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    スポーツ

    五輪マラソンへ5合目未満…「山の神」神野の現在地

    読売新聞編集委員 三宅宏
     青山学院大時代に箱根駅伝の5区で激走を見せ、「山の神」と呼ばれた神野大地(25)が12月2日開催の福岡国際マラソンに出場する。ここで相応の成績を残せば、東京五輪への切符がかかるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC、2019年9月15日)への出場権を手にすることができる。過去3回のマラソンは結果を残せず、「納得のできる走りができなかった」と不完全燃焼の神野だったが、今回は「いい状態でここまできている」と手応えをつかんでいる。

    上尾ハーフで1時間2分19秒

    • 「上尾ハーフ」を1時間2分台で走って福岡国際マラソンへの手応えをつかんだ神野(2018年11月18日)
      「上尾ハーフ」を1時間2分台で走って福岡国際マラソンへの手応えをつかんだ神野(2018年11月18日)

     福岡国際へ向けて、神野は11月18日の上尾シティマラソン(ハーフマラソン)に招待選手として参加した。

     優勝した国士舘大学の留学生選手が大会記録を更新するほどのハイペースとなったレースで、神野は中盤まで先頭集団にいた。「速いなあ、と思っていたが、そこまで無理する感じではなかったのでついていった」という。

     しかし、10キロ過ぎで先頭の選手がペースを上げると追うことはしなかった。13キロ付近で、ハーフマラソン日本記録保持者の設楽悠太(招待選手)がスピードを上げると、ここでも離された。

     「ここは僕の本番ではない、ここは無理するところではないと、2回気持ちを抑えた。2週間後が本番だと言い聞かせて走った」

     神野はレースをそう振り返る。

     ゴールタイムは1時間2分19秒(招待選手は順位なし)。3人の招待選手では、設楽より20秒遅く、川内優輝より30秒速かった。1時間2分台というのは目標としていたタイムで、神野は「自分の状態がいいことがきょう確認できた」と満足そうにレースを総括した。

    神野はまだMGCの出場資格を得ていない

     神野が福岡国際マラソンにこだわるのは、そこでMGCの出場権を取るのが最大の目標だからだ。

     ここで、MGCについて確認しておこう。

     日本陸連は五輪のマラソン男女日本代表を決めるレースとして、今回初めて、MGCを創設した。ここで優勝者など2人の東京五輪代表が決まる(3人目は後日決定)。

     では、一発勝負のMGCに出場するにはどうすればいいかと言うと、例外規定はあるが、原則として、日本陸連が定める大会(男子5、女子4)に出場して、大会ごとに設けられた基準をクリアしなければならないのだ。

     この資格を、上尾ハーフで一緒に走った設楽、川内は手にしているが、神野はまだ持っていない。

     福岡国際では日本人順位1~3位以内なら2時間11分00秒以内、同4~6位以内の場合は2時間10分00秒以内で走れば、MGC出場権を得ることができる(すでにMGC出場権を持っている選手は日本人順位に含まない)。今年2月の東京マラソンで2時間10分18秒をマークした神野は、今回2時間11分42秒以内で走っても、「2レース平均」の規定により、やはり出場権を手にできる。

    距離とスピードの両輪がしっかり

    • 「上尾ハーフ」のレース後、インタビューに応じる神野(2018年11月18日)
      「上尾ハーフ」のレース後、インタビューに応じる神野(2018年11月18日)

     東京五輪出場がゴールとすると、神野はいま、どのあたりにいるのか。

     「まだ50%にも満たない程度。ただ、ここまで積み上げてきたものは、練習を含めて、大きなものだと思う。いまは50%に満たないが、結果がついてくれば、80%、90%にすぐに行く可能性は秘めていると思う」

     道半ばとはいえ、神野はプラス思考で、現状を捉えていた。

     今年9月のベルリンマラソンでは腹痛のため34キロ地点で途中棄権したが、「次のマラソンに向けて早い段階で準備したほうがいいだろうと判断した」と気持ちを切り替えている。東京マラソンでも腹痛に襲われていて、「明確な対策は見つかっていない」と神野自身も認めているが、「1回出なければ、それが成功体験になるので、その成功体験を早く作りたい。起きたらどうしようと考えるのでなく、起きたら起きた」と、やはり前向きだ。

     ベルリン後は、ほぼ毎週、30キロ以上の距離走を取り入れた。アフリカに渡ってケニアの選手と一緒に練習していくなかで、マラソンを目指す選手はどの選手も毎週ロング走を入れているのを知り、日本に戻ってきてからも継続しているという。

     「距離もしっかり踏めている。スピードもきょう62分台で走れた。両輪しっかり、いい状態でここまできている。次はやれる、という思いで臨みたい」

     初のフルマラソン挑戦となった昨年の福岡国際では、2時間12分50秒の13位に終わり、MGC出場権獲得はならなかった。

     リベンジにかける思いは強い。

    2018年11月19日 10時45分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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