豪の地方紙60紙、印刷停止へ…新型コロナで広告激減
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【ジャカルタ=一言剛之】オーストラリアの大手メディアグループ「ニューズ・コープ・オーストラリア」は3月31日、傘下の地方紙60紙の印刷を4月9日から停止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で広告が減り、大幅な減収となったためだ。ウイルスの猛威は、地域の身近なニュースを伝える地方紙の存続を脅かす事態も引き起こしている。
ニューズ・コープが印刷を停止するのは、南部ニューサウスウェールズとビクトリア、サウスオーストラリア、東部クイーンズランドの各州で発行する地方紙だ。豪政府が感染の拡大防止策として3月23日から始めた外出制限措置後、不動産や飲食などの広告が激減したという。オンライン版の編集は続ける方針で、マイケル・ミラー会長は「未曽有の状況下で雇用を守り、地域にニュースを届けるためには費用削減が急務となっている」とのコメントを出した。
ニューズ・コープとは別に、ビクトリア州では今年創刊100年となるサンレイジア・デイリー紙も3月28日で印刷をやめ、オンライン版のみで報道している。豪公共放送ABCによると、新型コロナウイルスの感染拡大後、収入の7割を占める広告が得られなくなったという。ロス・ラニオン社長は「地方紙がなければ、地域コミュニティーが力を失ってしまう」とし、状況の好転を待って印刷を再開させる考えを示している。
ABCは、昨年から続く全国的な干ばつと森林火災の影響で豪州の新聞広告は減少傾向にあるとし、「メディア市場は崩壊の危機に直面している」との報道関係者の声を伝えている。