面白くてやがて不気味、フェイク動画を体験してみた…ダボス・ウォッチ<5>

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 今年のダボス会議では、気候変動・環境対策が主要議題となりましたが、その他にも興味を引かれる様々なテーマが取り上げられました。そのうちの一つが技術革新。急速な技術の進歩は生活を便利にする一方で、「影」の部分も伴います。ダボス会議で取材にあたった読売新聞オンライン編集長・長谷川由紀のリポート、これが5回目となります(これまでの記事はこちら

 ■長谷川由紀(読売新聞オンライン編集長)
 オバマ元米大統領の夫人ミシェルさんになりたい!と、思ったわけではないが、ダボスで少しだけ気分を味わってきた。顔だけだけど。

 モニターの前に立って、画面をタップすると、私の顔がミシェル夫人、俳優のウィル・スミス、ブッシュ(子)元米大統領らに早変わり。しゃべったり、まばたきしたりすると、その通りに動く。う~ん、少々不気味か……。

変身なんて簡単、精巧な偽動画

 今回のダボス会議は、主要議題の気候変動・環境対策に注目が集まったが、そのほかにも様々なテーマのセッションや展示、イベントが行われた。

 冒頭で触れたのは、人工知能(AI)を使って本物と見分けのつかないような偽動画を作る、いわゆるディープフェイクと呼ばれる技術を紹介するもの。南カリフォルニア大学のハオ・リー准教授が、フェイク(偽)ニュースなど急速な技術革新がもたらす新しい現実を紹介するために、主会場の国際会議場に体験コーナーを設置した。訪れた人たちは、簡単に有名人に「変身」できることに驚いていた。

ディープフェイクの技術を使って「変身」を体験。上段左から時計回りに、元の顔、ミシェル・オバマ元米大統領夫人、俳優ウィル・スミス、ジェニー(Kポップグループ「ブラックピンク」のメンバー、ブッシュ(子)元米大統領
ディープフェイクの技術を使って「変身」を体験。上段左から時計回りに、元の顔、ミシェル・オバマ元米大統領夫人、俳優ウィル・スミス、ジェニー(Kポップグループ「ブラックピンク」のメンバー、ブッシュ(子)元米大統領

技術の進歩に漠然とした不安

 会議にはグーグル、フェイスブック、IBMといった企業も多く参加しており、スーパーコンピューターをはるかに上回る計算能力を持つという量子コンピューターやAI、5G、ロボットなどの最新技術が紹介された一方で、その影響を考えるイベントなども目立った。

会議の期間中、大手企業はダボス中心街の建物を借りて展示やイベントなどを行う
会議の期間中、大手企業はダボス中心街の建物を借りて展示やイベントなどを行う

 「技術のガバナンス:世界的な優先事項」「デジタル・フロンティアへの投資」「責任あるデジタル経済」「人間とロボットとの交流の未来」「ウェブの兵器化に対抗するには」「5Gが世界に与えるインパクト」「市場やメディアにおけるミスインフォメーション(誤情報)」

 一部だが、タイトルを眺めるだけでも、期待だけでなく、これまでにない勢いで発展する情報技術が何をもたらすのか、多くの人が抱える漠然とした不安を反映していることがわかる。

不安にどう応えるか、模索続ける企業側

 企業側もこのあたりは承知していて、技術の可能性を宣伝する一方で、「人々は懐疑的になっている。信用が必要だ」(マイクロソフトのブラッド・スミス社長)、「プライバシーは贅沢(ぜいたく)品であってはいけない。すべての人にとってプライバシー強化につながるサービスを作らなければならない」(グーグルのサンダー・ピチャイCEO)などと強調する場面が目立った。

記者会見で、責任あるAI活用の必要性を語るマイクロソフトのスミス社長(左から2番目)、イスワラン・シンガポール情報通信相(同3番目)
記者会見で、責任あるAI活用の必要性を語るマイクロソフトのスミス社長(左から2番目)、イスワラン・シンガポール情報通信相(同3番目)

 ディープフェイクを使った変身体験も最初は面白かったが、いろいろ試しているうちに妙な気分になってきた。「自分」は本当は誰?(つづく)
 (これまでの記事はこちら

 ■長谷川由紀

 編集局次長、読売新聞オンライン編集長。1989年入社。マニラ、ジュネーブ、カイロなどの特派員を務めた。読売新聞発行の英字日刊紙The Japan News 編集長、英字新聞部長を経て2019年から現職。趣味はダイビングと料理。ダボス会議への参加は昨年に続いて2回目。

 【あわせて読みたい
AI作成、精巧な偽動画「ディープフェイク」…米社会の脅威に
[解説]「悪意あるAI」抑えるのが社会…人類とどう共生
[乱流 巨大IT]プラットフォーマーとは…GAFA 情報支配

無断転載禁止
1023956 0 国際 2020/01/28 17:56:00 2020/01/28 18:07:31 2020/01/28 18:07:31 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200128-OYT1I50060-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み_東京2020オリンピックパラリンピックキャンペーン

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ