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日本の陸上男子短距離陣で、昨夏のアジア大会男子100メートルで日本歴代2位タイの10秒00をマークして銅メダルに輝いた山県亮太(26)(セイコー)に注目が集まる。2012年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪ではいずれも準決勝へ進み、決勝まであと一歩に迫った。2020年の東京五輪で、1932年ロサンゼルス五輪6位の吉岡隆徳さん以来のファイナリストを目指すスプリンターと、2008年北京五輪400メートルリレー銀メダリストで、世界で戦う先駆者だった朝原宣治さん(46)(大阪ガス)が語り合った。
山県は朝原さんに憧れていた
――近年、五輪の決勝に最も近かったのがお二人です。アトランタ五輪では朝原さんが決勝進出タイムまであと0秒05、山県選手はリオ五輪で0秒04まで迫りました。お互いをどう見ていますか。

朝原「初めて見たのは2012年ロンドン五輪前の合宿だったかな。同じく代表の江里口匡史君(大阪ガス)を指導していた頃で、前半がすごく速い選手という印象でした。前半の勢いでそのまま走ったらすごいなと思っていたら、ロンドン五輪でいきなり速くなって驚きました」
山県「僕が陸上を始めたのは10歳の頃。朝原さんはすでに日本のトップで活躍されていて、すごく憧れました。初めて話した時は、ものすごく緊張したのを覚えています。様々な選手を研究しましたが、朝原さんの走りもユーチューブで何回も見ました。手足が長くて、大きなストライドで力強く走る印象。スタートが得意な僕とは反対に、中盤以降にぐぐっと伸びるイメージですね」
朝原「ロンドン五輪後、ガッと伸びそうな時期にケガをして、年齢的にもそのまま消えてもおかしくなかったのに、選手としての厚みが増して戻ってきた。今や速いだけでなく、強さも併せ持った選手。(昨季、10秒0台を3回マークするなど)これだけアベレージで速いタイムを出している日本選手はいませんし、勝負所で自己ベストを出すのも特長だと思います」
――山県選手から朝原さんに聞いてみたいことはありますか。
山県「朝原さんはあまり長い距離の練習をされなかったとうかがいました」
朝原「そんなことないよ。高野進さんのもとで練習していた頃は200メートル、300メートルをバンバン走っていたよ。山県選手は結構、長い距離も練習するんでしょ?」
山県「することが多いですね。もしかしたら100メートルより200メートルの方が、適性があるのかもと考えることもあります」
朝原「それは意外」
山県「僕の100メートルの最高速度は秒速11.5メートル台。11.6メートル台が出る桐生祥秀選手(日本生命)よりどうしても遅い。自分ではレース後半にスピードが落ちないことが強みで、それが記録につながっているという印象があります」