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    スポーツ

    先発多様化時代に満点で沢村賞…巨人・菅野の完投力

    読売新聞編集委員 三宅 宏
     巨人のエース・菅野智之が2年連続の沢村賞に輝いた。連続受賞は1995~96年の斎藤雅樹(巨人)以来の快挙となる。今季の菅野の成績を振り返ると、選考基準の7項目すべてを満たしていて、こちらは2011年の田中将大(楽天)以来となる「満点受賞」だった。

    菅野は7項目の選考基準をすべて満たした

    • 7項目の選考基準を満たして沢村賞を受賞した菅野。クライマックスシリーズのヤクルト戦ではノーヒットノーランも達成した(2018年10月14日、若杉和希撮影)
      7項目の選考基準を満たして沢村賞を受賞した菅野。クライマックスシリーズのヤクルト戦ではノーヒットノーランも達成した(2018年10月14日、若杉和希撮影)

     まず、菅野の今季成績を見てみよう(カッコ内が沢村賞選考基準)

    【勝利数】15勝 (15以上)

    【奪三振】200 (150以上)

    【完投数】10  (10以上)

    【防御率】2.14(2.50以下)

    【投球回】202 (200以上)

    【登板数】28  (25以上) 

    【勝 率】.652(6割以上)

     昨年は完投数(6)と投球回(187回1/3)で基準を満たせなかったが、今回はレベルアップしての連続受賞となった。

     各項目のなかでも光るのが「10完投」だろう。投手の分業体制が確立された現在の野球では、完投にこぎつけることだけでも難しくなっているからだ。

     1947年に沢村賞の初代受賞者となった別所毅彦(南海)がマークした47完投(!)は別格にしても、かつては、先発投手は完投するのが普通だった。

     別所以降、20世紀中に沢村賞を受賞した延べ51人のうち、実に47人が2桁完投を記録している。20完投以上を挙げた投手も22人いた。

     一方、21世紀に入ってからは、延べ19人の受賞者のうち、完投数が2桁に到達したのは、今回の菅野を含めて5人しかいない。現在の野球では、いかに「10完投」の項目を満たすのが難しいかが分かるだろう。

     現実問題として完投数や投球回の基準をクリアすることが難しくなっているため、今年から「投球回数7回以上で自責点3以内」という沢村賞独自の「クオリティースタート」を設定、その達成率も評価の対象に含めることになったほどだ(今回は菅野1人だけが規定の7項目を満たしたため、当該データは「目を通した」程度に過ぎなかった)。

     それでも、規定の第1条で「その年の先発・完投型の本格派投手のうち、最も優れた投手を表彰する」とうたう沢村賞は、完投数に対してのこだわりがある。

     たとえば、田中が受賞した2011年には、ダルビッシュ有(日本ハム)も全7項目を満たしていたのだが、北別府学・選考委員は「沢村賞は完投数が重視される」と完投数で上回った田中を推薦している(田中14完投、ダルビッシュ10完投)。

     今回、2桁完投を挙げたことについて、菅野は「7項目の中で満足できるのは10完投。一番、難題だと思っていた。美学的なところになるが、僕はマウンドに上がったからには最後まで投げたい。分業制の今だからこそ、完投の価値がある。昔のいい日本の伝統を継承していきたい」と話し、堀内恒夫・選考委員長は「完投すること自体が難しい現在の野球を考えると立派な成績だ。しかも8完封はすごい。分業制になっても、やればできるということで、他の投手もがんばってほしい」と絶賛した。

    2018年10月29日 17時15分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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