ひとりの年越し どうしてますか

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 2018年も残りわずか。ふと、隣のシングルは、どんなふうに年末年始を過ごすのだろうかと考えた。11月に開いたイベント 「シングルスタイル女子会『独身の日』前夜祭」 の申し込み者に、「あなたの年越しは」と尋ねてみた。(編集長 森川暁子)

若いころのようなつらさはありません

 20~60代の35人から回答があり、うち30人が独身だった。実家暮らしが19人、ひとり暮らしが8人、姉妹で生活する人が3人。年末年始は実家で、という人が大勢で、かくいう私(52歳)も、ほぼ毎年実家に帰っている。

 「いまは仕事があるけれど、リタイアしたら寂しい感じになるのかな」(59歳)。そんなコメントに思わずうなずく。でも、年をとるのも悪くないと思う変化もありそうだ。

 「親戚が集まると、独身でいることを心配されています。親戚たちは仕事も頑張る=結婚する気なし、と判断してきます」(32歳)。誠に、お疲れさまです。

 こうした時期を過ぎるのか、40代のコメントはトーンが違う。「30過ぎのころ、幸せそうな家族を見る機会の多い年末年始はつらかった。今はそんな思いはありません。子供のない人生が確定したからです」(45歳)。そうそう。そうやって徐々に腹は据わる。「友だちの子供も高校生や大学生になり、子供の話も減って少し気が楽です」(48歳)。人も自分も変わる。若いころの焦りやねたみ、煩わしさはいつまでもは続かない(と思いたい)。

長編小説を一気に読めた

 仕事が遅く自分の時間が侵食されがちな私に、かなり新鮮だったコメントがこちら。

 「暇です」(50歳)

 なるほど。ひとりだと「家族で初詣」などの定型行事が少ないのでそういうことになるのかも。言い換えれば、マネジメントはすべて自分、ということ。自ら決めたプロジェクトを完遂することもできそうだ。別の回答者の体験にこんなものがあった。

 「ずっと本を読んでいた年もありました。長編小説を一気に読めた!」(46歳)

 いっそのこと書店で年を越すという手もある。

書店でも年は越せる

 東京・下北沢の書店、本屋B&Bは毎年大みそか、「本屋で年越し」と題したトークイベントを開く。今年も、フリーライター鷹野凌さん、ゲームデザイナー米光一成さん、ユニット「マンガナイト」代表の山内康裕さんらを招き、今年の本と出版を語る。午後9時~元日0時30分で、終了後にはゲストと参加者で近所の神社に初詣に行く。

 また、天狼院書店では東京店(池袋)、福岡店、京都店で大みそかイベントを午後8時~午前0時に開催。3店舗をテレビ電話でつないで、飲み食いしながら読書会などを楽しみ、こちらも初詣へ。

 ともに1人参加の多い行事。申し込みは公式サイト(B&B天狼院書店)から。

旅の空の下、という人も

 「温泉に2連泊してプチ湯治」(40歳)、「一度くらい海外で年越しを」(42歳)といった回答もあった。旅は重要テーマだ。

 ひとり参加のツアーを展開するクラブツーリズム(東京)は、年末年始も国内外100コース以上を用意。女性だけのバスツアーもあり、行き先も出発地も広がってきた。「瀬戸内海の初日の出クルーズや、伊勢神宮や出雲大社の初参りツアーの人気が高い」と担当者は話す。

 ひとりでも利用できる年末年始特別プランがあるホテルも少なくない。

ワンコインでできるおせち

100円おせちは、ケーキ風にも
100円おせちは、ケーキ風にも

 回答者の多くは、おせち料理を食べ、初詣に行くなど、昔ながらの正月を過ごしていた。近ごろはコンビニで買う「ひとりおせち」もあなどれない。

 ローソンストア100が発売した少量パックの「100円おせち」(税込み1個108円)は今年、「炙(あぶ)り焼き合(あい)鴨(がも)スライス」などが増え、過去最多の28品目になった。

 人気インスタグラマーで料理研究家の小林睦美さんが、5品を使った盛りつけ例を披露した。緑や赤が入るとお正月らしい。「黒豆を小鉢に入れ、同系色のだて巻きと栗きんとんを離して配置すると見栄えが良くなります」。ケーキ風にもなる。

まわりと比べない考えでいよう

 ほかにもいくつか、アンケート回答から声を。年末はやはり、もの思う季節であるようだ。

 「父親の老いが進み、一緒のお正月もあと何回くらいかな、と思うと寂しくも、不安にもなる」(46歳)

 「来年はどんな年になるのかな……と、今後を考える季節だと思う」(48歳)

 「毎年初詣に出かけていた友人が、親の介護のために行けなくなった」(49歳)

 「街でもひとり行動がいちばんきつい時期。近場の海外にでも逃亡したい」(50歳)

 「ひとりで気楽に過ごせたら、と考えている女性も多いと思う」(60歳、既婚)

 「まわりと比べない考えでいようとする努力をしながら過ごします」(41歳)

プチ年中行事

 「ひとり暮らしの季節ごよみ」の著書で暮らしスタイリストの河野真希さん(43)=写真=のおすすめは、できる範囲のプチ年中行事だ。

 「大掃除が大変でも、冷蔵庫だけ念入りに掃除するとか、おせち料理なら好きな2、3品だけ作るとか、お箸を新しくするだけでも気分が違います。ひとりってつい生活がグダグダになることがあるんですけど、そういう『ちょっと頑張った』で持ち直します」

 河野さんは「あまりいい意味に使われない言葉ですけど、『自己満足』のある暮らしっていいと思うんです」とも。ああ、それは例えば、自分だけのための正月支度をむなしいと思わない程度には自分を丁重に扱う、みたいなことでしょうか。

 急増したシングルは、親世代と違う景色を見て年を重ねることになる。これからたぶん、多様な年越しモデルも出現するだろう。

56281 0 トピックス 2018/12/27 18:00:00 2019/01/25 18:00:02

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