今年で50回目、スイスの地方都市に集う世界の指導者たち…ダボス・ウォッチ<1>
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スイス東部のダボスで開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(通称・ダボス会議)は、今年50回目を迎えました。世界有数の企業トップや各国首脳らが集うこの会議は、著名人の発言や活動がニュースなどでよく取り上げられます。日本から参加した読売新聞オンライン編集長・長谷川由紀が、あまり報じられない現場の様子をリポートします。

会議一色に染まるスキーリゾート
痛い。
寒いというか、外気にさらされた肌が痛い。
会議が開かれるダボスは今年、雪が少なく、暖かいというが、昼過ぎでも気温は零度前後にしかならない。
主要空港のあるチューリヒから鉄道でもバスでも2時間半から約3時間。決して交通の便がいいといえない、普段は静かなスキーリゾートは24日までの会期中、ダボス会議一色に染まる。

大人に変化促した4人の少女たち
ダボス会議は、1971年に経済学者クラウス・シュワブ氏の呼びかけで、欧州の財界人の会議が開かれたのが始まりだ。その後、世界の主要企業トップや各国首脳、国際機関幹部なども参加する会議に発展した。最近はNGOなどの参加も増え、テーマも経済、政治・外交から気候変動や格差など世界的な課題への取り組みも目立つ。
スウェーデンの環境運動家グレタ・トゥンベリさんも招かれ、環境への国際的な関心を集めた。
今年のテーマは「ステークホルダーがつくる、持続可能で結束した社会」。20日夜には、「チェンジメーカー」(これからの世の中を変える若者)に選ばれた、環境問題や差別解消に取り組む13歳から19歳までの4人の少女が「大人も若者も当事者として様々な課題に取り組むべきだ」と訴えた。

年々大きくなる規模、地元には影響も
年々会議が多様化し、大きくなることで、地元では様々な影響も出ている。
今年の参加者は約3000人だが、これはあくまでも正式登録された人数。随行者ら関係者、関連組織・団体などを合わせれば、さらにふくれあがる。当然、宿泊施設は足りず、価格も高騰し、毎日、電車や車で1~2時間離れた周辺地域から通う人も少なくない。参加者であってもホテルをとれるとは限らず、私は民間のアパートを借りた。

トランプ氏、メルケル氏らも参加
今年は2年ぶりにトランプ米大統領も出席した。メルケル独首相ら各国首脳50人以上も参加する。
VIPが多いだけに、警備は厳しい。ダボスに向かう幹線道路には検問所が設けられ、ダボス中心部でも、主会場となる国際会議場など会議関連施設や区域の出入りは厳しく制限されている。
WEFが発行するバッジと空港なみのセキュリティーチェックなしではどこにも入れない。毎日何度もチェックを受けるのは面倒だが、寒くても世界的なトレンドを垣間見る貴重な機会には代えられない。(つづく)

■長谷川由紀
編集局次長、読売新聞オンライン編集長。1989年入社。マニラ、ジュネーブ、カイロなどで特派員を務めた。読売新聞発行の英字日刊紙The Japan News 編集長、英字新聞部長を経て2019年から現職。趣味はダイビングと料理。ダボス会議への参加は昨年に続いて2回目。
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