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    ラグビー

    「ラグビーも漫才も生で見て!」新喜劇にプロ選手も出演

     大阪市のなんばグランド花月(NGK)で10日、「よしもとラグビー新喜劇」が上演された。

    • 島田珠代さんを力強く壁に投げつけるファンデルバルト選手
      島田珠代さんを力強く壁に投げつけるファンデルバルト選手

     2011年の初回から1年に1度は行われ、すっかり恒例企画のひとつになった。お笑いの「よしもと新喜劇」にラグビーのトップ選手らが出演、トークショーも組み合わさった盛りだくさんな内容だ。観客席にはお笑いファンに交じって、ラガーシャツを身に着けた男の子と親や、プロチームのユニホームを(そろ)って着込んだ「ラグビー仲間」のグループもちらほら。学生時代にラグビー選手としてプレーした人気漫才コンビ「和牛」が新喜劇に初参加し、NGKはいつもと違う熱気に包まれた。

    日本代表が笑いのトライを決めた!

    • 新聞記者役の「和牛」と、(ユニホーム姿の右から)具智元(ホンダ)、竹井勇二(トヨタ)、勝木来幸(神戸製鋼)、井関(神戸製鋼)の各選手
      新聞記者役の「和牛」と、(ユニホーム姿の右から)具智元(ホンダ)、竹井勇二(トヨタ)、勝木来幸(神戸製鋼)、井関(神戸製鋼)の各選手

     2時間の公演の前半は、芝居仕立ての「新喜劇」の形式で行われた。リニューアルしたばかりの花園ラグビー場を模した舞台で、日本代表入りしたビンピー・ファンデルバルト選手(NTTドコモ)が新喜劇の大団円のオチのひとつ、島田珠代さんを壁に向かって投げつける「ワザ」を披露、鍛えた筋肉を生かした笑いのトライを決めた。

     後半のトークショーは、新喜劇のレギュラー芸人に加え、プレー経験があったり観戦が大好きだったりという「ラグビー芸人」と、日本代表選手やトップリーグの選手、OBらが舞台に勢揃いした。高校ラグビーの決勝戦が行われる花園にまつわる思い出話では、高校3年生の時、決勝に出場した井関信介選手(神戸製鋼)が、試合後に敵味方にかかわらず、同じシャワールームを使い、相手チームの選手からシャンプーを借りたというエピソードを披露した。

    • 選手、OB、芸人が勢ぞろいしたトークショー
      選手、OB、芸人が勢ぞろいしたトークショー

     また、花園改修後の初めての試合となる日本代表の強化試合(10月26日予定)が、選手にとっては代表に選出されるための絶好のアピールの場となることが解説されたほか、2019年にアジアで初めて日本で開催されるワールドカップ(W杯)について、予選リーグの見通しを語り合うなど、大舞台での戦いがいよいよ迫っていることが強調される場面もあった。

    ラグビー愛で実現した企画

     そんな劇場を裏手から見守ったのが、「ラグビー新喜劇」の仕掛け人であるNGKの新田敦生総支配人だ。大学の4年間、ラグビーに打ち込んだ経験を持っている。

    • 芸人の吉田裕さんに「チクビドリル」をキメるファンデルバルト選手
      芸人の吉田裕さんに「チクビドリル」をキメるファンデルバルト選手
    • 舞台に登場した東大阪市のゆるキャラ「トライくん」
      舞台に登場した東大阪市のゆるキャラ「トライくん」

     吉本興業でNGKを担当するようになった2010年末、強豪・同志社大学でプレーしていた会社の後輩との話をきっかけに、協力してラグビーと新喜劇のコラボ企画を練った。いかつい印象のあるプロのラグビー選手に、お笑いの舞台への出演を依頼すればどんな反応があるのか、恐る恐るキャスティングを進めたという。「最初は受けてくれるとは思えなかった」と笑う。

     新喜劇には、今でこそ競馬などお笑い以外の分野と協力する例があるが、当時はコラボ自体も初の試みだった。ラグビーのエピソードをどう脚本に織り込むかについても、経験者の視点を生かした。ラグビー愛を共有する2人がNGKに揃っていたからこそ実現した企画だと振り返る。

     これまで回数を重ねながら進化を続けたことで、ラグビー界に「ラグビー新喜劇」の存在が知られるようになり、ノリノリで出演してくれる選手も出てきたと感じている。「花園ラグビー場 リニューアル記念スペシャル」と銘打ち、異例の年2回目の開催となった今回は、日本ラグビー協会や、花園ラグビー場がある東大阪市からも協力を得た。

    ラグビーの縁、感じた

    • リフトアップされる「和牛」の水田さん
      リフトアップされる「和牛」の水田さん

     お笑いコンビ「和牛」の川西賢志郎さんは今回、ラグビー新喜劇に初出演を果たした。「実は、中学から大学まで長年ラグビーをやったのに、プレーし切ったという実感を持っていなかった。総支配人に声をかけてもらって出演することになり、不思議なラグビー縁を感じる」と話す。コンビを組む水田信二さんと劇中で、トップ選手にインタビューする新聞記者を演じた。ラグビーをよく知る川西記者と、あまり詳しくない水田記者という役回りだ。試合中に高く投げられたボールを受け取るため複数の選手が1人の選手を持ち上げるリフトアップを体験しようと、「水田記者」がプロのトップ選手らに担ぎ上げられる演出もあった。

    • トークショーで話すお笑いコンビ「和牛」の川西さん(右から3番目)
      トークショーで話すお笑いコンビ「和牛」の川西さん(右から3番目)

     和牛は漫才でラグビーネタを持っているが、ラグビーが分からない人が多いという前提だったり、水田さんがラグビーを知らない役を演じたりすることが多い。川西さんは、「これからW杯に向けてラグビーが盛り上がれば、ルールが知られていることを前提にしたネタもできるかもしれない。そうなれば喜ばしい」と期待を寄せた。

    • 「ラグビーと漫才は生で見てほしい」と語った和牛の川西さん
      「ラグビーと漫才は生で見てほしい」と語った和牛の川西さん

     ラグビーも漫才も、生で見ると迫力が違うと力説する。「ラグビーでは、体と体がぶつかり合う肉弾戦の音が聞こえるし、司令塔の選手がチーム全体に指示を出す声もテレビでは分からない響きを持っている。漫才を生で見たら、つばが飛んでいるのが見えたり、ツッコミがボケ役をパチッとたたく音が聞こえたり、アドリブが入ってきたりするのが分かる。僕がラグビーを好きな理由もそういう迫力にある」と魅力を熱く語る。

     新田総支配人は、ラグビー選手が新喜劇に登場することで、お笑いファンに選手や競技の魅力を伝える機会をさらに広げたいと考えており、NGKのみならず東京での「ラグビー新喜劇」公演に意欲を見せる。

     2019年のW杯本番が近づきつつあるなか、ラグビーの裾野を広げるよしもと発のスクラムが組まれ始めている。(栗山倫子)

    2018年10月12日 11時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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