正恩氏専用機、年代物の旧ソ連製…安全性不安も

無断転載禁止
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 【ソウル=水野祥、モスクワ=畑武尊】史上初の米朝首脳会談がシンガポールで開催されることが決まり、北朝鮮の金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長が「初遠征」で専用機を利用するかどうかに注目が集まっている。

 ◆直行も可能

 正恩氏の専用機は、北朝鮮の国鳥の名を冠した「チャムメ(オオタカ)1号」。旧ソ連で開発、製造された航空機「イリューシン62型」を改造したものだ。

 正恩氏は、平壌から約350キロ離れた中国・大連で7、8日に習近平シージンピン国家主席と会談した際、同機を利用。最高指導者としての2回目の外遊で初めて航空機で移動した。

 露政府系の航空機メーカー「イリューシン」によると、航続距離は1万キロ・メートルを超え、乗客や荷物を満載した場合は7800キロ・メートルになる。平壌―シンガポールは約4800キロ・メートルで、基本性能としては直行も可能だ。

 航空評論家のセルゲイ・クルトウソフ氏は「シンガポールまで十分直行できる能力がある。古いエンジンのため燃費は良くないが、丁寧に整備していれば安全面で全く問題ない」と太鼓判を押す。

 正恩氏は、飛行機嫌いで列車を多用した父の金正日キムジョンイル総書記とは対照的に航空機を利用してきた。2015年7月には朝鮮人民軍による戦闘飛行術競技大会に出席するため、チャムメ1号で現地入り。16年2月に「光明星4号」(テポドン2改良型)を発射した際は、北西部・東倉里トンチャンリの発射場まで同機で駆けつけた。

 実妹の金与正キムヨジョン・朝鮮労働党中央委員会第1副部長ら北朝鮮の高官級代表団が2月に平昌ピョンチャン五輪の開会式に出席した際は、同型機の「チャムメ2号」で訪韓した。北朝鮮国営の高麗航空はチャムメ1号を含め同型機を4機保有している。

 ◆安全性不安視も

 正恩氏の専用機は製造から40年近くたっているとみられ、機体の安全性を不安視する声もある。

 韓国紙・東亜日報などによると、正恩氏の最側近、崔竜海チェリョンヘ党副委員長が14年11月、正恩氏の特使としてロシアを訪問した際、チャムメ1号の故障でいったん平壌に戻った。

 国連制裁の影響で高麗航空は最近、中国の一部など近距離での運航がほとんどで、パイロットの経験不足や整備体制の不備も指摘される。一般的に20年程度で機体を更新するが、北朝鮮は経済制裁で新たな航空機を外国から購入できない。

 聯合ニュースは、正恩氏が大連で習氏と会談した際、別のチャーター機と、長距離の運航に慣れた操縦士の提供を要請した可能性もあると伝えた。

 ◆イリューシン62型=米ソが核戦争の瀬戸際まで行った「キューバ危機」が起きた1962年、モスクワから約1万キロ・メートル離れたキューバまで直行できる旅客機を自国で作ろうと開発された。ソ連製で初めての大陸間を飛行できる長距離ジェット機。63年に初飛行、67年から量産された。ブレジネフ書記長やゴルバチョフ大統領ら歴代のソ連指導者の専用機として長く活躍し、旧東側諸国で広く使われた。ソ連崩壊後のエリツィン露大統領も乗ったが、専用機としては老朽化で95年に引退している。

21358 0 国際 2018/05/12 09:16:00 2018/05/12 09:16:00 2018/05/12 09:16:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180512-OYT1I50007-T.jpg?type=thumbnail

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ