求心力向上狙う文大統領「二度と日本に負けない」

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 【ソウル=岡部雄二郎】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は2日、日本政府による対韓輸出管理の厳格化を激しく非難し、国民に団結を呼びかけた。国家的な危機を盛んにアピールする姿からは、対日強硬姿勢をとることで求心力を向上させようとの狙いがうかがえる。

 

反転攻勢

 2日午後に韓国政府が急きょ開いた閣議は、冒頭部分で異例の生中継が認められ、文氏は約8分間にわたって事実上の「国民向け談話」を読み上げた。

 「我々は二度と日本に負けない。今日の韓国は、過去の韓国ではない」「(日本の)挑戦に屈服すれば、歴史は再び繰り返される。我々は十分、日本に打ち勝つことができる」

 就任後、最も強い表現で日本への対決姿勢を鮮明にしたが、もともと日韓関係で守勢に回っていたのは文政権だ。歴史問題を重視する左派としては、元徴用工らへの賠償を日本企業に命じた韓国大法院(最高裁)の判決を尊重したい。しかし、徴用工問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みとの見解は、左派を含め歴代の韓国政府が維持してきただけに、文氏は対応に窮していた。

 こうした状況で日本政府が輸出管理の厳格化に踏み切ると、文氏は「明白な貿易報復だ」と反発して一気に反転攻勢に出た。2日の閣議で「加害者の日本が盗っ人たけだけしく騒いでいる」と述べたように、国民の反日感情をあおり、対日関係の争点を徴用工問題からずらそうとの姿勢を見せている。

 

世論好感

 韓国ギャラップの世論調査によると、文氏の8月第1週の支持率は48%で、7月中旬以降、高い水準を保っている。市民による不買運動も広がり、世論は文氏の対応を好感している。

 韓国SBSテレビによると、与党の政策研究機関は7月30日、政権の対日強硬姿勢が来年春の総選挙にプラスに作用するとの内部報告書をまとめた。有権者の反日感情が続けば、政権の対日外交の失敗を追及してきた保守派の野党も声を上げづらくなるとの計算がありそうだ。7月18日に大統領府民情首席秘書官(当時)が自身のフェイスブックで、「重要なのは左か右かではなく、愛国か利敵かだ」と書き込んだのも、保守派への明らかなけん制だ。

 

経済動向

 文氏は2日の閣議で、「日本政府の措置は我々の経済を攻撃し、成長を妨げようという明らかな意図を持っている」とも批判した。これまで、最低賃金の引き上げなど文政権の政策が経済低迷の一因と指摘されてきたが、「今後は日本のせいだと主張し始める」(日韓関係筋)との見方がある。

 だが、国民生活に支障が出るほど景気が冷え込めば、日本との関係改善を求める世論が高まり、対日強硬姿勢が裏目に出る可能性もある。韓国銀行(中央銀行)は7月18日、今年の成長率の見通しを0・3ポイント低い2・2%に下方修正したうえ、3年1か月ぶりとなる利下げに踏み切った。

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