提供
      アジア大会の決勝戦で、肩を組んで喜ぶ杉村選手(左)と相原選手。2人は金メダルを獲得した=コナミデジタルエンタテインメント提供

     ――相原選手と杉村選手はKONAMI公式のeスポーツアンバサダーとして、ウイイレのプロモーションなどに関わります。プロデューサーとしてどんな期待をしていますか?

     裾野を広げてくれることを期待しています。遊び方や楽しみ方、協力プレーの面白さなど、勝ち負け以外のことも含めて、子どもたちをはじめ、多くの人に教えてほしいですね。

     ――国体の種目に採用されたことは、裾野を広げるチャンスですね。

     サッカーをしていて、国体に行けなかった僕からすれば、ゲームで国体に出場できることに驚きもありますが、共存できる道を探したいですね。ウイイレだと、「本当のサッカーがあるから国体でやる必要はない」という意見と、「サッカーだから国体にふさわしい」という、両方の意見があります。

     実況の面でも、スポーツとeスポーツには違いがあります。例えば「ナイスキーパー」と実況が言うんですけど、ゴールキーパーが自動で動く場合もあります。それは「ナイスキーパー」ではないですよね。コントローラー操作など、ゲーマーが持つ技術の実況や解説が必要です。ゲーム画面でもそれらが分かるようにしなければいけません。でなければ、eスポーツではなく、ただのゲーム中継になってしまいます。

     ――「ウイイレが話題になってよかった」だけではないんですね。

     今までは、「ユーザーが楽しければいいよね」と思って作っていました。「eスポーツ」という名前で本当のスポーツや国体と同じ舞台に立つようになると、ただのゲームではいけないわけです。注目されることはとてもありがたいんですが、難しい部分に入ってきましたし、ハードルが高くなっていると感じています。

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    2018年10月09日 15時05分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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