タイ政府の言論統制強まる…「軍政時代に逆戻り」

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 【バンコク=田原徳容】タイで当局による言論統制の動きが強まっている。フェイスブック(FB)への投稿を巡って活動家が逮捕され、インターネットに接続できる飲食店などはデータの提出を求められることになった。約5年間の軍事政権を経て今年7月に発足したプラユット政権が、批判的な言動を抑える狙いがあるとみられる。

 タイ警察は8日、「国家の安全に関するコンピューター犯罪法違反容疑で、憎悪を拡散する『不適切な内容』をFBに投稿した人物を逮捕した」と明らかにした。名前は伏せたが、国の安全を脅かしたとの疑いをかけられたようだ。

 複数の地元メディアは、軍政を批判してきた政治活動家の男性(25)が7日に逮捕され、「再び同様の投稿をしない」との条件で8日に釈放されたと報じた。王室関係者が移動する際の交通規制が渋滞を起こしているとのツイッター上の議論が、この男性の投稿により広がったと指摘されていた。

 プティポン・デジタル経済社会相は8日、インターネットカフェなどに対し、過去90日間の利用者の閲覧履歴を提出するよう求めた。プティポン氏は「社会不安をあおる『フェイクニュース』の調査のためだ」と述べており、反社会分子の調査が目的とみられる。

 野党も言論統制を通じた攻撃対象となっている。南部パッタニー県で9月に行われたセミナーで憲法改正を巡る論議の場にいた野党党首ら12人について、国内治安維持部隊は今月初旬、騒乱扇動に関する容疑に基づく捜査を地元警察に要請した。憲法改正論議が「国家の治安を脅かす」との判断だが、野党側は「そのような意図はない」と反論している。

 このほか、反政府活動家を取材しようとしたベルギー人ジャーナリストが当局に一時拘束され、取材をやめるよう警告された。タイの外国特派員協会は4日、「報道の自由を不当に侵害する」との声明を出した。

 いずれも、軍政を引き継ぐ形で発足したプラユット政権に不都合な動きを封じる思惑があるとみられる。スラチャート・バムルンスック・チュラロンコン大学教授(政治学)は「軍政時代に逆戻りしている」と指摘している。

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