感染者の半数占める欧州、初期の危機意識低く…罰則伴う外出制限も守らず
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【ジュネーブ=杉野謙太郎、ローマ=笹子美奈子】新型コロナウイルスの感染者が世界全体で100万人を超えた。感染者の約半分を占める欧州では、感染拡大の背景の一つに初期の危機意識の低さや備えの不十分さが指摘されている。

欧州各国は罰則を伴う厳しい外出制限を設けたが、当初は守らない人が多かった。3月17日から全土で外出制限をかけたフランスでは違反者が多かったため、その後、再犯には最高で罰金3700ユーロ(約44万円)などと罰則が強化された。3月10日から全国の外出制限に踏み切ったイタリアでも、同様の理由で罰金が206ユーロから3000ユーロへと15倍近くに引き上げられた。
イタリアに関しては、初めて公式に感染者が確認された1月30日より前にウイルスがすでに北部で拡散していたとみる研究もあり、感染者の発見が遅れた可能性が出ている。
欧州ではマスクや防護服の不足による、医療従事者の感染も目立つ。イタリアでは医療従事者への感染が約10%に上り、医師の死亡も4月1日までに67人確認されている。ロイター通信は3月31日、感染者のうち医療従事者の占める割合は、スペインでは12~14%になったと伝えた。
国際看護師協会(ICN)はロイターに対し、「マスクなどの不足が、医療従事者の高い感染率の一因となっていることに疑いの余地はない」と指摘した。
欧州では外出制限を取り入れてから一定の時間が経過した。3月30日の記者会見で、世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏はイタリアの感染者や死者について「数字が安定し始めるはずだ」と述べたが、予断は許さない状況だ。